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2024年の読書記録(読書メーターより)

2024年に読んだ本を、読書メーターのまとめ機能を使って記録しておきます。

2024年の読書メーター
読んだ本の数:148
読んだページ数:39186

ひとつ火の粉の雪の中 (富士見ファンタジア文庫 40-1)ひとつ火の粉の雪の中 (富士見ファンタジア文庫 40-1)感想
読了日:01月03日 著者:秋田 禎信
修羅と鬼の子が旅する物語。イメージの奔流といえばよいのか、苦手なタイプの文章で読むのに苦労した。造語とかっこいいフレーズに溢れ、著者のセンスを感じるが、物語はわかりづらく独りよがりとも言える。ただ、この作品を書いたのが、応募時17歳、出版時19歳と聞くと、若さと才能があふれるすごい作品だなと驚くしか無い。和風ヒロイックファンタジーとして読み始めたが、読み終えたあとは幻想小説だったなと思う。とくに終盤の洋館のくだりが、不思議な印象で面白い。

虹の天使フリー=アイ―After.Dark.2150 (富士見ファンタジア文庫 56-1)虹の天使フリー=アイ―After.Dark.2150 (富士見ファンタジア文庫 56-1)感想
読了日:01月07日 著者:高平 鳴海
TRPG「メタルヘッド」を元にした作品。ゲームではハンターと呼ばれる何でも屋が主人公となるが、こちらの作品ではネット上の人格フリー=アイとその実態であるエリィを中心とした物語。彼女をめぐり、複数の組織が、そして2人のハンター(殺し屋?)が、激しくぶつかり合うアクション小説となっている。その中でエリィの成長、2人のハンターの苦い過去が描かれる。もう少し電脳世界とフリー=アイが描かれるのかと思ったが、そちらはさわり程度。そのあたりがサイバーパンクではなく、サイバーアクションと称されている理由のよう。

正義の巨人は大迷惑: 太陽超神サンライザー (富士見ファンタジア文庫 14-7)正義の巨人は大迷惑: 太陽超神サンライザー (富士見ファンタジア文庫 14-7)感想
読了日:01月07日 著者:とまと あき,塚本 裕美子
助けた天才科学者から巨大ロボを貰った主人公だが、そのロボが起こすのは迷惑なことばかり、といった内容。びっくりするぐらい中身のない作品だった。同じマッドサイエンティスト吉外太郎博士が登場する『悪の江ノ島大決戦』は、まだバカバカしい中にも面白さがあったが、こちらはバカバカしいだけで、面白さが全く無い。物語は盛り上がらず、キャラクターも魅力的でなくて、語る価値のない作品。

エーベルージュ: 魔法を信じるかい (富士見ファンタジア文庫 82-1)エーベルージュ: 魔法を信じるかい (富士見ファンタジア文庫 82-1)感想
読了日:01月10日 著者:イタバシ マサヒロ
一応、恋愛シミュレーションゲームのノベライズ。あとがきによると、ゲームにあったSF的な要素を切り捨てて、恋愛に絞ったとのこと。漫画「BOYS BE…」の原作者らしいといえばらしい。時代や国、学園などの舞台設定の説明をはぶいてしまったため、最初はどういう世界での物語なのかわからず戸惑ってしまう。物語はそれほどパッとしない主人公が、学園内の美女たちと何故かいい感じになって…といったもの。中学生くらいの淡い妄想的なもので、可愛らしい物語だなと思う。こういうのは嫌いではない。

風の白猿神: 神々の砂漠 (富士見ファンタジア文庫 60-1)風の白猿神: 神々の砂漠 (富士見ファンタジア文庫 60-1)感想
読了日:01月13日 著者:滝川 羊
噂に違わぬ面白さで、続きがないことだけが唯一の不満な作品。まずは神格筐体の設定の素晴らしさよ。コレ色々な神話の英雄、怪物何でも来いだ。しかも戦闘シーンの描き方も臨場感あり、かっこよさありと素晴らしい。また、キャラも立っていて、主人公を含む三馬鹿トリオは楽しい。女性上官も敵役着物キャラも美しくて強くて、この二人の神格筐体でのバトルは、ホント手に汗握るという表現がぴったり。基本路線はガンダム+ラピュタとのことだが、ザブングル感もある。100年眠っていた少女、東京を破壊したもの、様々な謎を残して終了はツラい。

青空盗賊団 (富士見ファンタジア文庫 53-2)青空盗賊団 (富士見ファンタジア文庫 53-2)感想
読了日:01月19日 著者:桑原 忍
RPG的ファンタジー世界への召喚モノ。タイトルやあらすじから、窃盗をテーマに異世界で戦い抜く物語なのかと思ったが、盗みに関しては設定だけで物語には全然活きていない。ただ設定以前にこのレベルでよく出版したなと思うくらい、ツッコミどころ満載。第1章、口止めのために呼び出した使われていない木造校舎、屋根がなくてクラスメイトからは丸見えだったって、なんじゃそりゃ。第1章だけで普通なら読むのをやめてしまいそうなレベル。おかしな設定(カレーの泉とか)おかしな展開、全く魅力のないキャラなどなど、語る価値のない作品。

限外特捜シャッフル 1 (富士見ファンタジア文庫 35-15)限外特捜シャッフル 1 (富士見ファンタジア文庫 35-15)感想
読了日:01月21日 著者:庄司 卓
打ち切り作品と思って読んだので、意外と言っては失礼だが、予想以上に面白かった。ナチスドイツによって開発されていた、それをつけるだけで大衆を魅了する香水を巡る物語。若き天才調香師の野心や狂気が描かれていて、こういう物語は好き。ラストも予想外で良い。著者のブログによると、当時のラノベ読者層には受けなかったらしい。多分、ファンタジーやスペオペ全盛時に現代を舞台にした私立探偵ものだったことと、物語主体で主役キャラたちの活躍が少なかったことが原因なのかと。

熱死戦線ビットウオーズ (富士見ファンタジア文庫 63-1)熱死戦線ビットウオーズ (富士見ファンタジア文庫 63-1)感想
読了日:01月27日 著者:葛西 伸哉
面白い。アイテムによる変身能力を持った者たちが繰り広げるバトルロイヤル。平成仮面ライダー的な内容を95年の時点でやっていたというのがすごい。しかもSF的な設定もしっかりしていて、宇宙の範囲が地球から約39万kmでそれより外は「ホワイトノイズの海」なんていうのも良い。主人公たちの淡い恋心の描かれ方も良いし、敵も含めてキャラたちが魅力的でもある。特に『文字使い』の麻由子が良くて、その変身シーンの描写に惚れてしまう。「白く果てしない海」「逃れえぬ言葉の罠」「いくつもの岐路の彼方」など、章題もかっこよい。

黄金の鹿の闘騎士 (富士見ファンタジア文庫 68-1)黄金の鹿の闘騎士 (富士見ファンタジア文庫 68-1)感想
読了日:01月31日 著者:南房 秀久
紹介文にロマンティック・スポ根・ファンタジーとあり、スポーツ系部活物語をファンタジーに落とし込んだような物語。友情あり、仲間との軋轢あり、恋もありで面白いのだが、素直に楽しめないのは、奴隷という設定に私自身、嫌悪感があるからだろう。6人1チームでの模擬戦闘という設定だが、実際は死者が出るので、スポーツというより奴隷を使った見世物的な競技。この部分で「死をかけた戦いではないけど、死ぬかもしれない」ということが、物語に都合よく利用されすぎているような気もする。爆発的ではないが、安定的な面白さではあるのかな。

えでぃっと! -ライトノベルの本当の作り方?! - (一迅社文庫)えでぃっと! -ライトノベルの本当の作り方?! – (一迅社文庫)感想
読了日:02月01日 著者:箕崎 准
高校生ラノベ作家と高校生編集者、高校生イラストレーター、主人公の幼馴染、4人のハーレム系業界青春モノ。業界話的なものはあるが、ラノベ作家ノウハウ的なものはない。幼馴染以外は基本天才型(でないと高校生で出来ない職業)で、特別苦労をすることもなく作品を作り上げる。唯一のピンチがイラストレーターのトレス疑惑だけで、物語は平板な印象。不思議要素として、イツキ様という神様の存在があるのだが、これも活きていないし。何故か温泉旅館での合宿があって、肌色成分が多めなのは一迅社文庫らしい。そして校正が機能していないのも。

結成! 聖☆アリア電脳活劇部 (一迅社文庫)結成! 聖☆アリア電脳活劇部 (一迅社文庫)感想
読了日:02月05日 著者:御門 智
お嬢様女子校の女子高生が、部活動としてエロゲーを作る”けいおん”系青春物語。部活モノにありがちな「活動実績がないと廃部」指令があり、夏休みを使ってゲームを作り上げることに。そこで修羅場を味わうことになるが、結束を固めて無事完成。物語自体は平板で、女子高生のワチャワチャした時間や掛け合いを楽しむタイプの作品。主人公は特別な才能がないが、裏方に回ることによりその存在感を発揮する。裏方の必要性を描いているのが、ちょっと珍しいタイプなのかな。ただ、なぜエロゲーなのか?の部分がちょっと弱いと思う。

黒水村 (一迅社文庫)黒水村 (一迅社文庫)感想
読了日:02月06日 著者:黒 史郎
ラノベでは珍しいホラー作品。閉鎖的な村、不気味な作物、濡れてはいけないと言われる黒い雨、不気味な牛の鳴き声などなど、序盤は不気味な雰囲気を感じさせつつ進む。中盤以降はこの村をいかに脱出するのか?といった、エンタメ的な内容に。このあたりはラノベであることを意識してのことなのかな。なぜ拳銃があるのか?という問題はあるのだが、そこは目をつぶればなかなか迫力のある物語。ちょっとグロテスクな所も多いが、不気味さを感じつつも軽快な物語で楽しめた。イラストが内容にあってないのが残念。もうちょっと不気味な絵だと良いのに。

探し物はウサギですか? いいえ、宇宙生物です (一迅社文庫)探し物はウサギですか? いいえ、宇宙生物です (一迅社文庫)感想
読了日:02月09日 著者:ひらの 泉水
一迅社文庫には宮澤伊織『ウは宇宙ヤバイのウ』や六塚光『ペンギン・サマー』のようなSFの快作があって、これもそういう系統かなと期待を込めて読んでみた。宇宙から来たと思われる、人に擬態するウサギのような生物を退治する侵略モノに、一迅社文庫らしいエロ風味を利かせたSFアクション作。読んでいて昔のB級SFアクション映画みたいだなと。ご町内の出来事でスケールは小さいが、昔のジュブナイル作品に微エロやラブコメを加え現代風にアレンジした感じ。他者にオススメするほどではないが、気軽に読める作品で好感が持てる。

海でおぼれて漂流したら謎の島へたどり着いた件について (一迅社文庫)海でおぼれて漂流したら謎の島へたどり着いた件について (一迅社文庫)感想
読了日:02月13日 著者:マナベ スグル
面白さが全く理解できず。謎の島に漂着したら島のことを調べたり、脱出しようとするのが普通の行動だと思うのだが、主人公はそうせず、のんきに家事をしたり学校に通ったりしている。そしてこの島の学校、人間と妖怪が通っているとのことだが、どういう授業をしているのだろう。本土とは交流がないと言いつつ、実は交流があったというのは理解できるが、インフラの技術者とかはどうしてたんだ?また、センは夜者なのに、本土との交流のことを全く知らないというのもおかしいじゃないか。主人公がこの島へ来た理由も含め、よく解らないことだらけ。

風恋記 (富士見ファンタジア文庫 10-9)風恋記 (富士見ファンタジア文庫 10-9)感想
読了日:02月16日 著者:六道 慧
少女の恋心を物語の中心にしつつ、因習の残る村、過去の殺人事件、謎の美少年、黄金伝説などを絡めて、伝奇ホラーを少女小説風に仕上げた作品。あとがきで著者は、テーマとし「人間の誕生・進化」を挙げているが、人類の進化は……というトンデモな話がありつつも面白かった。最後はちょっといい話風に終わっているけど、人類基本的に滅んじゃうラストなのよね。90年代序盤のラノベでも、実力派の作家の作品は今読んでも面白いものだ。

銀河を渡る竜の群れ (富士見ファンタジア文庫 47-1)銀河を渡る竜の群れ (富士見ファンタジア文庫 47-1)感想
読了日:02月16日 著者:大野木 寛
ファンタジー風味のスペースオペラ。SF的なものは捨てて、宇宙にマナの風が吹き竜と帆船が行き交うという設定。蘇った巨悪に対し、現在の王女と亡国の王家の血を引く竜を操る者が立ち向かう物語。序盤での主人公の性格がいまいち共感できなかったが、後半の盛り上がり・展開は熱く楽しめた。ただ、なぜ贄(にえ)が王女でないといけないのかが、いまいちわからず。王女が最前線に出ていく必要性がないというか、悪の側が王女に固執する意味が見えないというか。物語自体は面白いのだけど、やや疑問の残る作品。

やつらは大乱調: ソーサル・ブラスバンド (富士見ファンタジア文庫 59-2)やつらは大乱調: ソーサル・ブラスバンド (富士見ファンタジア文庫 59-2)感想
読了日:02月21日 著者:山下 定
ハリーポッター以前の、魔法学園ものドタバタコメディ。主役となる三馬鹿トリオに魅力がなくて、共感ができず。過去の出来事を隠しておき、最後に持ってくるパターンも好きではない。内容的なことは置いといて、著者のあとがきが興味深い。「ドラクエなどのCRPGが好きで、〈剣と魔法〉の世界を書くことに。ヒロイック・ファンタジーはほぼ読んでいなかったので、〈剣と魔法〉の異世界に現代的な学校の日常をぶちこんだ。異世界に現代的な日常があるとリアリティに欠けるため、コミカルな内容に仕立てた」要約するとこんな感じに書かれている。

ライトノベル史入門  『ドラゴンマガジン』創刊物語―狼煙を上げた先駆者たちライトノベル史入門  『ドラゴンマガジン』創刊物語―狼煙を上げた先駆者たち感想
読了日:02月21日 著者:山中智省
ドラゴンマガジン創刊当時の関係者のインタビューを交えた、ライトノベルの歴史を知るための手がかりともなる一冊。読書離れが進んでいた当時の若者(メディアミックス世代)に向けて、小説を読んでもらうための熱意を感じた。どちらかというと「獅子王」世代の私としては、その比較が興味深かった。文芸誌的な「獅子王」は小説好きには手にとってもらえても、そこまで小説を読まない人には手に取ってもらえない。特集記事をメインとした、小説を読むきっかけとなるような紙面づくりを意図したというのは、なるほどなと。

黄金郷に手を出すな (富士見ファンタジア文庫 77-1 マリオン&Co.)黄金郷に手を出すな (富士見ファンタジア文庫 77-1 マリオン&Co.)感想
読了日:02月26日 著者:新城 十馬
トリックと冗談と騙しを遺伝子に染みこませた少女マリオンとその仲間が10万トンの黄金を巡り、騙し騙されつつのノンストップジェットコースターノベル。後半の黄金立方体の意志が現れるまでは行き当たりばったりの展開で、読んでいて興味が続かず何度も読むのをやめた。後半は割と楽しめたが、全体としてみるとキャラクターが面白いだけにもったいない物語展開だなと思う。黄金立方体の意志にみんなが呼ばれているのであれば、そういったのをもう少し前半から匂わせておけば、それぞれのキャラの行動にも方向性が見えるのにと。

死図眼のイタカ (一迅社文庫)死図眼のイタカ (一迅社文庫)感想
読了日:02月27日 著者:杉井 光
伝奇ホラーミステリ。読み終えた後モヤモヤするのは、ある意味救いがない終わり方だからなのか、主人公・イタカともに2重人格的な存在があって意図が見えにくためなのか。化け物の正体もはっきりしないし、化け物が乗り移るのがなぜ朽葉嶺家の人間でないとダメなのか?もよくわからない。後半くらいまではグッと引っ張ってこられたが、最後が若干消化不良といったところか。誰が殺したかのミステリ的なところよりも、化け物にまつわる伝奇的な部分にもう少し踏み込んでほしかったかな。

アースライト・ウォーズ 割れぬ少女と蝉の王 (一迅社文庫)アースライト・ウォーズ 割れぬ少女と蝉の王 (一迅社文庫)感想
読了日:02月28日 著者:六塚 光
古くから村を二分する対立、蝉の頭の神様、主人公の手に突如現れるビームソード。民俗学的要素のある、軽い感じの伝奇SF。他者の感想を見ると評価低いみたいだけど、個人的にはわりと楽しめた。複雑すぎずサラッと読めて良いのではないかと。ただ、この世界観でビームソードというのだけはいただけない。あとセミ人間って想像できなかったんだけど、(他者の感想を読んで)バルタン星人的なものとして想像すればよかったのか。イラストがもう少し頑張って、山王像の姿とかしっかり描いてくれていれば、物語により入り込めたのになと。

スキュラ・ダークリー (一迅社文庫)スキュラ・ダークリー (一迅社文庫)感想
読了日:03月01日 著者:六塚 光
同作者の『Le;O-灰とリヴァイアサン-』と同一世界観、同じ時間軸で、別地域の物語。地軸転倒後の日本地域を舞台に、海獣と吸血鬼の戦いを、とある殺人事件をきっかけとしてミステリ風に描く。今回ポイントとなるのは、「スキュラ」という存在。『灰と~』は未読なので、そちらに出てきているのかはわからないが、なかなかすごい存在で最終的なバトルは熾烈なものに。ミステリとしては反則かもしれないが、物語としては面白いものだった。ただ今回もイラストに不満。編集者は何でもかんでもエロっぽく描けば良いと考えてるんだろうね。

背約のキャバリアー (一迅社文庫)背約のキャバリアー (一迅社文庫)感想
読了日:03月01日 著者:六塚 光
六塚作品としては、あまり好きではない。パワーを得るために体に現れる魔法円にキスしなければならず、それがどこに現れるかわからないから裸になるという設定で、エロに走ってしまって残念。悪魔と乗り移られた人物、人によって主になるのが違って、このあたりの設定もわかりづらく納得できないかな。六塚作品はわりと安定した面白さがあるのだけど、これはちょっと凡作かなと。続きがありそうな展開ながら、続刊がないのはまぁそういうことだろう。

迷い猫オーバードライブ銀狼VSドッグニンジャ (一迅社文庫 む 1-6)迷い猫オーバードライブ銀狼VSドッグニンジャ (一迅社文庫 む 1-6)感想
読了日:03月05日 著者:六塚 光
色々と突っ込みどころはあれど、B級アクション映画的なノリで楽しく読めた。変身するのが犬とか猫とか全く強くなさそうなものばかりで、しかも変身するためには葉っぱを頭に乗せるとか、人間に戻ったときは裸とか、わりとバカバカしい方に吹っ切れているのが良いかな。ただ、もう少し民俗学的な要素を絡めてほしかった。大光坊の設定があんまり活きていなくて残念。

淫魔に狙われた俺のDTが危険なんだが (一迅社文庫)淫魔に狙われた俺のDTが危険なんだが (一迅社文庫)感想
読了日:03月05日 著者:瑞嶋 カツヒロ
タイトル通りのエロコメで、ちょいちょいエロ描写はあるが、ポルノレーベルではないので行為自体は描かれず。読み終えて終盤の展開はなんかよくわからんが、良い話だよなーと感じた。行為自体をしたいが、それをすると淫魔王が復活するため、淫欲か純愛かを問う内容。読む前はただのエロコメだろうと半分バカにしていたが、意外と面白く読めた。ただ4姉妹設定がやや活きてなくて、もったいないかなと。カナン、幼馴染、先輩の3人だけでも良かったかも。あと幼馴染がオカルト趣味で、途中から性格が豹変するところが良かった。

炎獄のアルシャーナ (一迅社文庫 か 6-1)炎獄のアルシャーナ (一迅社文庫 か 6-1)感想
読了日:03月05日 著者:葛西 伸哉
面白くて一気読み。さすがこの業界で長く生き残っている作家の作品は違う。戦うためだけに育てられた女剣闘士アルシャーナが、自由と生きる目的を得る物語。奴隷という立場の人間を描く物語は苦手なのだが、問題なく読めたのは奴隷という立場を否定的、逃れるべき状況としてしっかり描けているからだろう。またアルシャーナの女主人、負けたら態度がコロッと変わるところ、変に同情的な言動をしないのが良い。登場人物みんな筋が通っているというか、しっかり人間として描かれているなと。お手伝いさんの最後の態度も素晴らしいよね。

漂泊の仮想敵騎 (一迅社文庫)漂泊の仮想敵騎 (一迅社文庫)感想
読了日:03月06日 著者:富永 浩史
かつてあった天魔との戦いに生き残った、魔法使いと騎士が教官となり魔騎士養成学校の生徒を導く物語。ベテラン作家だけに物語はしっかりしつつ、レーベルの要望なのかエロシーンもしっかり加え、クライマックスはしっかりと盛り上げる堅実な作り。派手さはないが安定の面白さ。ただ教官となる魔法使いと騎士のキャラは面白いと思うんだけど、生徒側のキャラが今ひとつといったところか。他者の感想でチョロインと呼ばれているように、簡単に教官になびくところが、ちょっと浅く感じる。

神奈川県警「ヲタク」担当 細川春菜5 鎮魂のランナバウト (幻冬舎文庫 な 42-10)神奈川県警「ヲタク」担当 細川春菜5 鎮魂のランナバウト (幻冬舎文庫 な 42-10)感想
読了日:03月10日 著者:鳴神 響一
マニアックなネタを仕込んだ作品と聞いて手に取ってみた。今巻は旧車ヲタクということだが、そちらの界隈ではエンスージアスト、通称エンスーと呼ばれる。赤松さんあたりには、ヲタクではなくエンスーと呼べ、くらいのセリフは言って欲しかったかな。蘊蓄が語られる車は、フィアット500、VWビートル、ルノー4、スカイラインケンメリなどで、車好きとしては読んでいて楽しい。ただミステリとしての犯人探しは、春菜の唐突とも思えるヒラメキで解決に向かうので、その辺りちょっと物足りないかも。ミステリよりも蘊蓄モノとしてオススメ。

放課後トゥーランドット (一迅社文庫)放課後トゥーランドット (一迅社文庫)感想
読了日:03月10日 著者:みかづき 紅月
オペラ「トゥーランドット」を部活モノに重ね合わせた作品。物語としては、文化祭で舞台「トゥーランドット」を披露するまでのアレコレを描く青春モノ。ただ、練習に取り組む部分はあっさりめで、なぞなぞとか女子寮へ忍び込むとか、何がしたいのかなと思うこともしばしば。序盤の転校生がいきなり生徒会長になって、部活を粛清していくのもちょっと無理があるような。部活青春モノとして、求めていたのとはちょっと違ったという印象。そういう意味では普通の青春小説ではなく、ラノベ的青春小説といえるのかも。

エデンズ・エンド・エクスプローラー (一迅社文庫)エデンズ・エンド・エクスプローラー (一迅社文庫)感想
読了日:03月16日 著者:神尾 丈治
これは面白い。地球とそっくりの惑星エデン、その探査用に開発された個人用多目的補助システム(パワードスーツ)E3ギア。それを駆使できる開拓者を養成する学校の生徒たちを描くラブコメ風味なSF学園バトル。E3ギアには複数のタイプが有り、養成学校では競技がメインとなるため、主人公が使う万能型は特化型より不利となる。その万能型にこだわる主人公だが……E3ギアの設定も凝っていて、物語自体にもしっかり活きている所が良い。学園編の続きも読みたいが、成長した後のエデン編なんてのも読んでみたいと思わせる。

Le;O-灰とリヴァイアサン- (一迅社文庫)Le;O-灰とリヴァイアサン- (一迅社文庫)感想
読了日:03月17日 著者:六塚 光
面白い。地軸転倒後の日本地域を舞台に、人間が吸血鬼と協力し海獣と戦うSFアクションストーリー。ただ、海獣との戦いがメインではなく、人間同士の争いに吸血鬼と海獣が利用されているような感じ。吸血鬼の灰からの復活時における能力付加や世界の設定、過去を引きずる主人公とそれを支え続ける吸血鬼のコンビなどなど、魅力的なところがいっぱい。3人トリオの吸血鬼は海景以外の活躍が少なくてやや残念だが、これは次巻以降で期待ということで。早く続きを読もう。

Le;O-灰とリヴァイアサン- (2) (一迅社文庫 む 1-3)Le;O-灰とリヴァイアサン- (2) (一迅社文庫 む 1-3)感想
読了日:03月24日 著者:六塚 光
主人公の駆け引きの手腕のうまさや、吸血鬼と海獣の迫力のあるバトル内容など安定的な面白さ。ただ、光耐性を得た吸血鬼が超人となってしまい、前作にあった戦闘後灰になるマイナス面、及びその後復活時に能力を付加できるプラス面、両設定の面白さがスポイルされてしまったのが残念。ゴスロリ忍法を使う吸血鬼など魅力的な登場人物も増え、さぁこれからというところで続刊がないのは残念。ちなみに敵ボスが彫っている彫刻物、ウニみたいと書かれているのが謎。ウニってトゲトゲのイメージ。食べる時の状態の「雲丹」っていうことだろうか。

交錯都市-クロスシティ- (一迅社文庫)交錯都市-クロスシティ- (一迅社文庫)感想
読了日:03月26日 著者:黒 史郎
都市パニックホラー。怖いというより気持ち悪い感じかな。それよりもホラーには理を求めてはいけなくて、不条理を楽しむべきなんだろうけど、やはりなんで?というところが多く、今ひとつスッキリとせず。結局アカモロって何なんだろう。一番引っかかったのが天堂さんが耳千切られたのに平気なところ。その前の足の怪我のことばかり述べられて、著者は耳千切られたこと忘れてるの?と思った。普通に会話しているから、きちんと聞こえているみたいだし。

月色プラットホーム (一迅社文庫 み 2-1)月色プラットホーム (一迅社文庫 み 2-1)感想
読了日:03月31日 著者:水口 敬文
タイトルから鉄道要素を期待して手に取ったが、鉄分はほぼなし。主人公を巡る幼馴染と幽霊の三角関係ラブコメ風ヒューマンドラマといったところ。主人公と幼馴染のヒロイン、そこに幽霊列車の車掌を務めるドジっ子幽霊が絡んでくることにより、二人の関係が動き出す。恋愛に鈍感な主人公が読んでいてイライラするが、物語全体としては楽しく読めた。ただ、ラストが主人公の態度がイマイチ納得できない。もう幽霊列車にかかわらず普通に付き合っちゃいなよ、と。

絶対騎士の嵐天刃 (一迅社文庫 か 4-10)絶対騎士の嵐天刃 (一迅社文庫 か 4-10)感想
読了日:04月01日 著者:神尾 丈治
異世界バトルモノ。舞台は王国が崩壊し共和国になって数年の混乱期、霊宝石〈ジュエル〉を武器に変換して操る騎士〈ドライバー〉と盗賊との戦いを描く。神尾作品らしく、凝った設定が物語にも活きていて楽しい。ジュエルを起動する時の掛け声「起動!〈ドライブ〉」が、仮面ライダーにおける「変身!」のようでカッコよい。残念なのが剣姫と呼ばれるヒロインで、実際は強いのだけどあまり活躍せず、残念系ヒロインのようになっているところ。もう少し活躍させても良かったのでは?と思う。妹と上司キャラは良いんだけどねぇ。

彼女たちのどうでもいい秘密 (一迅社文庫)彼女たちのどうでもいい秘密 (一迅社文庫)感想
読了日:04月05日 著者:神尾 丈治
クラスで1番と2番の美少女の秘密を知ってしまった主人公が、その二人に付きまとわれる?ことになる学園ラブコメ。主人公が飛び抜けた能力や美貌を持っているわけではないのにモテモテになる、00年代のラノベによくあった中高生男子にとって夢のような物語で、あとがきで著者が述べているように普通のラブコメ。安定した作品を送り出せる実力を持つ著者なので、つまらなくはないが特段面白いというわけでもなく。この著者は凝った設定の作品のほうが魅力的だな。喋らないでトンツーやハンドサインでやり取りする妹キャラは、面白いと思う。

ヒーローから転職した俺の使い魔な生活 (一迅社文庫)ヒーローから転職した俺の使い魔な生活 (一迅社文庫)感想
読了日:04月11日 著者:神尾 丈治
相変わらずタイトルで損をしていると感じる、元ヒーローと魔法少女の物語。悪を倒した後の元ヒーローの苦悩が描かれていて、タイトルとイラストから感じるバラ色の生活とは遠く離れた、わりと重い内容。それでもって元ヒーローと魔法少女より、異世界から来た侵略者?側のキャラが魅力的。特に元ヒーローに戦う意味を問いかけるラプター将軍。終盤、元ヒーローがが悩んでいて爽快感がない分、余計に理にかなったラプター将軍の言葉が響く。ちょっといろいろな要素を詰め込みすぎて、消化不良気味かな。目覚めた元ヒーローの次巻での活躍に期待。

エイリアン黙示録 (ソノラマ文庫 10-H)エイリアン黙示録 (ソノラマ文庫 10-H)感想
読了日:05月01日 著者:菊地 秀行
聖書に関する知識がないので、作者の仕込んだ事がどれだけ読み取れたかは不明。NYでの古書「ユダの黙示録」争奪戦から始まり、舞台は日本へ。キリスト絡みで青森県の地名が登場することから、「キリストは日本で死んだ」説につながるのかと思ったら、そこまでは踏み込まず。キリストはエイリアンだったということで、エイリアンシリーズらしい展開。壮大なスケールかと思いきや、メーカー四菱の内紛絡みの話に収まってしまっているところがやや不満。戦闘用機動ユニットや戦闘用強化服などのアイテムの登場は楽しいが、あまり活躍しないのが残念。

ゴッドマジンガー〈1〉蘇る魔神 (角川文庫 (5731))ゴッドマジンガー〈1〉蘇る魔神 (角川文庫 (5731))感想
読了日:05月01日 著者:永井 泰宇
はるか昔に一度読んでいるので、一応再読になる。アニメ、漫画と同時進行で始まった作品で、それぞれ内容が異なる。アニメと違い、現代からタイムリープするのがヤマト以外にも薫という幼馴染がいる。またアニメでは詳しく語られていない、ムー王国周辺の地図も掲載されていて、これを見る限り、ムー王国は現在の九州大分あたりになっている。展開はかなりゆっくりしていて、1巻終わりでやっとゴッドマジンガーが動き出す。それまでは世界の設定や現代でのヤマトの姿が描かれる。1巻だけでは面白さの判断はできず、続きを読むことにする。

ゴッドマジンガー〈2〉ヤマト追放 (角川文庫 (5766))ゴッドマジンガー〈2〉ヤマト追放 (角川文庫 (5766))感想
読了日:05月01日 著者:団 龍彦
マジンガーを名乗っているが、マジンガーZの流れではなくて、大映映画大魔神に近い存在。序盤は、前巻で動き出したゴッドマジンガー暴れまくる。その後アニメと違い、ヤマトはムー王国を追放と意外な展開。ムー王国とドラゴニア帝国、それぞれに政治的な事情があって、アニメとは違う展開を含め面白い。次巻も期待。

ゴッドマジンガー〈3〉妖魔都市ダイカン (角川文庫 (5782))ゴッドマジンガー〈3〉妖魔都市ダイカン (角川文庫 (5782))感想
読了日:05月02日 著者:園田 英樹
今回の舞台はセトの国。囚われのヤマト、暗躍するドラゴニアの呪巫女たち。若干セトの国の地理的状況がよくわからずで、ドラゴニアの進軍が意味不明なところがあるも、なかなか楽しめる展開。エルドが薫のために連れてきたサーベルタイガーの子供、あっさり殺されてしまうのが非情だ。なかなか動かないゴッドマジンガーだが、動き出すと容赦がなく決して善とは言い切れないところも良い。アニメでは毎回「ムー王国を攻めるドラゴニア帝国」の構図の繰り返しで面白みがなかったが、じっくり読ませる小説では流れがしっかりしていて良いなと。

ゴッドマジンガー〈4〉ムー彷徨人 (角川文庫 (5792))ゴッドマジンガー〈4〉ムー彷徨人 (角川文庫 (5792))感想
読了日:05月02日 著者:永井 泰宇
ヤマトたち逃走の巻。ややお色気描写に脱線しつつも、アキツの国の王子絡みでの、なかなかにハードな展開もあり。ヤマトたちは逃げるだけの展開で、ドラゴニアのドラドやエルドを中心とした話が多くて、どっちが主人公かと思ってしまう。今回はゴッドマジンガーは現れず。話の展開としては、ムー王国どうなる?よりも、薫はどうなってしまうのか?に興味が向いてしまうのが難点か。いずれにしろドラゴニア側の物語で話は進んでいるので、ヤマトたちの魅力がちょっと薄いかな。エルドが今のところ一番かっこいいのかも。

ゴッドマジンガー〈5〉陰謀の王 (角川文庫 (5817))ゴッドマジンガー〈5〉陰謀の王 (角川文庫 (5817))感想
読了日:05月02日 著者:団 龍彦
今巻の舞台はアキツとスオウの国境付近。物語の中心となるのは、陰謀大王ことスオウの領主オミシ。ゴッドマジンガーは相変わらず、現れては暴れまわるだけ。クライマックスはオミシとドラドの会談。ムーとドラゴニアの民は宇宙から来た人々、とあかされる重要な巻といえる。ヤマトと薫の再会もあるが……

ゴッドマジンガー〈6〉秘められた神櫃の謎 (角川文庫 (5824))ゴッドマジンガー〈6〉秘められた神櫃の謎 (角川文庫 (5824))感想
読了日:05月04日 著者:園田 英樹
ヤマトが力に目覚める巻ではあるが、主人公としてはやはり今ひとつの感が拭えない。王子である息子を亡くしたアキツ国の王妃フヒドリ、セトの国の姫だったソニア、ハリマの湖の漁師だったミラ、そして薫にアイラ。様々な女性が登場し、お色気シーンもあるが、物語は神櫃〈エルムー〉を巡る展開となる。アイラから神櫃を受け取ったオミシではあるが……

ゴッドマジンガー〈7〉謎の花姫 (角川文庫 (5862))ゴッドマジンガー〈7〉謎の花姫 (角川文庫 (5862))感想
読了日:05月04日 著者:永井 泰宇
神櫃〈エルムー〉を手に入れたドラドではあるが、それは求めていたものと違った……一方、17歳になったアイラはムーに帰還したヤマトたちと改めて、神櫃の部屋に向かい、真の神櫃の謎を知ることになる。謎のピラミッドと4つの守り神、最後の舞台は地の果ての国メイフ。そしてセトの王女ソニアは呪巫女謎花〈メイファ〉となり、お色気満載でヤマト童貞卒業?の巻(笑)

ゴッドマジンガー〈8〉魔境の四聖獣 (角川文庫 (5905))ゴッドマジンガー〈8〉魔境の四聖獣 (角川文庫 (5905))感想
読了日:05月04日 著者:団 龍彦
アイラを連れて逃げたエルドを追って、ヤマトと薫、三剣士もメイフへと向かう。メイフで待っていたのは、獣人や4つの守り神。エルドとゲルベ、ゴッドマジンガーとゴーレ、それぞれの戦いがあり、やっとヒロイック・ファンタジー的に面白くなってきた感じ。目的地のピラミッドでは、ドラド、エルド、ヤマト(ゴッドマジンガー)の三つ巴の様相。物語はクライマックスへ。

ゴッドマジンガー〈9〉破滅の迷宮 (角川文庫 (5935))ゴッドマジンガー〈9〉破滅の迷宮 (角川文庫 (5935))感想
読了日:05月04日 著者:園田 英樹
物語はピラミッドの中での戦いに。黄金王ドラドついに死すの巻。ゴッドマジンガーはピラミッドを守る火竜を倒すも、最後の番人ギガの圧倒的な強さ。ところでギガは何万年も眠っていたらしいけど、大魔術師トリメスは何千年かまえにギガにあっているので、ここはおかしい。

ゴッドマジンガー〈10〉不死鳥大陸 (角川文庫 (5977))ゴッドマジンガー〈10〉不死鳥大陸 (角川文庫 (5977))感想
読了日:05月05日 著者:永井 泰宇
いよいよ最終巻。神櫃〈エルムー〉、ゴッドマジンガーの正体が判明する。全10巻を読んでの感想としては、アニメ版に比べると遥かに面白かった。ちょっとお色気描写に走りがちで、それよりは古代ムーの話に詳しく触れて欲しかったところだが、ムー王国とドラゴニア帝国を巡る大河ストーリーとして楽しめた。とくにムー王国を形成する各国の領主とその子供をしっかり描き、ドラゴニア帝国の侵攻によるドラマをきっちり描いていたのが好感を持てた。その分主人公火野ヤマトの物語が弱くなってしまったが、ゴッドマジンガーの存在理由を考えると(続

東京ダンジョン (角川スニーカー文庫 72-1)東京ダンジョン (角川スニーカー文庫 72-1)感想
読了日:05月10日 著者:伊藤 一元
2020年の東京を舞台に、日本版FBIに所属する主人公が、6人の死傷者を出した集団自殺事件の謎を追う物語。VRゴーグルを使って、サイバースペースにジャックインするなどサイバーパンク的な内容。人間の情報をデジタル化して他者に送り込むとか、サイバースペース上の神の存在とか、面白い要素は多々あるが、1996年の時点で想像する2020年なので、それを追い越してしまった今読むと、今の現実の知識が邪魔をして素直に楽しめなかった、というのが本当のところか。物語の前半は刑事モノ的な展開で引っ張り込まれたが……

おにぎりスタッバー (角川スニーカー文庫)おにぎりスタッバー (角川スニーカー文庫)感想
読了日:05月19日 著者:大澤 めぐみ
本を開いた時に、1ページ中の文字の多さに怯んでしまったが、読み始めるとスルスルと読めた。基本的に青春モノなんだけど、男を喰ったり(文字通り(笑))、魔法少女が登場したり、エクスカリバーが台所に置かれていたり、クリスマスと戦ったり?、とファンタジー仕立て。これを女子高生の一人称で自分語りのように、マシンガントークで綴られており、飄々としたユーモアも感じられて、大変面白い。西尾維新や舞城王太郎あたりを読んでいない人間としてはわりと衝撃的で、新井素子『あたしの中の……』の衝撃に近しいものを感じた。

札幌市白石区みなすけ荘の事件簿 ココロアラウンド (ファンタジア文庫)札幌市白石区みなすけ荘の事件簿 ココロアラウンド (ファンタジア文庫)感想
読了日:05月22日 著者:辻室 翔
札幌を舞台に超能力を持った個性的な面々が、身近で起こる事件を解決する物語。物語自体は面白かったが、女性の胸の大きさばかりにこだわる主人公に辟易。作者はこういうのが面白いと思っているのだろうが、読んでいて嫌な気分に。また、主人公は「情けは人の為ならず」をポリシーにして、人助けを行っている。「人に親切にすれば、回りまわって自分にもどってくる」ということで、間違いではないのだが、「情け」という言葉が引っかかることになる。主人公は敵対する相手に、情け容赦ないのである。「情けは~」という言葉を持ち出すなら、続

はじめてのゾンビ生活 (電撃文庫)はじめてのゾンビ生活 (電撃文庫)感想
読了日:05月23日 著者:不破 有紀
面白くて一気読み。ゾンビの物語だが恐怖の対象としたホラーではなく、人類の進化とするSF。ゾンビの誕生から月、火星への進出、呼称の変化、旧人類滅亡までの千年の歴史を、50のショートストーリーで描く。ゾンビは宇宙空間での耐性や月での活動が人類より有利というのが面白い。ゾンビという存在の、物語での新たなる活かし方を提示したといえるのかも。描かれるのは日常の風景や宇宙での活動で、活劇的な要素は少なく淡々としているし、特定のキャラが物語を引っ張るわけではないので、ラノベとしては好みがわかれるかも知れない。

ささやきは魔法 (講談社X文庫 118-27 ティーンズハート)ささやきは魔法 (講談社X文庫 118-27 ティーンズハート)感想
読了日:05月24日 著者:津原 やすみ
津原泰水(やすみ)作品を読むのは初めて。間違い電話をキッカケとして、出会った男性が……という幻想小説。ティーンズハートということで、女子高生の現実での不満や将来への不安を描きつつ、不思議な味わいの作品になっている。幻想小説にはやはり理不尽さがあって、なんともスッキリしないのだが、そういったことこそが幻想小説の面白さなんだろう、とも思う。

十五の春と、十六夜の花 -結びたくて結ばれない、ふたつの恋- (講談社ラノベ文庫)十五の春と、十六夜の花 -結びたくて結ばれない、ふたつの恋- (講談社ラノベ文庫)感想
読了日:05月27日 著者:界達 かたる
青春恋愛x伝奇SFxミステリーの魅力てんこ盛りで、かつ終盤のどんでん返しと畳み掛けるラストに驚かされる。ただ、なぜかモヤモヤするところがあって、ハッキリと面白いとは言い切れない。多分に個人的に苦手な、キャラが隠し事するタイプだからだろう。紗弥花も勇紀も洞窟に行ったことを隠しているし、主人公は勇紀が男化したときに、紗弥花が2人になったことを言わない。そういったスレ違いが面白いと言われればそれまでだが、謎を解こうとした時に「重要なところは隠してました」では、さすがに興醒めするというか。

傀儡のマトリョーシカ Her Nesting Dolls (講談社ラノベ文庫 か 12-1-1)傀儡のマトリョーシカ Her Nesting Dolls (講談社ラノベ文庫 か 12-1-1)感想
読了日:05月29日 著者:河東 遊民
美人で成績優秀なヒロインをイジメている首謀者は誰か? タイトル通り、傀儡あり入れ子構造ありの謎を解く青春学園ミステリ。ユニークな小説だな、というのが第一印象。殺人とかはないものの、事件の内容自体はドロっとしている割に、読み心地にさわやかさを感じるのは、個性的な主人公のKY的なスベリ気味のギャグであったり、言葉を字面通りにしか理解できない特性であったりが、良い方向に効いているからだろうか。単純に面白いというよりも、独特で面白い青春恋愛ミステリだなと。もちろんイラストもそれに一役買っていて評価したい。

君と紡ぐソネット ~黄昏の数学少女~ (講談社ラノベ文庫)君と紡ぐソネット ~黄昏の数学少女~ (講談社ラノベ文庫)感想
読了日:06月01日 著者:暁社 夕帆
数学を題材にしたちょっと変わったラノベだが、物語の流れは、鍛えて課題を突破するというスポーツ物に近い感じ。数学を勉強したのはもう35年前という人間にとって、よくわからないところがありながらも楽しめた。将棋や囲碁がわからなくても、それらを題材にした物語を楽しめるのと同じようなものかな。きっちりとまとまっていて面白いのだが、やや物足りなく感じたのは、登場する人物皆いい人ばかりだからか。イジメとか嫉妬とかがなくて、お利口さんたちの物語だなと。

十二月、君は青いパズルだった (講談社ラノベ文庫)十二月、君は青いパズルだった (講談社ラノベ文庫)感想
読了日:06月09日 著者:神鍵 裕貴
パズル病という、体に穴が空きパズルのピースのようなものが落ちていき好きなものの記憶が失われていく奇病にかかった少女と、その少女に「世界一嫌いだから、つきあって」と告白された少年の物語。余命ものの変形バージョンでライト文芸的。前半は大嫌いなのにつきあうとか、主人公だけがパズル病を認識できるとか、疑問の残る展開だったが、終盤のどんでん返しで納得。このあたりはお見事。ただ、パズル病が物語のための都合の良すぎる病気で、やや不満。恋愛物としては余計なのかも知れないが、もう少しパズル病に対しての展開が欲しかったかな。

101メートル離れた恋 (講談社ラノベ文庫 こ 4-1-1)101メートル離れた恋 (講談社ラノベ文庫 こ 4-1-1)感想
読了日:06月10日 著者:こまつ れい
男子高校生の自我を持つ女性型オートマタ(自動人形)と不登校女子高生のSF風味の恋愛小説。転生モノに見せかけて、実は……といった叙述トリック的などんでん返しが楽しい。帯には「百合xSFの最前線」とあるが、百合でもSFでもないような気がするので、それらを期待すると裏切られるかも。セブンスがイチコに惹かれていくのが、男子高校生の自我からくるものだとすれば、たとえ見た目が女性同士であっても百合ではないと思ってしまうのが悩ましいところ。そういう意味では普通の恋愛モノに近いのかも。

小説!?Dr.スランプ (1981年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)小説!?Dr.スランプ (1981年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)感想
読了日:06月11日 著者:辻真先
小6か中1以来の再読。同作者の『小説!!!ルパン三世』に比べると、原作がギャグ漫画のため物語性が弱いのはしかたがないところか。ギャグ漫画を小説に起こすだけでなく、メタ的にしてみたり、クイズを入れたり、タイポグラフィを使ったりと楽しめる小説にしようとしているのがよく分かる。内容的にはさすがに今読むと……だが、当時はマンガ・アニメ禁止な家庭もあっただろうし、そういった人たちの救いにもなったんだろうなと思う。集英社からの出版なので、本家マンガのイラストを多数流用しているのも、ポイントが高い。

小説!?Dr.スランプの逆襲 (1982年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)小説!?Dr.スランプの逆襲 (1982年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)感想
読了日:06月13日 著者:辻真先
小説版の第2弾。ギャグ漫画を小説に起こすだけでなく、小説として楽しめるようにしているのは前作同様。芥川龍之介や横溝正史などの文体を模倣するパスティーシュが読みどころ。また、各キャラが小説を書く形で物語を進めているところも楽しい。内容的には今となっては……だが、漫画と違って絵で見せることができない分、小説ならでは魅力を伝えようとしているところが、ただのノベライズではなくて素晴らしい。

Dr.スランプ〈映画編〉 (1982年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)Dr.スランプ〈映画編〉 (1982年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)感想読了日:06月14日 著者:雪室俊一
Dr.スランプ映画版のノベライズ。辻真先によるTV版ノベライズと違い、ただ映画のストーリーを追っただけに見える。映画版未見のため、そのあたりは詳しくはわからないが、言ってみれば普通のノベライズ。009もだけど、この頃は映画版になれば宇宙へ行くのが定番になっているのは、ヤマト・999・スターウォーズあたりが人気だったからか。そういえば、これに登場するモビルスーツ・リブギゴのプラモは買った。ドムっぽさもあって、結構好きなデザイン。作中ではリブギコになっているけど、リブギゴだよね?

ROOM NO.1301: おとなりさんはアーティスティック!? (富士見ミステリー文庫 16-5)ROOM NO.1301: おとなりさんはアーティスティック!? (富士見ミステリー文庫 16-5)感想
読了日:06月15日 著者:新井 輝
面白くて一気読み。00年代序盤のラノベには珍しい、肉体関係ありの恋愛もの。クラスメイトに告白された日に、別の女性と関係を持って、告白相手とは付き合うも手も握れず、そのことをからかう姉を襲う、と物語の流れだけを見ると結構えげつない。ただ直接的な性描写はないためポルノにはならず。終始、主人公の少年は他者との関係性に悩んでいて、そのあたりの感情は繊細。12階建てのはずのマンションに何故か存在する13階。この不思議要素が今後の物語にどのような影響をもたらすのか、今巻だけではわからず。続きが読みたくなる。

ROOM NO.1301 #2 (富士見ミステリー文庫 16-7)ROOM NO.1301 #2 (富士見ミステリー文庫 16-7)感想
読了日:06月15日 著者:新井 輝
12階建てマンションの13階に集まる面々は、それぞれなにかの欠陥があるのかもと思わせる第2巻。前巻最後に登場した有馬冴子メイン回。誰とでも寝る女と言われていた冴子はSEX依存症だった、ということで同じ部屋で過ごすことになった主人公と…… 最終的にはこういった内容だが、ここへ至るまでの物語が1301号室へ集まる面々、主人公姉、主人公彼女らの繊細な感情のやり取りで描かれている。物語としての大きな盛り上がりはないのだが、引き込まれていく内容。1301号室に集い鍋を囲んでの丁々発止のシーンは秀逸だと思う。

ROOM NO.1301 #3 (富士見ミステリー文庫 16-8)ROOM NO.1301 #3 (富士見ミステリー文庫 16-8)感想
読了日:06月15日 著者:新井 輝
今巻の印象としては、前2巻に比べて散漫だなと。普通のラブコメなら盛り上がるであろう、夏休み海水浴回なのだが、この敢えて盛り上げようとしない姿勢が面白い。彼女以外とはSEXするけど、彼女としないのは彼女が求めてこないからなのだろうか。冴子とは毎日のようにしているということは、実質的な彼女は冴子なのだろう。好きにならないという約束があるから好きと言わないだけで、側にいたいとか体を求め合うとか、本人も認識しているようだし。海水浴から帰ってすぐに向かうというのも。むしろ千夜子の存在が邪魔になっている感じがする。

ROOM NO.1301 #4 お姉さまはヒステリック! (富士見ミステリー文庫)ROOM NO.1301 #4 お姉さまはヒステリック! (富士見ミステリー文庫)感想
読了日:06月18日 著者:新井 輝
前巻の終わりですごいのぶち込んできたと思ったら、さらなるすごい展開が待っていた。家で姉とやりまくっていたら、父母が戻ってくるという衝撃展開。一応今巻で姉は物語から退場で、あらたにシーナがやってくるが、これまた問題を抱えた人物で。性同一性障害で二重人格的な少女。主人公の次のお相手はこの少女なのだろう。シーナとはシーナ&バケッツとして、ストリートミュージシャンとして活動することになるのだが、さて、この物語はどこを目指しているのだろう。次巻も楽しみ。

ROOM NO.1301 ♯5 (富士見ミステリー文庫)ROOM NO.1301 ♯5 (富士見ミステリー文庫)感想
読了日:06月18日 著者:新井 輝
前巻の中盤からはシーナ中心の話であったが、今巻では窪塚姉妹を中心に話は進む。シーナが次のお相手かと思ったら、いきなり登場の錦織さんに主人公があっさり襲われる予想外の展開。物語的には千夜子(とツバメ)との夏祭り回で、それに絡む窪塚姉妹という構図なのだが、その底流には冴子と綾がいて、主人公は彼女らの存在に支えられているのではと思う。とりあえずシーナの恋愛の対象は、いずれ姉・佳奈から主人公に向かうことになるのかな。

ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・わん (富士見ミステリー文庫)ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・わん (富士見ミステリー文庫)感想
読了日:06月18日 著者:新井 輝
階段から落ちて記憶を失い別人格になった綾を巡る物語、蛍子と高校時代の友人宇美がスパリゾートに行く物語、鈴璃と弟・流輝、刻也と妹・狭霧4人の関係を描く物語を収録した短編集。本編から離れた物語だが、次の6巻を読むと後ろの2編は意外と重要な話だったとわかる。また前後編で描かれる別人格の綾の物語では、ひょっとしてこの人格は伏線なのかもと思う。インスタントラーメン云々から、綾の母の人格のような気がする。

Room no.1301 #6 お姉さまはストイック! (富士見ミステリー文庫 16-12)Room no.1301 #6 お姉さまはストイック! (富士見ミステリー文庫 16-12)感想
読了日:06月19日 著者:新井 輝
この巻でひとまず鍵原姉妹編はひと区切りになるのかな。それにしてもツバメと佳奈のやりとりは、お互い理解しようとしないから、読んでいてつらいというか鬱陶しいというか。他の人物は繊細さが言動に現れるが、この2人に関しては繊細なんだけど照れ隠しもあってガサツとも見える行動になるのかな。この2人が展開を遅くさせていて嫌だな。それでも物語は相変わらず淡々と進み、盛り上がりはないのだけど面白いという不思議な物語。そんなところにエピローグでまた姉・ホタルをぶち込んでくるという展開。次巻はエロ展開から始まるのか?

ROOM NO.1301(7) シーナはサーカスティック? (富士見ミステリー文庫)ROOM NO.1301(7) シーナはサーカスティック? (富士見ミステリー文庫)感想
読了日:06月20日 著者:新井 輝
一度は退場した姉が復活かと思いきや、最後の体の関係ということで、結果は以前のプロローグであったような。物語はひきつづきシーナ中心でやや意外。ただシーナの正体を佳奈がわからないということに疑問を覚える。たとえ男装して化粧したとしても、双子なら雰囲気からわかるんじゃないかな。前巻から展開がやや滞ってきている感じがする。シーナという興味深いキャラを投入したことで、それに引っ張られ過ぎのような。おかげで綾の存在がかなり薄くなってしまった。かわりに錦織が物語を動かすのに便利なキャラなので、そちらばっかりに。

ROOM NO.1301しょーとすとーりーず・つー (富士見ミステリー文庫 16-14)ROOM NO.1301しょーとすとーりーず・つー (富士見ミステリー文庫 16-14)感想
読了日:06月20日 著者:新井 輝
短編集第2弾。雑誌掲載の3編は初見さんでもわかりやすいように、色っぽく楽しめる作品。第1編は今だとこんな作品アウトだろうなと。書き下ろされた最後の1編が今後重要になってくるであろう、冴子のバイト先の話。バイト先のマスターは、佳奈日奈と血縁関係、学生時代には錦織らとの関係ありで、今後重要な位置づけになるのかもと思わせる。ただ登場人物増やすのはいいけど、関係が未消化で物語が進まないなと。

小鳥遊ちゃんは打ち切り漫画を愛しすぎている (MF文庫J)小鳥遊ちゃんは打ち切り漫画を愛しすぎている (MF文庫J)感想
読了日:06月24日 著者:望 公太
00年代後半に人気のあった『ラノベ部』や『生徒会の一存』系の作品で、部室でダラダラ喋るだけの物語。打ち切り漫画を愛する小鳥の偏愛的発言を漫画家の卵である主人公が嗜める? そこに人気漫画至上主義の四月、漫画自体を否定する東海先生も加わり、ダラダラとした日常が描かれる、と思いきや意外と時間の進みは早くて、最後はあっと驚く展開で面白い。短編コンテスト1位で長編化されたもの。あとがきによると長編化に際し苦労されたようで。面白いのが、物語の構造が小鳥が好きな打ち切り漫画のテコ入れをなぞっているようなところ。続

聖ミカエラ学園漂流記 (電撃文庫 た 2-1)聖ミカエラ学園漂流記 (電撃文庫 た 2-1)感想
読了日:06月24日 著者:高取 英
82年初演作品の戯曲の小説化。文章も物語の展開も荒削り。少年十字軍で奴隷船から逃げ出した少年ハンスが現代に少女として転生し、聖ミカエラ学園の学園長の野望を打ち砕き、少女たちを引き連れ時代を超えて島原の乱を制圧する物語。舞台の小説化ということで、場面転換での省略が演劇っぽくて、やや唐突感がある。また学園3000人というのは、人数盛りすぎで活かせていないなと。後半の島原の乱に関わる部分は面白いのだが、前半の太平洋戦争絡みの話は学園モノを書きたかったのだろうけど、色々とおかしくて不満。

ROOM NO.1301 #8 (富士見ミステリー文庫 16-16)ROOM NO.1301 #8 (富士見ミステリー文庫 16-16)感想
読了日:06月25日 著者:新井 輝
通算10巻目だが、物語は遅々として進まず、さすがに飽きてきて、読む手が何度も止まってしまった。シーナ編が長く続いているのに、関係性は変わらず。作者はシーナというキャラを持て余してしまって、どうしようもなくなってしまったのではないかと推測。そのわりにまた咲良という新キャラをだして、どういう方向に持っていきたいのか不明だ。恋愛に向いていないという主人公に色々な女性が寄ってきて、多様な関係性を持つのがこの作品のテーマだったと思うのだが、シーナによって展開が目詰まりを起こしてしまったよう。シーナ編終了を求む。

誰が勇者を殺したか (角川スニーカー文庫)誰が勇者を殺したか (角川スニーカー文庫)感想
読了日:06月25日 著者:駄犬
面白くて一気読み。タイトルから犯人探しのミステリ的な物語かと思っていたが、さにあらず。魔王を倒した勇者一行だったが、勇者は戻ってこず。仲間は彼は死んだというが…… 序盤では勇者とともに戦ったメンバーから勇者の人物像を語らせ、中盤では勇者の正体をあっけなく明かす展開。ここでまず驚かされたが、さらに勇者の誕生には裏があったと、二度目のびっくり。エピローグにはほのぼのエピソードをいれるなど、構成的にうまいなと。荒削りな面白さではなくて、完成度の高い面白さを感じた。このラノ2025で何位になるのか興味深い。

ROOM NO.1301しょーとすとーりーず・すりー (富士見ミステリー文庫 16-17)ROOM NO.1301しょーとすとーりーず・すりー (富士見ミステリー文庫 16-17)感想
読了日:06月27日 著者:新井 輝
短編集第3弾。本編が遅々として進まないので、短編のほうが楽しいかも。雑誌掲載の3編はそれぞれ鈴璃、ツバメ、狭霧を中心とした話。描き下ろしは新キャラ、編集者の薫沢と早苗の小説のアニメ化などを巡る掛け合い漫才のような会話が楽しい。個人的に狭霧のキャラが興味深いので、もっと本編に関わってきてほしいなとも思う。

ROOM NO.1301 #9 (富士見ミステリー文庫 16-18)ROOM NO.1301 #9 (富士見ミステリー文庫 16-18)感想
読了日:06月29日 著者:新井 輝
やっと物語が動き出した。エピローグのインパクトが大きくて、途中の物語の印象が薄れてしまいそうだけど、重要なのは健一がある種の開き直りを得て、綾と肉体関係を持ったところ。普通の恋愛とか、普通であることにこだわり、ウジウジとして物語が進んでいなかったのが、これで物語が進むことができそう。健一はある種のゲスの道を進むことになるのだろうか。そこにきてラストのシーナの告白。さて、続はどうなるのか?ってところで、次は短編集。リアルタイムで読んでいた人はどれだけ焦らされてたのか。

ROOM NO.1301しょーとすとーりーず・ふぉー (富士見ミステリー文庫 16-19)ROOM NO.1301しょーとすとーりーず・ふぉー (富士見ミステリー文庫 16-19)感想
読了日:07月01日 著者:新井 輝
前巻の衝撃のラストから一転、ほのぼの短編集。今までの短編集同様、健一以外を主にすることによって、それぞれのキャラの本編で描ききれていない部分を描き、深みを持たせていると言ったら良いか。面白くなくはないが、本編が佳境に入っている段階でこれを読むのは、ちょっと勢いを削がれた気がする。かといって今巻を飛ばしてしまうと、重要な要素を取りこぼしてしまいそうで、読まざるをえないというのが悩ましいところ。

ROOM NO.1301 #10 管理人はシステマティック? (富士見ミステリー文庫 16-20)ROOM NO.1301 #10 管理人はシステマティック? (富士見ミステリー文庫 16-20)感想
読了日:07月01日 著者:新井 輝
シーナ編最終章かつ物語の終わりが近いことを感じさせる、内容的にもボリューム満点の巻。シーナはマンションをでていき、綾も自身が変わろうとしていることを話し、健一の父が現れ自身の過去を告白、最初の頃に名前だけ出てきたゲンさんの登場と物語は収束に向かっていくところで、冴子が…… シーナ編があまりにも長くなったので、鈴璃の存在が割りを食ったように感じてしまう。いずれにしろ次巻が最終巻、どういった結末を迎えるのか楽しみ。

ROOM NO.1301 #11 彼女はファンタスティック! (富士見ミステリー文庫 16-21)ROOM NO.1301 #11 彼女はファンタスティック! (富士見ミステリー文庫 16-21)感想
読了日:07月01日 著者:新井 輝
ついに最終巻。冴子は亡くなったが、一応の大団円。そこからの後日談こそが、この作品の本質ではないかと。健一の本性は「誰とでも寝る男」でそれを受け入れる千夜子という構図。これは「誰とでも寝る女」冴子を理解しようとした健一と同じ。そういう意味でいうと、健一はシーナやスズメ、狭霧とも関係を持っていれば、もっと汚れた道を進むイメージができて良かったのではないかとも思う。妹からの告白を理解できなかった佳奈が否定的に描かれ、姉と子作りする健一が肯定的に描かれる畜生道な物語だった。00年代における異端の名作恋愛ラノベだ。

超能力はワインの香り (富士見ファンタジア文庫 7-1)超能力はワインの香り (富士見ファンタジア文庫 7-1)感想
読了日:07月06日 著者:藤井 青銅
お酒を飲むと超能力を使えるようになる少女を主人公とした、学園コメディで計4話からなる連作短編。主人公の少女と新聞記者が、日常に起こる諸問題を解決する、探偵物の学園バージョンといったところ。ただ高校の文化祭の最中に、前フリもなく、いきなり小学生が屋上から落ちそうになるとか、展開が強引なところがあって、むぅ~となってしまう。ミステリ的にも、活劇的にも、恋愛的にも展開していかなくって、やや物足りないかな。

猫は知っていたのかも: 菜子の冒険 (富士見ミステリー文庫 1-1)猫は知っていたのかも: 菜子の冒険 (富士見ミステリー文庫 1-1)感想
読了日:07月06日 著者:深沢 美潮
富士見ミステリー文庫創刊ラインナップのひとつ。ジュブナイルミステリとして面白くてイッキ読み。近所のお婆さんの様子が変だという気付きから、地域の歴史をたどることになり、隠された財宝の話へという展開がよい。あとがきで作者も続きを書く気満々みたいなのに続刊が出なかったのは、評判が良くなかったのかな? 非常にもったいないなと。解説にあるようにミステリでありながら、キャラクターの成長をしっかりと描いていて、ジュブナイル・ヤングアダルト的にもよくできた作品。富士ミスが目指したのは、こういう作品なんだろう。

月が射す夏: コバヤシ少年の生活と冒険 (富士見ミステリー文庫 4-1)月が射す夏: コバヤシ少年の生活と冒険 (富士見ミステリー文庫 4-1)感想
読了日:07月07日 著者:イタバシ マサヒロ
富士見ミステリー文庫創刊ラインナップのひとつ。後のLOVE寄せにつながる、青春ミステリLOVE風味な作品。物語自体は「月に帰ります」と書き置きを残していなくなった、母の過去や出自の謎を巡るものだが、主人公の少年と幼馴染の少女の恋愛未満の淡い物語でもある。さすが「BOYS BE……」の原作者といったところで、中学生男女間の微妙な関係がうまいなぁと。図書館の少女だけがよくわからないが、中学生男子の都合の良い妄想的なものかな。

ゲームデザイナーは眠れない: Heaven’s Game (富士見ミステリー文庫 5-1)ゲームデザイナーは眠れない: Heaven’s Game (富士見ミステリー文庫 5-1)感想
読了日:07月08日 著者:高山 浩
富士見ミステリー文庫創刊ラインナップのひとつ。高校中退のフリーターを主人公に、ゲームソフトハウスを舞台にしたミステリ。作者がゲーム業界の人なだけあって、業界に関する蘊蓄的なものが詳しい。作成中のゲームになぞられたような殺し方をされた女性、その裏にはソフトハウス買収の噂があり、さらには……といった内容。主人公は額に機械を当てると、それに関わる映像が見える特殊能力を持ち、それを使って犯人を探すというのは、ミステリとしてはズルいかな。つまらなくはないが、めちゃくちゃ面白いというわけではない。

黄金の血脈 (富士見ミステリー文庫 22-1)黄金の血脈 (富士見ミステリー文庫 22-1)感想
読了日:07月09日 著者:伊吹 秀明
ストーカーに付きまとわれている少女と過去に何かあったらしい転校生の少年。二人がコンビを組んで活躍するわけでなく、ふたつの物語が大きなうねりになることもなく、物語が散漫になってしまった印象。黄金の仮面を付けた死体、錬金術、オカルティズム、謎の組織と、面白そうな要素がありながらもそちら方面には深く立ち入らず終わってしまったのが残念。つまらなくはないが、めちゃくちゃ面白いというわけではないかな。

天使が降ってきた夏: エンジェル・ダスト (富士見ミステリー文庫 18-1)天使が降ってきた夏: エンジェル・ダスト (富士見ミステリー文庫 18-1)感想
読了日:07月13日 著者:マツノ ダイスケ
インターネットが当たり前になりつつある時代の物語。チャットにハマる女子高生が知らぬ間にネットアイドル的な存在に祀り上げられ、ストーカーも現れる。一方、父の女遊びによる家庭崩壊状態の中、母の失踪。ネットによる顔の見えない人物を原因とした恐怖や、母の失踪に関連する不思議な現象を描くサスペンス。読後感は眉村卓の幻想小説っぽいなと思ったら、「時をかける少女」「なぞの転校生」のタイトルがあとがきに出てきて、ちょっと納得。60~70年代ジュブナイルSFを00年代風したような感じといえばよいのか。

七不思議学園の風来坊 (富士見ミステリー文庫 4-2)七不思議学園の風来坊 (富士見ミステリー文庫 4-2)感想
読了日:07月16日 著者:イタバシ マサヒロ
学校の七不思議にまつわる場所で起こる事件の犯人を、風変わりな転校生と新聞部部長の少女が探す物語。前作『月が射す夏』に比べると青春恋愛要素が少なめで、正統派学園ミステリ。ギターを背負い、ボサボサのおかっぱ頭にギョロ目といった、奇をてらったような主人公の特徴があまり活きておらず、なぜこんな主人公にしたのだろうと思ってしまった。スナフキンのイメージなのはわかるが、行動自体が面白いので、見た目なんかはもっと普通でも良かったのになと。主人公に比べると、ヒロインとその後輩、先生なんかのキャラは良かっただけに残念。

夏を待つぼくらと、宇宙飛行士の白骨死体 (ガガガ文庫 ガし 9-1)夏を待つぼくらと、宇宙飛行士の白骨死体 (ガガガ文庫 ガし 9-1)感想
読了日:07月19日 著者:篠谷 巧
今は使われなくなった旧校舎、中学生の頃に貼った自作の呪いのお札を見に忍び込むと、そこには宇宙服を着た白骨死体!骨や宇宙服は本物なのか、そして手帳に書かれた謎の日記と挿まれていた謎の暗号文は何を意味するのか?中盤までは一気に引き込まれていった。しかし、とある人物が登場して、その人が長々と語ることで真相がほぼわかる展開は残念。最後の宇宙服を着てリレーというのも、若干意味不明に思えた。創作された呪文、隕石による事故死、シナリオに込められた思い、それらが宇宙服を着た白骨死体につながるのは面白いんだけど。

閉鎖のシステム (富士見ミステリー文庫 21-1)閉鎖のシステム (富士見ミステリー文庫 21-1)感想
読了日:07月21日 著者:秋田 禎信
面白いどうこうより、よくわからないというのが最初の感想。そしてじっくり思い返すと、このわからなさこそが面白いという、実によくわからない作品。ただメインとなる人物の思考や行動原理がよくわからなくて、狂人の独り言を延々と読まさせれているようで、読むのはかなり辛かった。物語の結末も投げっぱなしで、ミステリとしてはモヤモヤだけが残る。「プラーザという神である建築物の気まぐれ」に翻弄された人たちの物語で、ある種の幻想小説と捉えればよいのかな。

ホーム・チェリー・ホーム (富士見ミステリー文庫 49-1)ホーム・チェリー・ホーム (富士見ミステリー文庫 49-1)感想
読了日:07月22日 著者:結城 貴夜
おっとりした女子高生が、学校で起こった不思議な事件の謎を解く物語で、殺人の起こらない日常の謎系。朝の持ち物検査で取り上げられた物品が、仕舞っていたロッカーからなくなる、だれが盗んだのか?ということをきっかけに、学校における先生の人間関係や生徒の学校に対する不満などをあぶり出しつつ、学園青春物語としてうまくまとめている。ミステリとしてすごいとか、感動するとかじゃないんだけど、堅実に纏まっていてうまいなと。なお一応妖怪も出てくるけど、それほどストーリーにかかわらず、主人公の少女のバックアップ係といったところ。

描きかけのラブレター (富士見ミステリー文庫 63-1)描きかけのラブレター (富士見ミステリー文庫 63-1)感想
読了日:07月23日 著者:ヤマグチ ノボル
当時のラノベとしては珍しい、不思議要素がなく、キャラもそれほどエキセントリックでもない、等身大の恋愛物語。序盤の悪戯が読んでいて辛いものだったが、それ以外は物語に引き込まれていった。最終的に美少女のヒロインが、なぜ冴えない主人公にそこまで惹かれるのかがわからなかったが、好きという感情を抱いてからの4年間を、誤解やすれ違い、明かせない秘密など絡めて、揺れる関係性をきっちり描ききっていて面白い。今まで直球の恋愛小説は苦手だと思っていたが、この作品を読んで恋愛小説も良いものだと思い直すことに。

ニライカナイをさがして (富士見ミステリー文庫)ニライカナイをさがして (富士見ミステリー文庫)感想
読了日:07月23日 著者:葉山 透
作者いわく「ロードムービー風小説」。訳アリの人気モデルと、空港でたまたま出会った高校生の逃避行。舞台は羽田、沖縄本島、石垣島、波照間島と移っていく。ヒロインを好きになれるかどうかが、この小説を楽しめるかどうかのひとつ目のポイント。そしてヒロインの強引なふるまいの裏には……というのがまずあって、その上で巻き込まれた少年にも事情があって……。この少年側の事情がふたつ目のポイント。主人公の少年はもっと普通が良かったかな。この設定で完全に非現実な物語になってしまった。ヒロイン側の物語が面白いだけに残念。

遠く6マイルの彼女 (富士見ミステリー文庫)遠く6マイルの彼女 (富士見ミステリー文庫)感想
読了日:07月25日 著者:ヤマグチ ノボル
非常に良きオートバイ小説であり、最高の青春恋愛小説だった。亡き優秀な兄と比較しての劣等感、兄の彼女への憧れからの恋愛感情。オートバイをとばすことでしか、晴らせられない感情。それらをすべて飲み込んだ成長物語。年上の女性への憧れで「めぞん一刻」、最終的にオートバイで決着をつける「あいつとララバイ」と、80年代漫画を通ってきたものとして、共感しまくりの内容。主要な登場人物それぞれにもきちんとした背景があるし、それらがきちんと絡まりながら物語が完成するのも素晴らしい。久しぶりに読書で感動した。名作。

青春時計 (富士見ミステリー文庫)青春時計 (富士見ミステリー文庫)感想
読了日:07月25日 著者:川上 亮,森橋 ビンゴ,緋野 莉月
親友の高校生男子二人と米国留学を目指す少女、春休みの約10日間で、時計塔の壊れた時計を修理する青春物語。二人の男子からは少女に恋愛感情が向けられるが、少女はそれをわかったうえで利用するという、ある種の残酷な物語でもある。三人の作家の共著で、それぞれの作家が各キャラを一人称視点で順番に描き、物語の全体像がわかっていくという構成が面白い。そういう意味でミステリー的なのかも。高校生の青春模様は面白いなと思いつつも、創作だけど女性ってやはりしたたかで怖いよなと思う。

呪の血脈 (富士見ミステリー文庫 59-1)呪の血脈 (富士見ミステリー文庫 59-1)感想
読了日:07月31日 著者:加門 七海
ジャンルでいうと民俗学ホラーになるのだろうけど、それほど怖くはない。山奥の村に伝わる神木にさされていた薙鎌を抜いたことから始まる怪奇・幻想的な体験。民俗学者と神の血をひく家系の男。二人が微妙な関係性を持ちながら、裏の祭りに巻き込まれていく。新宗教の預言者、諏訪大社、鹿島神宮、香取神宮などが関わり、そして鹿・鹿・鹿。450pの大ボリュームで語られる物語で、主人公の見る幻想的な風景や心象が丁寧に描かれる。ただ展開がややゆっくり過ぎで中盤からは飽きてしまった。

さよなら、いもうと。 (富士見ミステリー文庫)さよなら、いもうと。 (富士見ミステリー文庫)感想
読了日:07月31日 著者:新井 輝
妹が生き返ることにより、現実が揺らぐ物語なのだが、不思議な読後感だった。よくわからない/つまらないという訳では無く、どちらかというと面白い。ただ死んだ妹が生き返り一緒に過ごすのに、実質、主人公と幼馴染の関係が重視されているのは、どうなんだろうと。妹の存在をどう受けとめればよいのだろうかと考えさせられる。結局、妹を二度殺しているわけだし。軽妙な会話で物語をサクサクと読まさせてくれるのはさすがなんだが。それにしても「お嫁さんはどこまでいっても他人」という言葉はすごいなと。

空とタマ: Autumn Sky、Spring Fly (富士見ミステリー文庫 79-1)空とタマ: Autumn Sky、Spring Fly (富士見ミステリー文庫 79-1)感想
読了日:08月01日 著者:鈴木 大輔
まず序盤のひたすら攻撃的で自分勝手な主人公の言動に嫌悪感を覚える。また「アレ」を無くしたというようなひっぱり方は嫌い。その後の質問合戦の展開で、これは面白いかもと思ったのだが、最終的には主人公の身の上話、不幸な生い立ち同士が励まし合う物語になってしまい残念。最後はどうやって脱出するかを協力してクリアして欲しかったかな。それ以前に物語の内容から考えると、最初から敵の正体は美少女とわかってしまう、表紙や口絵のイラストは、失敗じゃないかと思う。

うれしの荘片恋ものがたり ひとつ、桜の下 (富士見ミステリー文庫)うれしの荘片恋ものがたり ひとつ、桜の下 (富士見ミステリー文庫)感想
読了日:08月03日 著者:岩久 勝昭
冒頭がポエムみたいな文章で、ちょっとびっくりしたが、最後まで読んでからもう一度読むと、感慨深く読める。学生寮でワチャワチャする物語で、日常の謎×ラブコメなのだが、ちょっとどっちつかずになってしまっている印象。途中、保健医と主人公の会話に登場する「あの事件」が、それを聞いていないヒロインも「あの事件」と言っていたりと、文章にわかりづらい/おかしい部分があって、ちょっと苦手なタイプの作品。

麗しのシャーロットに捧ぐ: ヴァーテックテイルズ (富士見ミステリー文庫 83-1)麗しのシャーロットに捧ぐ: ヴァーテックテイルズ (富士見ミステリー文庫 83-1)感想
読了日:08月05日 著者:尾関 修一
これは面白い。ゴシックホラー×ミステリで、キャラで読ませる物語でなくて、構成で読ませるタイプ。第1部でいわく付きの屋敷に勤めるシャーロットの体験と意外な結末、第2部以降は時代を変えた物語と二転三転する真相が描かれる。読んでいてゾクゾクとくる。途中、どれとどれがつながっているのか、わからなくなるような目眩しを喰らいつつ、最後はすべてきっちりとまとめきっているのがすごい!「奇書」的な紹介をされたうえで読んだのだが、ラノベの範疇で収まっていないタイプの奇書だなと。絶版なのがもったいない。文句なしに名作。

パズルアウト (富士見ミステリー文庫 33-6)パズルアウト (富士見ミステリー文庫 33-6)感想
読了日:08月06日 著者:深見 真
表紙からほのぼの学園モノかと思ったら、意外とハードな物語。人の心を目に見える形で操作できる超能力を持つ象徴心理療法士が、連続自殺事件を解決する。心の問題を目に見える形にして、アクションもの的に解決するのが面白い。それでいて心理学・哲学用語を多用して、扱いの難しい心の問題を単純化しすぎていないところもよい。LOVE寄せ以降の作品だと甘く見ているとびっくりするかも。残念なのは、腹話術師ヒロインがあまり活きていないところで、続きがあればもっと腹話術人形も活きてくるのだろうなと思ったり。

人形はひとりぼっち: THE DOLL HUNTER (富士見ミステリー文庫 60-1)人形はひとりぼっち: THE DOLL HUNTER (富士見ミステリー文庫 60-1)感想
読了日:08月07日 著者:中島 望
面白くて一気読み。LOVE寄せ以降の作品なのに、バンバンと人が殺され、グロいシーンもあって、意外とハードボイルドな物語。クローン人間を作る技術が確立し、それらは違法とされる時代、クローンは「人形」と呼ばれ人権はなく狩られる存在。二人の女子高生が人形が狩られるシーンを目撃したことから、クローンを狩る組織に無理やり取り込まれていく。ドールハンターの非情さ、クローン第1世代として生み出された人たちの苦悩が描かれていて、物語に引き込まれていく。正体をつかみにくい第1世代クローン、その証明方法があまりにも辛い。

僕らA.I. (富士見ミステリー文庫 65-1)僕らA.I. (富士見ミステリー文庫 65-1)感想
読了日:08月09日 著者:川上 亮
三つの器(素体)にはそれぞれの意識があり、それとは別の一つの意識が現れ、それぞれの器に入り込む様になる。別の意識が入りこまれると元の意識は記憶がない状態。さてどうすべきか?と問う物語。SF的な物語であるが、素体とは?突如別の意識が発生したのはなぜ?といったSF的な方面へは進まず、自己犠牲は正しいのか?見た目は同じでも意識が違うとそれは別人なのか?といったことがテーマになる。本編にはモヤモヤが残るが、あとがきで語られる作者と祖母の旅行エッセイがテーマを補完する形になっていて、そこまで含めると楽しめた。

幽霊列車とこんぺい糖: メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫 67-3)幽霊列車とこんぺい糖: メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫 67-3)感想
読了日:08月10日 著者:木ノ歌 詠
評判通りの面白さで一気読み。読んでいる途中「狂おしい」という言葉が思い浮かび、あの年代の少女の持つ狂気を感じた。終盤、海幸とリガヤの死を与える/受け入れる立場が入れ替わる展開も素晴らしい。咲き誇るひまわり畑に佇む、放置された列車というコントラストのあるイメージも素晴らしいし。序盤は桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は~』の影響を強く感じたが、読み進むとこの作品自体が「砂糖菓子の弾丸」でファンタジィだなと思う。そういう意味で「実弾」を喰らうような、ひりつくような感じはなくって、甘くて幸せな物語の味わいであった。

たましいの反抗記 すてるがかち! (富士見ミステリー文庫)たましいの反抗記 すてるがかち! (富士見ミステリー文庫)感想
読了日:08月12日 著者:水城 正太郎
巨大学園都市を舞台に、それを持つと人を魅了できる校章を巡る闘争が描かれる。ただ、キーアイテムの校章を偶然手に入れる、主人公がちょっと生意気な感じの女子中学生で、これが全くといってよいほど魅力がない。舞台となる学園では学部ごとに組織されていて、学部間での戦いとなる中盤は面白いのだが、物語を引っ張っていく主人公に魅力がないので、終始冷めた感じで読んでしまった。壮大な物語の始まりの部分で終わっていて、続いていれば面白くなるかもしれないのだが、続きは出ていない。ラノベで主人公キャラに魅力がないのはやはり致命的。

あした天使の翼をかりて…: リリカルレストラン (富士見ミステリー文庫 61-1)あした天使の翼をかりて…: リリカルレストラン (富士見ミステリー文庫 61-1)感想
読了日:08月12日 著者:大倉 らいた
現在のライト文芸につながるような、持ち込まれる謎をシェフが解明するタイプの作品。学園で起こる幽霊騒動、主人公が過去に見た謎の村など、ミステリ好きな女子高生の周りで起こる謎を天才シェフが解き明かす物語。謎解きだけに重きを置かず、主人公のシェフに対する淡い思いなども絡めて、青春モノにしているのが、富士ミスらしさといえるのかも。小さい謎解きを重ねつつ、主人公とシェフの関係性が深まっていく形でシリーズとして続いていけば、面白さが発揮されるであろう作品だと思う。この1巻だけでは、物足りなさが残り非常に残念。

仮面は夜に踊る (富士見ミステリー文庫)仮面は夜に踊る (富士見ミステリー文庫)感想
読了日:08月15日 著者:名島 ちはや
江戸川乱歩の少年探偵団オマージュ作品。言ってみれば少年探偵団vs(黄金仮面ならぬ)銀仮面なんだけど、少年探偵団の副団長の生い立ちや銀仮面の娘を絡めて、ちょっと変化を与えている。名探偵と怪盗のライバル関係が繰り返される、悪には悪の美学なり理屈なりがある、といったジュブナイルでは描きにくいところをやっているのが面白い。ちょっと気になったのは、少年探偵団メンバーの年齢。どれぐらいの年齢なんだろうか。3年後に戻ってくるのって、ちょっと早くない?

初恋セクスアリス (富士見ミステリー文庫 78-1)初恋セクスアリス (富士見ミステリー文庫 78-1)感想
読了日:08月16日 著者:矢野 有花
「ひと夏の経験」物のただのラブコメかと思ったら、民俗学的な化け物を絡めた少女小説で面白い。特に化け物退治の方法が力だけの解決でなくて、きちんと民俗学的知識を持って対処している所が良い。終盤になるまでは、タイトルと内容が乖離していて酷いタイトルだなと思っていたが、終わってみればタイトル通りの内容だったと思う。化け物を退治したけど、処女のままだと今後また襲われるかもしれないから初体験しちゃうっていうのは、幼馴染で好きあっている者同士の言い訳とはいえ、なかなか斬新だ。

鬼切り夜鳥子 ~百鬼夜行学園~ (ファミ通文庫)鬼切り夜鳥子 ~百鬼夜行学園~ (ファミ通文庫)感想
読了日:08月22日 著者:桝田 省治
設定やキャラはいいのに、文章がこなれていないので読みにくくて残念。一つの体に二つの意識があるというのは、声で表現できるアニメと違って、文章で書くと難しいのよね。小説デビュー作なので、これは仕方がないか。七日間の出来事を毎回、走る(逃げる)シーンから始まる、新しい式神登場、最終的にボスキャラとの戦闘と、ステージクリア型のアクションゲームを踏襲しているが、物語としてはもう少し変化がほしいかなと。ただ入墨から実体化する式神、ちょっと色気のある描写など、面白くなりそうな要素が多く、ぜひ続きを読みたいと思う。

鬼切り夜鳥子2 京都ミステリーツアー (ファミ通文庫 ま 2-1-2)鬼切り夜鳥子2 京都ミステリーツアー (ファミ通文庫 ま 2-1-2)感想
読了日:08月28日 著者:桝田 省治
修学旅行先の京都を舞台に、バラバラ殺人事件犯との京都の街を巻き込んだバトルが描かれる。400p超の大ボリュームで、清水の舞台は崩れ、金閣寺が崩壊するなど、かなりの暴れっぷり。夜鳥子以外のメインキャラも、どうやらかなりの血筋らしく、それぞれ過去の因縁話に繋がりそうであるが、今巻ではそこまでいたらず。物語の部分部分は迫力もあって面白いのだが、全体としてみるとちょっと大きな盛り上がりに欠けるというか、全体を引っ張る魅力が弱いのかな。文章もやっぱりちょっと読みにくくて、次はもう読まないかも。

黒猫館・続 黒猫館 (星海社FICTIONS ク 1-1)黒猫館・続 黒猫館 (星海社FICTIONS ク 1-1)感想
読了日:08月29日 著者:倉田 悠子,岡崎 武士
80年代後半に大ヒットとなったアダルトOVA「くりいむレモン」シリーズのノベライズ作品。「黒猫館」は下品なポルノ小説ではなく、上品な官能小説といったところ。昭和16年、T大生の主人公が書生募集の広告を見て応募、採用されたのは山奥にある洋館。そこで繰り広げられる女主人とその娘、そしてメイドとの官能の日々を描く。面白いと思ったのは、黒猫館からの逃亡以降もきちんと描かれているところ。戦中から戦後すぐまでの時代背景とともに、背徳的というか刹那的というのか、享楽の中に生きる女主人・冴子の姿が描かれているのも良い。続

彼女でもない女の子が深夜二時に炒飯作りにくる話 (ファンタジア文庫)彼女でもない女の子が深夜二時に炒飯作りにくる話 (ファンタジア文庫)感想
読了日:09月02日 著者:道造
金持ちで他者を蔑むような主人公の視線で、奇矯な振る舞いでいいよってくるヒロインが描かれる前半は、退屈で読む手が何度も止まった。しかし後半、ヒロインの幼馴染が登場し、主人公、ヒロイン両者の過去が独白で語られると、物語の見え方が一変し面白くなってくる。が、三角関係が盛り上がってくるところでなぜかバトル勃発。しかも最終的な勝者が…とは。タイトルからして、ただのラブコメだとは思っていなかったが、想像の斜め上の物語、しかも登場人物みんな一癖あって面白い。奇妙な味わいの作品で、奇書といっても良いかも。

トラップ (富士見ファンタジア文庫 19-2)トラップ (富士見ファンタジア文庫 19-2)感想
読了日:09月03日 著者:上原 尚子
1969年ベトナム戦争時、主人公の所属するアメリカ軍のとある部隊にくだされた秘密指令、それはソ連が開発し北ベトナム軍が使用する新型殺戮兵器の破壊。部隊は主人公ともう一人を除き壊滅、そこから始まる彼らの復讐の物語。ベトナム戦争がメインで描かれるかと思ったが、戦争がきっかけの復讐がメインの話だった。復讐のために整形、パスポートを偽造し、あらゆる手を尽くしたうえで迎えた結末は残酷な結果に。あとがきにも言及があるが、戦争もの+マフィアもので映画的というか、映像作品からの影響をひしひしと感じた。

負けヒロインが多すぎる! (ガガガ文庫 あ 16-1)負けヒロインが多すぎる! (ガガガ文庫 あ 16-1)感想
読了日:09月11日 著者:雨森 たきび
アニメが面白い(現在進行形)ので原作にも手を出してみた。こういうのはハルヒ以来。物語の流れはアニメで知っているので、アニメ化にあたり、どこを省略したのかとか、どういうアレンジを加えたのかといった見方になってしまうのは仕方がないか。とりあえず第1巻ではキャラクター紹介が中心で割とあっさり目、恋愛的な部分で踏み込んでるのは、小鞠だけの印象。ちなみに冒頭、華恋がイギリスに行くという話がどうなったのかが、よくわからない。転校するんじゃなかったのかな?草介が迎えに行って取りやめになった?

私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)感想
読了日:09月11日 著者:斜線堂 有紀
面白くて一気読み。母から育児放棄されていた少女と天才小説家の共犯関係。まず冒頭の「敬愛と執着」の文章が良い。また先生の名を借りた作品と自身を出した作品が、それほど変わりがなかったと文芸部部長に指摘されるところが面白い。最終的に悲しい結末であるが、少女がゴーストライターとなった時点で、先生の作家としての人生は終わっていたわけだし、自身で告白的な作品を書かせてあげたほうが良かったと思う。そうすればまた別の結末があっただろうに、それを許せなかった少女の思いは「敬愛と執着」で揺れ動いていたんだろうね。

血まみれ学園とショートケーキ・プリンセス (電撃文庫 し 1-1)血まみれ学園とショートケーキ・プリンセス (電撃文庫 し 1-1)感想
読了日:09月13日 著者:真行寺 のぞみ
奇書と聞いて。幸運にも入手できて喜び勇んで読んだが、ただひたすら脈絡のない夢を読まされた感じ。それ故の奇書だろうけど。作中で主人公は「つまらない大人にはなりたくない」といい、小説を書くことになる。それがこの本というメタ構造なのだが、この本を楽しめない私は、まさしくつまらない大人なんだろうと。ミッキーを始めとする有名キャラを出して楽しませるだけでなく、物語として、夢の発生やユージや西野さんの存在について、もっと踏み込んで欲しかったかな。入手困難本だが、何が何でも読んだほうが良いというほどではないかな。

負けヒロインが多すぎる! (2) (ガガガ文庫 あ 16-2)負けヒロインが多すぎる! (2) (ガガガ文庫 あ 16-2)感想
読了日:09月15日 著者:雨森 たきび
1巻は恋に敗れたヒロインたちが、主人公の周りに集まる構造自体が従来のラブコメラノベと趣を殊にした、新鮮な作品だったが、2巻では恋に敗れた女子がそれを反芻し区切りをつける物語で、一人のヒロインにスポットを当て深堀りしていく正統派な恋愛物語だと思う。アニメ第7話でも感動的に描かれた、終盤の小学校校庭から帰宅のシーンがやはり良い。特にイラストの入れ方が良くて、イラストの存在がただの飾りでなく、物語のインパクトを増幅する役を担っているのが素晴らしい。あとアニメでは描かれていない、文芸部員の作中作が色々と面白い。

負けヒロインが多すぎる! (3) (ガガガ文庫 ガあ 16-3)負けヒロインが多すぎる! (3) (ガガガ文庫 ガあ 16-3)感想
読了日:09月16日 著者:雨森 たきび
1巻で部長に告白するも玉砕した小鞠をメインとし、文化祭準備での奮闘とその後を描く。部員たちの協力を得ての文芸部の展示成功と、その後の生徒会での部長会の2段落ち。文化祭終了後の小鞠と部長、2人だけの時間は檸檬の時のように直接描かず、主人公を通して描くところに意味があるのか。小鞠と2人の先輩、計3人の時間から、小鞠と主人公の2人の時間をはさみ、新文芸部部員4人の時間へとたたみかけるような展開が面白い。ただ、このままだとハーレム的な展開になってしまわないかと危惧するが、次巻で裏切ってくれることを期待する。

変人のサラダボウル (ガガガ文庫 ひ 4-15)変人のサラダボウル (ガガガ文庫 ひ 4-15)感想
読了日:09月19日 著者:平坂 読
はがない以来の久々の平坂作品。アニメが面白かったので、手を出してみた。岐阜を舞台に、探偵、異世界の皇女、女騎士、悪徳?弁護士、宗教家など個性的な面々が入り乱れての群像劇。第1巻ということで、登場人物の紹介的でサラッとした感じなのは、続刊前提なので仕方がないところか。大きな展開がないのは、アニメでわかっていたことだし。今のところ皇女の物語と、女騎士の物語が別々に進んでいるので、これが合流するとさらに面白くなるのだろう。もちろん探偵モノとしての展開にも期待している。

これは学園ラブコメです。 (ガガガ文庫 く 4-1)これは学園ラブコメです。 (ガガガ文庫 く 4-1)感想
読了日:09月23日 著者:草野 原々
正直なところ、よくわからない物語だった。メタフィクションで、SFやファンタジー的展開などの「なんでもあり」から、学園ラブコメの流れを守る物語。物語を楽しむというより、「なんでもあり」的展開を楽しむギャグ小説と受け取ればよいのだろうか。頭の良い人が面白いと思ってやってることが、そうでない人にとってはポカーンとなる感覚といえばよいのだろうか。

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川文庫)涼宮ハルヒの憂鬱 (角川文庫)感想
読了日:09月29日 著者:谷川 流
解説が筒井康隆と聞いて購入。アニメで何度も見ているし、スニーカー版も3回くらい読んでいるので、解説だけ読んでも良かったのだけど、それだと寂しいなと思い久々に読んでみることに。エキセントリックなハルヒの言動、キョンの語り、ストーリーもすでに知っているうえで読んでも面白い。やはりもう永遠の定番というか、『時をかける少女』『ねらわれた学園』等と同様に、これからもずっと読みつがれていく作品だなと改めて認識。あと解説の筒井康隆はやはり筒井康隆だった。

先生とそのお布団 (ガガガ文庫 い 10-1)先生とそのお布団 (ガガガ文庫 い 10-1)感想
読了日:09月29日 著者:石川博品
ヒットシリーズのない中年ラノベ作家・石川布団と人語を話す猫・先生のラノベ業界物語。実体験だろうなと思われるところがあるので、自伝的小説といえるのだろう。書き上がった作品がなかなか出版されなかったり、発売日を出版社都合で延期させられたり、作家と絵師の微妙な関係があったりと、散々な目にあいつつも、それでもラノベを書き続けていく姿に感動。そして最後の先生との別れに、こみ上げてくるものが。派手さはないが、しんみりと良い作品。

聖エルザクルセイダーズ集結! (角川文庫―スニーカー文庫)聖エルザクルセイダーズ集結! (角川文庫―スニーカー文庫)感想
読了日:10月01日 著者:松枝 蔵人
学園ドタバタコメディ。章と章の間に謎解きがあって、物語+αで楽しませてくれる。ただ、いかにも80年代なセクハラ的行為がナチュラルに行なわれるので、現在では素直に楽しめないところも。物語は親から託されたペンダントをもつ5人が集まり、学園を変えようとする謎の集団、ペンダントを狙う謎の少女などと戦うもの。今巻では詳しいことは不明で、人物紹介的な内容。基本的に面白いが、文章的な不満が一つ。カメラアイがどうのこうのと、映画のカット割りのような見せ方をするのだが、文章の流れを悪くしているだけでよろしくないと思う。

聖(セント)エルザクルセイダーズ2激動! (角川文庫―スニーカー文庫)聖(セント)エルザクルセイダーズ2激動! (角川文庫―スニーカー文庫)感想
読了日:10月08日 著者:松枝 蔵人
学園ドタバタコメディ第2弾。前回で語られなかった敵の正体、謎の少女とクルセイダーズとの因縁がわかり、物語がいよいよ盛り上がってくる。章と章の間に謎解きがあるので、もっとミステリ的な展開なのかと思っていたが、わりとアクションバトル的な内容。前作であったカメラアイの文章が少なくなって、テンポよく進むようになったと思う。読んでいてふと、一人称で群像劇をやっていて、改めてこれはすごいことじゃないかと。80年代後半のジュブナイルでこれはなかなか斬新だったのではと思う。

聖(セント)エルザクルセイダーズ〈3〉聖戦! (角川文庫―スニーカー文庫)聖(セント)エルザクルセイダーズ〈3〉聖戦! (角川文庫―スニーカー文庫)感想
読了日:10月11日 著者:松枝 蔵人
学園ドタバタコメディ第3巻、物語は一応ここで終了で、次巻は番外編。クルセイダーズのメンバーが天草四郎の末裔と、やや無理矢理だがなかなかの衝撃展開。物語自体はぐっと盛り上がっていくが、視点を切り替えて進むため、細切れになってしまった印象。このあたりに一人称視点群像劇のデメリットが有るのかも。現在から見ると物語自体はシンプルで特段面白いといえないが、学園を舞台にしたキャラ小説、一人称を駆使した群像劇、物語に謎解きを仕込んだ構成と、時代性・先進性があり、ラノベ史に名を残すべき作品だと改めて思う。

聖(セント)エルザクルセイダーズ〈4〉乱入! (角川文庫―スニーカー文庫)聖(セント)エルザクルセイダーズ〈4〉乱入! (角川文庫―スニーカー文庫)感想
読了日:10月13日 著者:松枝 蔵人
チクリンと姫・オトシマエとの出会いを描く、本編の前日譚で番外編。本編よりも登場人物が少ないため物語自体もスッキリしていて、視点の移動もあっちこっちにならないため読みやすい。チクリンとその他三名の転入試験で、「敵」の刺客は、さて誰なのか?といったミステリー風。知の姫、力のオトシマエ、誰の懐にも飛び込め、かつ手近なもので武器を作ってしまうチクリンと、それぞれの能力が発揮される様が楽しい。

芸人ディスティネーション (ガガガ文庫 て 3-1)芸人ディスティネーション (ガガガ文庫 て 3-1)感想
読了日:10月14日 著者:天津 向
全巻やっと揃ったので、改めて通して読んだ感想。1巻はやはりキャラ紹介的に感じてしまう。なんとかお笑いの仕事だけで食べられているけど、煮えきらない生活の主人公。芸人志望の可愛い女の子が家に転がり込んでくることをきっかけに、お笑いを目指した頃の初心を思い出しつつ、お笑いの仕事だけで食べていけない先輩が芸人を辞めることで、新たな出発点に立つことに。ラノベっぽくしようとテンプレ的キャラを用意しているが、芸人はもともと個性的な人が多いので、型にはめなくても良いのになぁと思う。

芸人ディスティネーション (2) (ガガガ文庫 て 3-2)芸人ディスティネーション (2) (ガガガ文庫 て 3-2)感想
読了日:10月14日 著者:天津 向
主人公がNSCをモデルにした芸人養成校のカリキュラムや生徒に関わりつつ、芸人として上を目指す決意をする内容。新キャラとしてテレビではおしとやかな態度を見せるが、実は毒舌な先輩芸人が登場。黒髪貧乳ツンデレで、巨乳、幼女に続き、これまたテンプレ的。ラッキースケベを入れたり、頑張ってラノベっぽくしようとしているが、作者のお笑いに対する情熱が溢れていて、ラノベよりもライト文芸的になってきている気がする(このあたりはガガガらしい)。養成所の生徒に対して、なんども「ほとんどやめていくんだろうな」と呟くのが印象的。

芸人ディスティネーション (3) (ガガガ文庫 て 3-3)芸人ディスティネーション (3) (ガガガ文庫 て 3-3)感想
読了日:10月16日 著者:天津 向
やっと主人公が芸人として注目されるようになり、面白くなってきた3巻。とくに天才芸人天羽の存在が光る。主人公と天羽、前巻から登場した両々がテレビ収録でみせる、ボケ・フリ・ツッコミなどのやり取りがスリリング。芸人ってここまで考えてるのかと。作中のネタも楽しいし、ヒロインの芸人としての才能も見えてきて、一気に盛り上がって来た。ピン芸人NO.1を決める大会も始まり、主人公は優勝できるのか。作者のお笑いに対する情熱や冷静な分析も楽しい。ちなみに天羽のモデルはブラマヨの吉田さんかな?

芸人ディスティネーション (4) (ガガガ文庫 て 3-4)芸人ディスティネーション (4) (ガガガ文庫 て 3-4)感想
読了日:10月19日 著者:天津 向
「何のためにお笑いをやっているのか?」主人公が自身や他の芸人に問いかける、これこそがこの物語を貫くテーマなのだろう。主人公が導き出した答えは、やや平凡な気もするが、人と人との関わりこそがお笑いの原点にあるとすれば、これも当然か。やや駆け足で話をまとめてしまった感があるが、現役の芸人のお笑いに対する情熱が感じられ、きちんとまとまっていることも含めて良い作品だった。恋愛面では主人公が鈍感キャラというのもあって、煮えきらない感じで終わったが、こういう関係がずっと続くのがラノベ的な面白さなんだろうね。

女神転生: デジタル・デビル・ストーリー (アニメージュ文庫 N- 13)女神転生: デジタル・デビル・ストーリー (アニメージュ文庫 N- 13)
読了日:10月25日 著者:西谷 史


君と時計と嘘の塔 第一幕 (講談社タイガ アA 1)君と時計と嘘の塔 第一幕 (講談社タイガ アA 1)感想
読了日:10月29日 著者:綾崎 隼
面白くて一気読み。勝手に1巻毎に完結する連作物と思っていたが、完全な続き物。内容的にはループもの。タイムリープして過去に戻った時には、知り合いが一人存在しなくなっている。この一人ずつ存在が消えていくことに、大きく意味があるよう。今巻ではまだ詳しいことが見えてこないが、幼馴染の死を止めようと尽力するも意外な結末に… 5年前の地震(時震)、無くした懐中時計、破天荒で不思議な少女、主人公とともに謎を解こうと協力する先輩、謎はまだまだ明かされず。続きが気になる。

君と時計と塔の雨 第二幕 (講談社タイガ アA 2)君と時計と塔の雨 第二幕 (講談社タイガ アA 2)感想
読了日:10月30日 著者:綾崎 隼
面白くて一気読み。前巻の衝撃のラストから、さらに謎は深まるばかり。ちょっと話が複雑になってきて、こんがらがってきた。

君と時計と雨の雛 第三幕 (講談社タイガ アA 3)君と時計と雨の雛 第三幕 (講談社タイガ アA 3)感想
読了日:10月31日 著者:綾崎 隼
本巻も面白くて一気読みだったのだが、最後にきて、おやおやおやと。主人公が次のタイムリープで父親が消えると言っているのだが、ほぼ交流がないわけだし、どう考えても違うだろと。ラストは衝撃の展開ではなくて、そりゃそうだろと。これを主人公の考えの至らなさと捉えてもよいのだけど… この終盤の展開はご都合主義的で、疑問を感じた。

君と時計と雛の嘘 第四幕 (講談社タイガ アA 4)君と時計と雛の嘘 第四幕 (講談社タイガ アA 4)感想
読了日:11月02日 著者:綾崎 隼
前巻の終わりに疑問を感じて、本巻は懐疑的な読み方をしてしまったので、せっかくの大団円も楽しめなかった。特に芹愛が簡単に電車に飛び込み、自死をすること、その判断を主人公たちに委ねるのが不思議。終盤に向かって主人公にとって重要な人が芹愛から雛美に変わっているようにも感じて、芹愛の死でタイムリープが起こるのが不思議に感じた。8年前の新潟の件もあまり深堀りされず、最終的に恋愛ものとしてだけの決着には物足りなさを覚えた。

シスタースプリング: いつかの妹 (美少女文庫)シスタースプリング: いつかの妹 (美少女文庫)感想
読了日:11月05日 著者:ヤマグチ ノボル
ヤマグチノボル作品ということで、レーベルも内容も確認せずにネットで購入、届いてみたらジュブナイルポルノでビックリ。タイトルからもわかるように妹モノ。兄と妹、先生と生徒という立場での禁断の愛が描かれている。官能描写はそれほどハードではない。富士見ミステリー文庫の恋愛モノが面白かったので手を出してみたが、こちらは物語としてはそれほど大きな展開はなくて、恋愛モノ的な部分では物足りないかな。レーベル的には官能描写がメインなので、間違ってはいないのだが…

ラノベも俺も好きなギャル (ファンタジア文庫)ラノベも俺も好きなギャル (ファンタジア文庫)感想
読了日:11月12日 著者:川田 戯曲
随分と前からギャル物が流行っているようなので、とりあえず一冊ほどと思い読んでみた。ラノベ好きなオタクに、同じくラノベ好きなギャルがグイグイ迫ってくる話。ラノベをネタにした会話は楽しかったが、物語に起伏が少なくダラダラ続く感じで最後の方は飽きてしまった。一番の疑問は、ギャルがなぜそこまで主人公を好きになるのか。SNSでつながっていて、実際会ってみて交流を持つわけだが、そこに好きになる理由が特にないような気がする。また主人公の3次元女性を好きにならない理由も「推しに裏切られた」だけで薄っぺらすぎる。

魔都の戦士 (アニメージュ文庫 N- 18 デジタル・デビル・ストーリー)魔都の戦士 (アニメージュ文庫 N- 18 デジタル・デビル・ストーリー)感想
読了日:11月15日 著者:西谷 史
今回はエジプト神話のセトが降臨。日本、アメリカ政府も絡み、最終的には宇宙での戦いへとスケールの大きな展開。しかしながら、イマイチよく理解できない物語だった。コンピュータ通信で悪魔を降臨させるアイデアは面白いんだけど、その後の展開に魅力を感じない。主人公の最終的な決断が、世界より弓子ということで、前世からの関係をひきずった2人の物語である事はわかるが、それと悪魔との関わりが弱いのかな。それに前作から疑問だったのが、イザナミと弓子の関係。弓子がイザナミの転生なら、2人が共存するのはおかしいんじゃない?

転生の終焉 (アニメージュ文庫 N- 29 デジタル・デビル・ストーリー)転生の終焉 (アニメージュ文庫 N- 29 デジタル・デビル・ストーリー)感想
読了日:11月25日 著者:西谷 史
前巻が今ひとつ楽しめなかったが、本巻は面白くて一気読み。主人公がヒーローにもダークヒーローにもならない予想外の展開。主人公とヒロインが病室で過ごすだけの展開で、残りのページ数でどうなることやらと思っていたら、こういうオチにしますかと驚き。逮捕・裁判からの公開処刑って、主人公未成年なのに、そのあたりの説明がないのが残念。あとがきでは、予想していたような展開が否定されていてなるほどと。途中、原作版デビルマン的な展開もありつつ、色々なものが未消化だけど、この終わり方なら問題ないよね。イザナギ・イザナミの物語。

ルースターズの時代 THE ROOSTERS AND THE ROOSTERZルースターズの時代 THE ROOSTERS AND THE ROOSTERZ感想
読了日:11月27日 著者:今井智子
元メンバー及びマネージャー、関係者へのインタビューで活動時の現場状況やその裏側を掘り下げる内容。これまでにもメンバーからの話はあったが、マネージャーや制作関係者の証言は初めて知ることが多く、ルースターズが活動していた時期を知るものとして感慨深い。後期のフランスレコーディングやラストアルバムにまつわる話などは、大江慎也中心に語られていたこれまでのルースターズ話にはあまり登場しないエピソードなので、特に読み応えがあった。特に下山淳の語る話が興味深い。わだかまりがあるだろう灘友・柞山の話が聞けたのも嬉しい。

このライトノベルがすごい! 2025このライトノベルがすごい! 2025感想
読了日:11月27日 著者:
20周年記念で振り返り企画目当てで、久しぶりに購入。文庫1位は「だれゆう」と予想していたが、アニメ化ブーストの「マケイン」にかわされてしまったな。逆に「ロシデレ」はアニメ化ブーストの効果なく、アニメ化される事自体よりも、アニメの出来自体も重要と改めて感じる。「ロシデレ」アニメがだめというわけではなく、それ以上に「マケイン」が良かったということ。20周年特別企画はちょっと物足りないところもあったが、それなりに楽しめた。賀東招二・平坂読のコラムが良い。作品ガイドでは、面白そうな本を何冊か見つけることが出来た。

太陽の牙ダグラム 1 (ソノラマ文庫 88-A)太陽の牙ダグラム 1 (ソノラマ文庫 88-A)感想
読了日:12月02日 著者:星山 博之
全75話の長大な物語を全2巻でどのようにまとめているのかと思いながら読む。序盤のダグラムが活躍しだすまではアニメ同様じっくりとした展開。その後はダイジェスト的にサラッとした展開で、これはこれで仕方がないか。物足りなくて、これを読むとアニメを見たくなるので、逆にこれは良いノベライズではないかと。

太陽の牙ダグラム 2 (ソノラマ文庫 88-B)太陽の牙ダグラム 2 (ソノラマ文庫 88-B)感想
読了日:12月03日 著者:星山 博之
物語はパルミナのドガ奪還までで終了。CBアーマーのバトル描写はほとんどなくて、アニメのあらすじを追っているだけの印象。Jロックは少し顔を出す、ルコックは名前だけでてくる、デスタンはリタとの関係で名前が出るくらいと、アニメ終盤で重要となるキャラは、ほぼ描かれず。ただ、デイジーの行動はしっかりと描写されていて、クリンとデイジーの関係、そしてドナンとの死別を描くことで、クリンの成長物語としては、なかなか楽しめる内容だった。メカや人物の描写が少なくて、全体的にアニメを知らないとわかりにくいかもしれない。

ファンタジー王国 1 (カドカワノベルズ 124-1)ファンタジー王国 1 (カドカワノベルズ 124-1)
読了日:12月04日 著者:水野 良,松枝 蔵人,西谷 史,深沢 美潮


戦闘メカザブングル 1 (ソノラマ文庫 81-A)戦闘メカザブングル 1 (ソノラマ文庫 81-A)感想
読了日:12月16日 著者:鈴木 良武
出版当時読んだ記憶はあるが、内容はすでに忘却。再読して、まず一人称小説だったことに驚いた。この頃はまだソノラマでは珍しかったのではなかろうか。内容はアニメの設定に基づき、窃盗・殺人何をしても3日間逃げ切れば不問にされる世界で、両親を殺された主人公が3日間を超えて復讐相手を追い続ける物語。自身は3日間の掟を無視して復讐しようとしつつ、3日間の掟にしたがって盗んだものを自分のものにするという、非常に自己中な主人公。今にして思えばひどい話。第1巻では様々な要素が登場するだけで、どっちの方向に向かうのか不明。

戦闘メカ―ザブングル〈2〉 (ソノラマ文庫 229)戦闘メカ―ザブングル〈2〉 (ソノラマ文庫 229)感想
読了日:12月21日 著者:鈴木 良武
アニメの最後はエルチの洗脳が解けて、どういう訳だかわからないがみんなで走って終わり、という印象しか残っていない。小説版はアニメと全く違う終わりだが、これはこれで物語としては良かったのかも。主人公の復讐があっけなく終わってしまい、盛り上がりのポイントとしては不満に思ったりもしたが、物語の方向性がただの復讐譚ではなく、3日間の掟を破ってでも行動する人間性の回復を、管理者たるイノセントが待望しており、「地球の荒廃と人類の弱体化」からの復活だとすれば、これは良いノベライズだったのではと。惜しむらくはザブングル(続

巨神ゴーグ 1 (ソノラマ文庫 90-A)巨神ゴーグ 1 (ソノラマ文庫 90-A)感想
読了日:12月25日 著者:辻 真先,塚本 裕美子
わりとアニメに忠実なノベライズのように思う。アニメ自体が面白いくなかったので、この小説も同じ評価。オウストラル島の謎を巡る物語かと思いきや、主人公は全くこの島の成り立ちなどに興味はなく、ゴーグに乗って進むだけ。とにかく謎の島を巡る物語のはずなのに、この島を理解しているゴーグが勝手に進んでいくので、驚きがないんだよね。無敵のゴーグに乗っていれば安心だし。敵役のGAILも何をしたいのかわからず、なぜいきなりゴーグを攻撃するのか。普通、攻撃対象に子どもが乗っていたら、攻撃やめろってなるよね。

巨神ゴーグ 2 (ソノラマ文庫 90-B)巨神ゴーグ 2 (ソノラマ文庫 90-B)感想
読了日:12月29日 著者:塚本 裕美子
アニメとだいたい同じ流れで面白みはない。人類が解りあえるまで進化を待っていた異星人、入口の扉を爆破されただけで逆上して殺しまくるって、どれだけ狭量なのよって話。異星人同士が接触して、行き違いがあったうえで戦うことになるイデオンなんかに比べると、なんて奥行きのない話なのかと。またゴーグは3万年、どこにいたのだろう。海の中?悠宇たちが最初に襲われた異星人のメカ、あれもマノンの意図?GAILが島に来た当初、どういう対応したのかわからないのでなんとも言えないが、解りあおうと全然していないように思えるんだよね。

変人のサラダボウル (2) (ガガガ文庫 ひ 4-16)変人のサラダボウル (2) (ガガガ文庫 ひ 4-16)
読了日:12月30日 著者:平坂 読
物語としては(今のところ)大きな流れはないのだけど、各キャラが立っていて、読んでいて楽しい作品。ページ数が少ないのもあって、あっという間に読んでしまった。読んでいて思うのは、異世界から現代日本に転移してきて、美と魔力・体力でチートする、なろう系をひっくり返した感じなんだなと。サラは小学校に入りまともな道を進み、リヴィアは怪しげな宗教家に取り込まれていく、と。アニメで見ているので驚きはないのだが、4コマ漫画的な面白さといえば良いのか、各話が短くテンポよく心地よく進むのが良いんだろうなぁと思う。


変人のサラダボウル (3) (ガガガ文庫 ガひ 4-17)変人のサラダボウル (3) (ガガガ文庫 ガひ 4-17)
読了日:12月31日 著者:平坂 読
本巻も面白い。昔のジュブナイル作品では、異世界に転移したあと、如何にして戻るか?というのが主流であったけど、最近は元の世界に戻るよりも異世界で楽しむことのほうが多いように思う。この作品もサラやリヴィアは、意外と元の世界に未練はないようで、転移してきた現代日本でなんとか生き抜こうという姿が、面白く描かれている。小学校でそのカリスマ性を見せたサラは、この現代日本で力をつけていった先に、元の世界での権力を取り戻しに行く、という流れになることはあるのだろうか。


以上。

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