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スニーカー・ミステリ倶楽部『密室レシピ』を読んで【ラノベ・アンソロジー】

さて、今回はスニーカー・ミステリ倶楽部のミステリ・アンソロジー第3弾、『密室レシピ』を読んだ感想です。

ミステリ・アンソロジー 3 密室レシピ

著者:折原一、霞流一、柴田よしき、泡坂妻夫
イラスト:藤田新策
文庫:角川スニーカー文庫(スニーカー・ミステリ倶楽部)
出版社:角川書店
発売日:2002/04

「究極のミステリ」といえば、やはり密室殺人! そこで寝る者は必ず死ぬという部屋で発見された、死体と奇怪な棺〈トロイの密室〉。宙を飛び、撮影セットの東京タワーに突き刺さって死んだ男〈タワーに死す〉。あの猫探偵正太郎が観光用宇宙ステーションで遭遇した、真空の殺人〈正太郎と冷たい方程式〉。雪の夜、犯人は足跡すら残さずどうやってアトリエから消えたのか〈雪の絵画教室〉。超絶の奇想に満ちた、書き下ろしアンソロジー第3弾!

読んだ感想

トロイの密室 / 折原一

黒星警部シリーズの番外編ですが、黒星警部は登場せず、虹子と竹内刑事の活躍を描きます。設定が館モノで、そこに泊まると死ぬという呪いがあり、道具として登場するのが棺といかにも推理小説といった道具立てが楽しい作品です。

トリック自体は大味かもしれませんが、虹子と竹内のコンビが楽しく、気軽に楽しめる所が良いです。

なお、この作品は後ちに発売された角川文庫のアンソロジー『赤に捧げる殺意』にも収録されています。また、折原一「模倣密室 新装版: 黒星警部シリーズ5 」(光文社文庫)にも。

タワーに死す / 霞流一

映画の撮影現場で発生した殺人事件、特撮セットの東京タワーに串刺しされたのは特撮監督だった。

霞作品を読むは初めて。バカミスの第1人者ということで、こんなのあり得るのか?と笑ってしまいまいました。女優とマネージャーのコンビ物となっています。

なお、この作品は後ちに発売された角川文庫のアンソロジー『赤に捧げる殺意』にも収録されています。

正太郎と冷たい方程式 / 柴田よしき

作家・桜川ひとみの飼い猫である正太郎が活躍する、猫探偵正太郎シリーズの番外編。時代は22世紀、舞台は宇宙ステーションとSF設定になっています。宇宙ステーションのハッチ(エアロック)という密室を使った殺人事件です。

タイトルにある「冷たい方程式」は古典SFのタイトルから取っているようです。待機室や減圧室などちょっとSF設定なので、状況が分かりづらかったですが、全体的にユーモアミステリといった趣きで楽しむことが出来ました。猫の正太郎が可愛いので、別の作品も読んでみたくなりました。

こちらの作品は後に、柴田よしき「猫は聖夜に推理する」(光文社文庫)にも収録されています。

雪の絵画教室 / 泡坂妻夫

まず画家とモデルになる画商の女性の話で、スニーカー文庫としては、やや古めかしい設定だなと思ってしまった。また、殺人事件が発生し訪れた刑事がいきなりテレビをつけて、別の場所で起こった殺人事件の中継を見るというのが、ちょっと強引すぎる展開だなと。

推理小説としては大ベテランの作品で、さすがと思いますが、これがスニーカー文庫に収まるのはちょっと違和感があります。

こちらの作品は後に、泡坂妻夫「蚊取湖殺人事件」(光文社文庫)にも収録されています。

まとめ

折原一・泡坂妻夫作品は正統派で、霞流一・柴田よしき作品はユーモア寄りといったところでしょうか。4作品とも、それなりに楽しめましたが、やや物足りなさも残りました。全体的にあっさり風味といえばよいのでしょうか。密室殺人といった本格推理で短編というのは、トリックだけがポイントになってしまい、ドラマがやや薄味になってしまうのは仕方がないのかもしれません。

そんな中、霞・柴田作品が楽しめたのは、謎の部分よりもキャラクターの部分が大きいと思いました。そういう意味で霞・柴田作品はスニーカー文庫らしい作品だったのかな。

とりあえず本書で1番のミステリは、泡坂妻夫のような大ベテランがなぜ、このアンソロジーに描き下ろしで参加してくれたのかということでしょう。

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