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【80年代ちょっとマイナーなロボットアニメ】『機甲界ガリアン』は名作である?【アニメメモ】

さて、今回もアニメについてです。現在、dアニメストアに加入して、80年代ロボットアニメを見まくってます。

前回の『巨神ゴーグ』に続き、名作とも呼ばれる高橋良輔監督作品『機甲界ガリアン』を見た感想です。

機甲界ガリアン

出典:dアニメストア

1984年10月~1985年3月、日本テレビ他で放送。全25話。日本サンライズ制作。

あらすじ

平和な惑星アーストを、突如として鉄の巨人「機甲兵」を従えた征服王マーダルが侵略した。侵略を受けたボーダー王国の王は、生まれたばかりの息子ジョジョを重臣のアズベスに託して死亡。成長したジョジョとアズベスは、世の闇を打ち払うと伝えられる伝説の鉄巨人「ガリアン」を発見し、マーダルのために打倒に立ち上がる。

スタッフ

原作:矢立肇、高橋良輔/監督:高橋良輔/キャラクターデザイン:塩山紀生/メカニカルデザイン:大河原邦男、出渕裕/音楽:冬木透

放送された時代

『機甲界ガリアン』が放映された1984年当時のロボットアニメの状況です。1969年生まれの私は当時15歳くらいで、バリバリのアニメマニアでした。そんな私の個人的見解ですが、『機甲界ガリアン』の当時の立ち位置を考えます。

ガリアンが始まった84年10月の時点で放映されていたロボットアニメが、重戦機エルガイム(2月開始)、ビデオ戦士レザリオン(3月開始)、ガリアンと同じ10月開始が、超力ロボ ガラット、星銃士ビスマルク。4月に始まった超時空シリーズ3作目『超時空騎団サザンクロス』は不人気から、打ち切りになっていました。『機動戦士ガンダム』をきっかけとして始まった、リアルロボットアニメブームもほぼ終わりに近づいてきた年です。

そんな中始まった『機甲界ガリアン』を語る上で避けられないのが、この前年放送された富野由悠季監督『聖戦士ダンバイン』です。中世ファンタジー的な世界を舞台としたロボットアニメの元祖、現在では異世界召喚ものの元祖などとも言われている作品です。ダンバインでのファンタジー世界はあまり受け入れられたとはいえず、物語後半には地上(その時代の地球世界)に舞台を移すことになったわけです。

ダンバインが好きだった私は、中世ファンタジー的世界を舞台に、ダグラム・ボトムズのリアルロボットで名を馳せた高橋良輔監督がどういう物語を描くのか注目していました。和歌山県ではテレビ東京系の番組はネットされたり、されなかったりで、ダグラムは放送されたもののボトムズは見られず。幸いなことにガリアンは日本テレビ系。日曜の朝7時というまだ眠気も抜けない時間ながら放送されたので、リアルタイムで視聴することが出来ました。

ダンバイン同様ガリアンもそのファンタジー的世界が受け入れられなかったのか、残念ながら作品自体もプラモデルもそれほどヒットすることなく終了することになりました。しかし、中世ファンタジー的世界の物語が最後にイッキにSF的世界に展開する話に、私はしびれました。80年代ロボットアニメの中でも、好きな作品の一つであります。剣と魔法の世界を舞台とするファミコン版RPG『ドラゴンクエスト』が発売されるのが1986年、ライトノベルでファンタジー小説が大ブームを起こすのももう少し先。ダンバインもガリアンも少し早すぎた作品だったのかもしれません。

感想

最初に見た時は、中世ファンタジー世界が最後にイッキにSF的世界に変化すると思っていました。しかし、改めて今回見ると最初からSF的ガジェットが散りばめられた、完全なSF世界でした。当時は中世ファンタジー風の設定諸々に目が奪われてていて、理解できていなかったのだなと。

惑星アーストを舞台に、マーダルの侵略を受けたボーダー王国の生後まもない王子ジョジョが重臣アズベスの力で逃げ延び、成長後に伝説としてつたわる鉄巨人ガリアンを手に入れ、マーダルと戦う復讐の物語です。

このアニメの見所のひとつはロボットアクション。剣を使った戦闘が特にかっこいいのです。中世風の世界ということで、騎士道的な意味からか1対1の決闘になることが多くて、リアルロボット路線というより、スーパーロボット路線ともいえます。メカデザイン的にも、高橋アニメはそれまで顔のないロボットがメインでしたが、ガリアンはしっかり顔のあるロボットです。なお、剣にも鞭にもなるガリアンソード(蛇腹剣とも呼ばれる)はこのアニメきっかけの武器です。ボトムズから導入されたローラーダッシュでの移動もかっこいいです。

ただ、やっぱりこのアニメの本当の見所は、敵役となる征服王マーダルです。ジョジョの復讐の物語に見せかけてその先にマーダルの野望があり、最後まで物語を引っ張っていくのはマーダルであります。ということで、この物語の本当の主役はマーダルということです。

ジョジョの復讐物語は、惑星アースト内のひとつの国における小さな物語です。それであれば中世ファンタジー物語をロボットものに置き換えただけの話になります。映画スターウォーズが昔ながらの物語を、宇宙を舞台に特撮で見せたのと同じです。普遍的ではありますが、物語としてはそれほど面白くありません。マーダルの存在こそが小さな物語を、宇宙規模の大きな物語に引っ張り上げたといえるでしょう。

マーダルは「争いのない平和な世界になったゆえに、無気力になり文明も停滞してしまった人類」に活を入れるために、戦乱を起こすわけです。そこには「争いのない平和な世界」は人類の進化にとって本当に正しいのか? と問いかけてくるようです。

物語の最後、マーダルの野望はジョジョではなく、高度文明連合の謎の兵器イレーザーにより潰えることになります。ジョジョは母親を取り返すことに成功しますが、マーダルを倒すことは出来ていません。物語は結局、惑星アーストに戻れてめでたしめでたしで、爽快感は今ひとつです。しかも宇宙が平和になったところで、その先は高度文明連合が治める無気力な世界が続くと思うと、それで良いのかとも思ってしまいます。

ロボット自体はリアルロボットではありませんが、内容的には勧善懲悪ではなくリアルです。高橋良輔監督はダグラムでは政治的決着で戦争を終わらせ、ボトムズでは選ばれし主人公が世界を受け継ぐことを否定させています。どちらの結末も爽快感はありませんが、それぞれに考えさせられます。ガリアンもそれを見事に引き継いでいるといえるでしょう。

なお、魅力的なおっさんキャラクター征服王マーダルですが、NHK人形劇『プリンプリン物語』にでてくるルチ将軍を思い出した人も多いでしょう。ガリアンを中高生で見ていた人なら、小学生時代に『プリンプリン物語』を見ていた人も多いはず。それゆえにマーダルに親しみが湧いてしまうのかも。

評価

総合 4.0

ストーリー  5.0

作画  4.0

メカデザイン 3.0

主題歌  4.0

作画に関しては全話キャラクターデザイナーの塩山紀生氏が作画監督を担当しているので、キャラクターに関してはすばらしい。時々メカ(特にガリアンの顔)がかっこ悪い時があるくらいです。ただ、この時代の作画としては、クオリティは高いといえます。

主題歌は英語も使ってかっこいい感じ。前年のバイファムあたりから、スーパーロボット的でないかっこいい主題歌が増えてきました。

メカデザイン

ガリアンにおける残念なところは、メカデザインが今ひとつかっこよくないということ。主人公メカ・ガリアンは大河原邦夫氏デザインで、それなりのかっこよさではありますし、神話に登場するケンタウロスをモチーフにした人馬兵(プロマキス)はめちゃめちゃかっこいいのですが、それ以外がちょっと…

ドン・スラーゼンのスカーツやランベルのザウエルは、いつの時代のデザインだと言いたい。アオシマのプラモデルオリジナルの合体ロボットや、アリイのプラモデルシリーズ「ガルダン」や「ザ・アニメージ」を思い出してしまいました。ガリアン以外のメカデザインは出渕裕氏なのですが、何故こうなったのか。人馬兵と飛甲兵までは許せるのですが、それ以外が前時代的ですねぇ。

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