さて、久しぶりのブログです。オートバイ(バイク)の登場する小説をまとめておこうと思いました。興味はあるのですがなかなか手に取れていない状況で、収集のための備忘録のために。なお、ドキュメンタリーやエッセイを入れると膨大な数になるので、ここでは小説のみです。
一応ネットで調べたコタツ記事ですが、オートバイ小説で検索しても同じタイトルばかりが出てきて、なかなかそれら以外が見つからないものです。今回は頑張って色々と調べてみました。
オートバイ小説
現在、オートバイというより、バイクという方が一般的かもしれませんが、このブログではロードバイク・マウンテンバイクなど自転車のこともバイクと呼んでいますので、混同しないようにモーターサイクルに関しては、オートバイと呼ぶことにします。
私が10代だった80年代はオートバイブームがありまして、映画や小説などオートバイものがたくさんありました。その頃に比べるとオートバイを扱った小説は随分と少なくなったような印象です。80年代の作品は情報も少なくなり入手も困難になる状況なので、ここにまとめておきたいと思った次第です。
片岡義男
オートバイ小説といえば片岡義男です。オートバイの登場する小説も数多く、映画化された作品も複数あります。現在、中古相場ではそれらは高騰しているのですが、電子書籍化されているので比較的容易に手にすることができます。代表的なものを取り上げておきます。
彼のオートバイ、彼女の島
多分、オートバイ小説というとまっさきに挙がるタイトルはこれではないでしょうか。主演竹内力、ヒロイン原田貴和子、監督大林宣彦で86年に映画化もされています。
夏と、島と、オートバイ。
退屈を知らない日々のためには、
まずその3つが必要だ。
一度目は高原の道で。二度目は共同浴場で。
偶然の出会いが2度あった「彼女」は、
もう無関係な他人ではない。
仕事や悩みが毎日の多くの時間を占めてしまったとしても
ひとたびオートバイに乗り、歓びを分かち合う人が隣にいて
風が、道が、光が、山々が、自分と一体になってしまえば
もはやそこに退屈の入り込む隙間はない。
夏という時間、島の時間を生きる彼ら彼女らは
限りなく自由だ。
現在、単行本・文庫本ともプレミアム価格がついているが、kindle版であれば手頃な値段で読むことができます。『彼のオートバイ、彼女の島2』もありますが、どうやら続編ではないようで、若干意味不明。
ボビーに首ったけ
こちらも85年にアニメ映画化された作品。キャラクターデザインは漫画『吉祥天女』や『BANANA FISH』の吉田秋生、ボビーの声をデビューまもない野村宏伸が担当しています。もともと片岡義男作品はカバーがたくさんあるのですが、アニメ化に合わせて吉田秋生のイラストを採用したカバーもあります。
角川文庫版『ボビーに首ったけ』は、「ボビーに首ったけ」「どしゃ降りのラスト・シーン」「烏なぜ啼く」「月見草のテーマ」「朝になったら、タッチミー」「彼のお気に入り」「いまから100年あと」の7篇からなる短編集。
kindle版は「ボビーに首ったけ」のみ、1篇だけなので注意を。
ボビーをつかまえろ
なお、映画化に合わせて「ボビーに首ったけ」を再録した、『ボビーをつかまえろ』も出版されています。内容は「インタビュー・ボビーはどこから来たのか」「ボビーに首ったけ」「昔々、ある夏の日に」「忘れてあげない」「胸に吸いこむ潮風」「対談 片岡義男・吉田秋生」。アニメ映画の副読本という位置づけと冒頭語られています。
オートバイ小説というよりは青春小説といったほうが良いのかもしれません。
オートバイの詩
そのものずばり、オートバイの詩という長編連作シリーズがあります。四季に合わせて4作の予定だったようですが、タイトルだけが告知されていた『淋しさは河のよう』は発売されなかったようです。どの作品も文庫本はプレミアが付いていますが、kindle版で手軽に読むことができます。
ときには星の下で眠る ―オートバイの詩・秋
オートバイを愛する者同士の4年ぶりの再会を介して
人が4年、という時間を生きることの、いくつもの模様が描かれる。
そこにはいくつも死があり、不在がある。
生きている者たちも紅葉の色の変化のように確実に変わってゆく。
そして時には友とともに、星の下で眠る。
幸せは白いTシャツ ―オートバイの詩・夏
長編連作シリーズ・オートバイの詩。 時間の経過は誰に対しても均等で公平です。 問題は、その時間の中でなにをするかです。 美しい彼女は旅に出ました、旅に出ているあいだに両親は離婚し、帰る家が無くなってしまいました。 旅の行く先にもあてはないのです。 すくなくとも二年は帰らない意志があるでけです。 旅の彼女に陽が照り風が吹き、雨が降ります。 それだけで、彼女は十分に幸せなのです。
長距離ライダーの憂鬱 ―オートバイの詩
この物語のラスト・シーンは地図です。夏らしくなかった夏の終わりに、3台のオートバイが北国をさらに北へむかっています。2台は太平洋側を、もう1台は日本海側を。それぞれのドラマを夢のスリップ・ストリームにしつつ、さらに夢の彼方へと、彼らは走ります。待望の書下し“オートバイの詩”シリーズ。
なお、オートバイの詩シリーズに関しては、webモーサイの記事が詳しいです。
山川健一
80年代のオートバイ小説というと、山川健一を思い出す方も多いのでは。ただ、改めて調べてみるとそれほどオートバイ小説は書いていないようです。ロックというかローリング・ストーンズのイメージが強いかも。
ここに挙げた作品はどれも80年代の作品で紙版はどれも絶版、でもkindle化されているので手軽に購入可能です。
ライダーズ・ハイ
風に洗われた路。陽に灼かれた路。雨にうたれた路。そして電飾の森に埋もれた路――。幾つもの路が肩ごしに通りすぎてゆく。恋も歌も夢も友情も、そして痛みも、鮮やかなる風として心を突き抜けてゆく。バイクにうち跨った時、そう、我々は少年に還るのだ。奇妙な恋と友情の虚無と輝やきを、疾駆するバイクの高揚感とクロスさせて爽やかに描く表題作を含む、煌めきのバイク小説8編。
片岡義男の小説もですが、内容がわかればとamazonからあらすじを引用するわけですが、内容が全くわかりませんね(笑)
コーナーの向こう側へ
オートバイは、スペックのなかになど存在しない。オートバイは、陽光と風のなかに、あるいは、たたきつける雨のなかだけに存在するのだ。ライダーたちは、光を受け、風に頬を愛撫され、激しい雨に打たれながら、いつもコーナーの向こう側を見つめている。スピリチュアルな、長編オートバイ小説。
手元にある文庫版の帯によると、「19歳の若者と愛車Z400GPを巡るさまざまな男女。長編バイク小説」とのこと。
サザンクロス物語
愛について語ることから物語は始まる。バイクショップのオーナー・本間陽一は、今も別れた妻を愛している。彼女が仲間とビーチに建てた黄色の家。やがて彼は宇宙の意志に導かれオーストラリアへ向かう。海と砂漠。1発の銃声。ふたつの組織。〈サザンクロス〉の謎を追う、長編冒険オートバイ小説。
香咲弥須子
たまたまブックオフで『彼女のライダーズ・シック』という本を見かけてこの著者を知りました。80年代にオートバイ小説をいくつか出しています。女性ライダーを主役に、女性目線でオートバイを描いているのが新鮮かも。
電子書籍化はされていません。
彼女のライダーズ・シック
彼女たちは、風になる瞬間に思う。夢を、恋を、そして旅立ちを―。男たちにはわからないかもしれない。オートバイというものが、女性ライダーたちに奇妙な充実感をあたえることを。だから、彼女たちはフルフェイスのヘルメットをかぶり、街へ、海へ、オートバイとともに思いを走らせる。オートバイをめぐる彼女たちの、それぞれの冒険を描く美しき小説集。
終わらない夏
理解のある夫とエアロビクスのインストラクターという仕事をもって、おだやかに暮す恵子。けれど、愛車イモラでのツーリングで謎めいた「風のような男」に出会ってから、恵子の心はゆれ動く。もう一度、会いたい。そのためだけにすべてを賭けて、オートバイを走らせる。そして―。青空の引き裂くような、光につつまれるような、バイク乗りの快感とともに、愛の高揚と決別を描いた、新鮮なバイクノベルの登場!
三好礼子
片岡義男の文庫本の表紙のモデルにもなっている人。過去にはパリダカなどのラリーにもオートバイで出場しているラリーストでもあります。オートバイに関するエッセイを何冊かと、講談社X文庫ティーンズハートという少女向けレーベルで小説を出版しています。
電子書籍化はされていません。
風より元気!! シリーズ
シリーズ物として出版されていますが、あらすじを見る限り3作品とも主人公は別で、各巻で読み切りのようです。講談社X文庫ティーンズハートは少女向けのラノベみたいなもので、読み捨てられてしまうことが多いので現在は入手困難。あらすじを読むと読んでみたくなります。
風より元気!!
河村栞、プログラマー。森下今日子、森下酒店の手伝い。早乙女鞠子、広告代理店アルバイター。―そんで3人はオートバイ仲間。桃色の朝焼けが、ひろーい北海道が、私たちを待ってるわけ。なんでオートバイなの…ですって?うーん…それは風と友だちになれるから。風になるってこと、とっても素敵なんだから。ステキなカレとも出会えるしね。
風より元気!!〈ぱーと2〉
今野大地、アルバイトに明け暮れる大学3年生。小林朝次郎、清里でオートバイライフを楽しむプッツンおじさん。川崎萌、トライアスロンを夢みる花の19歳。―三人はまあるで他人なのに、ある日突然、1本の強い糸でつながったの。目に見えない赤い糸?ううん、それは1台の黒いCB450。出逢いがあれば、かならずくるのが別れ。それを見守っていたのは、桜吹雪とぬけるような青い空。またいつか逢えるよね!
風より元気!!〈ぱーと3〉
中山紅葉。中学1年生。母親に日記を盗み見されて、3200円の全財産を握りしめ、ミニ・サイクルで、生まれて初めての本格的家出を試みる。目的地・湘南海岸。杉山さとし。22歳。父親の内装会社を手伝う、インテリア・デザイナーのうずら卵。愛車カワサキGPz750Rを駆って、愛しのマドンナに逢いに行く。目的地・湘南海岸。そんな、見ず知らずの2人にとって、8月12日は、お互いの、重大な記念日となる!
泉優二
Wikipediaによると、日本のテレビで初めてWGP(オートバイによるロードレース世界選手権)を紹介し、スポーツ新聞にWGPというバイクレースの世界選手権があることを伝えた人。1980年に映画『汚れた英雄』のヨーロッパの場面の撮影および監督を担当したらしい。
その後はWGPを舞台にしたオートバイ小説を多数執筆。オートバイのレース小説というとこの人なのかもしれないが、現在ではあまり知られていない(というか、私は全く知らなかった。)
電子書籍化はされていません。
WGPシリーズ
WGPシリーズという呼び名は私が勝手につけました。杉本敬と北山洋を主人公に、WGPを戦うレース小説と考えていただければ。
ウインディー
ノベルスでは1冊で出版されたようですが、文庫版では全2巻。
一時はグランプリ・チャンピオンの座をつかみ取るかに見えた杉本敬の挫折は彼の人生を全て奪ったかのようだった。妻フランソワーズと愛娘アンナの平和な生活にも溶け込めず、幸福の日々を捨てるのだった。そして、男のプライドを賭けてカムバックを決意したとき…。迫真のレースシーンを交え、ロマンチズム豊かなヨーロッパに展開する、栄光と愛の感動巨編!
電子書籍化はされていなくて、中古本も若干プレミアム価格。
チャンピオン・ライダー
ブランクを克服し、再び世界のグランプリ・チャンピオンの座を目指して杉本敬がカムバックしてきた。過酷な状況下におけるヨーロッパ各地の転戦、そして事故…。全てを乗り越えて進むケイの前に立ちはだかるのは若き天才ライダー、ケビン。はたしてケイは最後にチャンピオン・フラッグを受けることが出来るのか!スリリングなスピードレース・シーンを交えて展開する感動のバイクレース・ロマン
ラスト・ラップ
ワークスライダーの立場を放棄し、世界GPライダーを選んだ北山洋は苛酷なレース人生を噛みしめていた。メカニックの哲夫、日本を離れ洋とキャンプ生活を共にしている恋人・英子、そしてGPでただひとりのブラックライダー、サムたちと一緒に、ヨーロッパを転戦していった…。杉本敬亡きあと、ロートレーサーとして成長してゆく姿を描く、感動の「ウインディー」から三年、待望の書下しオートバイ・ロマン!
主人公を北山洋に変えて、WGPを描いています。
スリップストリーム
マン島でチャンピオンになった北山洋だったが、自信よりは底知れぬ不安と闘っていた。プライベートライダーの限界なのか?洋は焦りをかくせなかった。そんなとき、英子の妊娠を知る。やがて洋はワークスマシーンを駆り、彼女は日本に戻った。一年目の、本格的なGPレースは始まったばかりだった…。『ウインディー』『ラスト・ラップ』に続く、長編書下しGPレースロマン!
クリッピングポイント
ワークス・マシンを駆り、世界を転戦するGPライダー北山洋は、苦悩の日々を送っていた。勝てない、のだ。デビュー戦で初勝利を収めて以降、まだ一勝もしていない。かつては日本唯一のGP覇者片山敬済の再来と騒がれたこともあったのだが。タイムが出ない。何が悪いのだ。車か?それとも技術?焦燥はつのる。チーム内の空気も重い。そんな時、元ライダーの親友サムとの再会から、洋は少しずつ集中力を取り戻していった…。洋の全てを賭けた熱い挑戦が、いま始まる―。スリリングなレースシーンに加え、愛、友情、挫折などを通し、GPライダーの人生そのものを描き出す感動の書下しレーシング・ロマン。
ハイサイド
オランダGPでは好成績を修めながらもシリーズ半ばで帰国した北山洋は、自堕落な生活を送っていた。日ごとに躰は鈍り、気持ちは腐ってゆく。シートを降りたライダーに、生きる術はないのか…。そんな時、洋に一本の国際電話が入った。ガーナーからであった。来年、再契約をしたいという。しかもGPの最高峰500CCクラスでである。躰が震え、胸が高鳴った。やはり自分の生きる場所はGPしかないのだ。小さな日本人の大きな挑戦が、再び始まった…。パワフルなレースシーンに加え、GPライダーの全てを描き出す書下しオートバイ・ロマン。
ライド・オン―明日にグッバイ
夏、ぼくは愛車のGSX750Rでヨーロッパを旅することにした。5年前別れた恋人・美沙と再会するのが目的だった。終点は彼女が留学したというパリに決めた。ぼくのちっぽけな青春に答えを出すために…。途中、シルビアンヌというXL600Rに乗った女性と出逢うまでは良かったのだが、テロリストらしき青年、吉田との係りによって旅は予想もしなかった方向に発展したのだった。アドベンチャー・バイクロマン!
こちらはレース小説ではなく、冒険小説っぽいようです。
マン島に死す
アイル・オブ・マン…ライダー憧れのT・Tレース開催の地だ。沢木亮はアイリッシュ海に浮かぶマン島を見つめながら身震いした。日本選手権を走らず、恋人に別れも告げずに、独り日本を脱出した、彼の新たなターゲットは何か?過去の記録は過去でしかない。いま、亮がアクセルを開く!バイクレース・ロマン!
ライダーの気楽な孤独
沈むことのない太陽、初夏だというのに凍付く風、閑散とした風景、ヨーロッパ最北端の地ノードカップ・マーゲロイ島についにやって来た。KAWASAKI GPZ750とともに―ひとり孤独に、気ままな旅を続けるカズキの前に現れた北の果ての若者たち。彼らはアメリカン・ドリームという名の幻想を追い求めて集い、そしてまた走った。まるで変わりようのない実現に逆らうかのように…孤独なライダー・カズキの内を通り過ぎてゆく恋と青春の群像。そのほろ苦い体験をみずみずしいタッチで描く書下し小説。
俺とおまえのグランプリ
「俺は世界チャンピオンになってやる」ブッチギリの俊男が言う。「だから、僕はあいつに賭けてるのさ」親友の秀二が笑った。俊男と秀二は高校生。けど知ってるかい、なんと2人は全日本選手権250c.c.で俊男がチャンプに、秀二は3位になっちまうんだ。そしたら、どうだい、2人が惚れてる、カワユイ那美の協力を得て、世界GPに出場しちまう。マジかよ!あいつら18才なんだぜ!
こちらの小説は講談社X文庫ティーンズハートからの出版。ティーンズハートは少女向けのラノベのような位置づけで、この作者の作品がこのレーベルから出版されているのはちょっとびっくり。後年、カドカワノベルスから『ハングオフ―俺とおまえのグランプリ』という作品が出版されているのですが、あらすじ的に似ているのですが内容が同じなのかどうかはわかりません。
ハングオフ ―俺とおまえのグランプリ
激しく襲いかかるG、耳を剪くエキゾーストノート、しだいに頭脳が覚醒してくる…。世界GPの覇者を夢見る二人のティーンエイジャー俊夫と秀二が、初めて本格的レーサーNSR250SPを手にしたのは、仁和学園高校に通っていた頃だった。親も学校も捨てレースに青春の全てを賭けた彼らは、力と情熱と才能で次々とポイントを稼いでいった。そして念願の国際A級ライセンスを獲得し、ついに18歳のGPライダーが、世界の舞台にいま飛び出す―。バイク小説の第一人者が、愛と友情とレースを独特のタッチで描くオートバイ・レースロマン。
佐々木譲
直木賞作家で現在では北海道警シリーズなど警察小説で有名な佐々木譲のデビュー作は、「鉄騎兵、跳んだ」というモトクロス小説。その後しばらくはオートバイ小説をいくつか発表。様々なジャンルの小説を書いた後、警察小説の第1人者となっていったようです。
鉄騎兵、跳んだ
モトクロスに人生の全てを賭ける貞二は、思うような結果が出せず、また、若い天才の出現に焦りを覚える。やがて、愛する洋子のため引退を決意し、最後の戦いに挑むが…。オール讀物新人賞受賞の表題作をはじめ、逡巡する青春の終わりの日々を瑞々しく描いた、作家・佐々木譲の原点である初期短篇五篇を収録。
電子書籍化されているので、気軽に読むことができます。
振り返れば地平線
桟橋を降り、ゆっくりとバイクを進める。この空気だ!この空気を裂いて走るため、ボクたちは北海道に来た。6年前のバイン仲間の合言葉“開陽台で満月を見よう!”―その約束を覚えていた慎平と2人で。スロットルを全開にする。マシンのリズム、ピタッと合った心、軽い空気…。途中,XJ400に乗った淳子が加わって、3人の北海道ツーリングが始まった。本格オートバイ小説の傑作。
電子書籍化はされていなくてプレミアム価格。オートバイでのツーリング小説、読みたい!
ラストラン
次年度の契約ライダー獲得に奔走するメーカーの広報マンと英国人ライダー。交渉の裏側に隠された執着と友情の物語。衝撃的なラストを迎える表題作「ラストラン」をはじめ、バイクをテーマに青春の血気と情熱を描きこんだ5編の短編集。
85年出版の『いつか風が見ていた』に「タイム・アタック」「遠い風の音」を加えたものが、88年出版の集英社文庫『タイム・アタック』。そこから表題作を抜いたものが、この『ラストラン』のようです。
オートバイ小説として入手を考えるのであれば、この『ラストラン』が良さそうです。
高千穂遙
今ではすっかり自転車乗り作家として有名になりましたが、80年代はオートバイ乗り作家でした。
夏・風・ライダー
バイクを愛し、走ることを何よりも愛する者たちが集まって、町内に二輪ロードレース・チームが誕生した。その名も“チーム・ノブ”。イラストレーター、喫茶店マスター、モトハウスの社長、そして仕事を捨ててもレースに賭ける一人の若者。めざすは鈴鹿4時間耐久レースだ。一方、隣町にも対抗のチーム“尾高レーシング”が誕生。両者は真っ向から対決することになった。そしてそれが、長いながい夏の始まりだった―。吼えるようなエクゾースト・ノイズに彩られて、幾つもの青春が交錯しながらひとつになってゆく。綿密な取材が生んだ、感動の熱血バイク・レース小説。
狼たちの曠野
こちらは純粋なオートバイ小説ではなくて、SFバイクアクションと銘打たれたもの。amazonのページにあらすじがないのでよくわからないのですが、とある映画レビューの余談にある内容が興味深くて。
余談
昔読んだ小説で、クラッシャージョウの原作者である高千穂遥の書いた「狼たちの曠野」という作品があるんですけど、このアニメを見てその話を思い出しました。
北斗の拳みたいな世界で、人々はバイクを唯一の交通手段として使ってるんですけど、壊れると神殿で新しいバイクをもらうんですよね。
で、神殿の名前がホンダとヤマハにスズキとカワサキで、もらえるバイクは古いタイプばかりという、好きな人にはたまらない設定の作品でした。
(まあ、望むともらえる点が似てるだけの話なんですけどね・・・)出典:あにこれ 「PUSH おす(アニメ映画)」レビューより
「神殿の名前がホンダとヤマハにスズキとカワサキで、もらえるバイクは古いタイプばかり」って面白そう。なお、単行本の表紙は『AKIRA』の作者として知られる漫画家大友克洋が手掛けており、むちゃくちゃかっこいい。文庫本では変更されているのが残念。電子書籍化はされておらず。
なお、単行本につけられたレビューが、むちゃくちゃ面白いので読んでみてください。
斎藤純
自転車小説をまとめた記事にも『銀輪の覇者』で紹介した斎藤純。オートバイをメインにした小説は紹介する2作品だけのようですが、それら以外の作品のあらすじを見るとオートバイは頻繁に登場するようです。
ここに上げる2作品は電子書籍化されています。
暁のキックスタート
「オートバイ乗りの心には、埋めようのない深い穴ポコが空いている。オートバイ乗りは、表向きはタフな振りをしつつ、その穴ポコを埋めようとあがいている。オートバイ乗りがオートバイを降りるのは、穴ポコを忘れたときだ。若いうちは穴ポコが見えるけれど、大人になるにしたがって、だんだん穴ポコのことを忘れてしまう」オートバイのワイルドなフィーリングに憑かれたぼくは、旅に出ることで心のドアを開く。
風と旅とオートバイ
「オートバイ乗りは見慣れた風景のなかを走っているのに、どこか違う世界に迷いこんでしまったような感覚で、今日も自ら風を起こして風景のなかを走り抜けていく」「束の間、日常生活から離れ、独りの旅人になることで心の扉が開かれる」本当の自分を求めて彼らが繰り返す小さな旅の終わりは、より大きな新たな旅の始まりなのだ…。心の旅をテーマにした珠玉の短篇12篇を収録。
山田深夜
現在のオートバイ小説の第1人者といえば、この人のようです。オートバイ雑誌のWEBサイトで絶賛されています(1人のライターが絶賛しているだけ?)
横須賀Dブルース
トリスとゴールデンバットさえあれば誰にだって優しくなれる…笑って泣いて考えさせられる街と人をこよなく愛するライダー作家。山田深夜の傑作短編集、遂に刊行。
雑誌『ミスターバイクBG』に連載されたものをまとめたもの。文庫化はされていません。
千マイルブルース
迷い、失意のどん底に落ち、それでも人は生きていく。二十年間勤めた会社を辞めて足掻き続ける男、捨てた故郷へ向かう道中で自分自身を見つめ直す男…著者が自らを投影した「俺」たちが、バイクで旅を続ける。そんな不器用な男たちの愛すべき生き様を描いた全三十六編の傑作短編集。単行本刊行時の友情秘話を綴った書き下ろしエッセイも収録。
ひとたびバイクに ツーリングを愛する者たちへ
偶然の再会、運命のいたずら、様々な因縁、未来に向けた再起―。旅とバイクを通して、不器用ながらも心優しき者たちのふれあいと人生の喜怒哀楽を情感たっぷりに描く珠玉の短編集。文庫化に際し、単行本未収録だった7篇を追加収載。バイク雑誌「アウトライダー」連載時から好評を博し、読む者を旅へと誘うツーリング小説の集大成。
ロンツーは終わらない
頑なで喧嘩っ早い中年男の岩山は、何の因果かロングツーリング中の青森で東京を目指す若者・斗児を拾ってしまう。親の敷いたレールに疑問を持ち、自分の見つけた道に踏み出そうとする斗児とともに東北から関東を縦断する岩山。だが、なぜかその行く先々に追手が現れ、二人の東京行きを阻もうとする。バイク、新幹線、トラック、バス、徒歩と、様々な手段で逃走劇を繰り広げる二人を待ち受けているものとは!?笑いあり、涙あり、アクションありの痛快青春ロードノベル
菅沼拓三
俺はバイクと放課後に シリーズ
80年代のオートバイ小説と違い、完全にエンタメになったオートバイ小説。仲間とオートバイで温泉にツーリングに行って駄弁って楽しむ、それだけなのですが、それもまたオートバイの楽しみの一つでしょう。内容的にはライト文芸というかキャラ小説、ライトノベルに近い感覚です。非常に現代的。
2017~18年に出版されたのですが、紙版はすでに絶版、現在はkindle版で読むことができます。
走り納め川原湯温泉
同じ高校に通う女子が、真っ裸の俺の前に現れた!?エレンという名で、華道の家元の娘らしい。元高校球児のブンヤとバイクでツーリング、川沿いの露天風呂に入ったとこまではいいけれど、さすがにこの展開は悪すぎる。翌日は翌日で、昨日の災難をヘンに誤解したエレンの取り巻きにブンヤが囲まれて、俺まで煽りを食らっちまうし。エレンがバイクに興味を持ってくれたことだけが救いだな。書下し温泉ツーリング学園小説。
雪が降る前に草津温泉
ブンヤが突然告白された!しかも学園祭終了直後の学食というベタな展開。相手は一年生で陸上部員のミア。ガチガチに固まって、噛みまくりだ。一方、ウエイトリフティング全国二連覇のミニマム美女委員長が生徒会長選挙に立候補。続いて、野球部マネージャーのヒラオカも出馬を表明。ヒラオカは「当選したら、野球部に戻れ」とブンヤを説得しているけれど、選挙と野球ってなんの関係が?
伊豆半島耐寒温泉ツーリング
枝蓮のメル友女子が河越高校に留学!?東御家にホームステイして、紫古流華道の師範免状取得を目指しながら、学校へ通うらしい。「温泉も、仲間とのバイクツーリングも、日本に行ったら自分もぜひ体験してみたい」と言ってるそうだ。そんなある日、俺は校長室に呼ばれた。バイク仲間みんな、県教育委員会フクズミ氏、国際留学生支援協会のホンジョーさんがいて、なにやら妙な緊張感が…。書下し温泉ツーリング学園小説
その他
はりきりスピード娘 城戸禮
最近、元祖ラノベ『スーパーカブ』的なものとして知ったこちらの作品、単行本は1959年、文庫が1964年の作品。
詳しい内容は、webオートバイの↓こちらの記事が詳しいです。
汚れた英雄 大藪春彦
日本を、世界を制覇…。野望に満ちた“一匹の雄豹”‐東洋のロメオと呼ばれるレーサー北野晶夫の優雅にして強靭、華麗な生涯を描く壮烈なロマン!
オートバイレース小説というと、この作品を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。小説よりも角川映画の大宣伝のイメージが強いですが。原作は全4巻でなかなかボリュームのある作品のようで、映画とは全く違うらしい。残念ながら角川文庫・徳間文庫ともに絶版で入手は困難です。
重金属青年団 花村萬月
ヤク中で慢性自殺志願者のブンガクさん。浅草置屋の娘で、文学少女のくせに暴走族にも一目置かれているタカミ。二人を乗せたフェアレディZ改は、深夜の中央高速を疾走った…。H・M・C。レコードすらかけられない元ライブ・ハウス。ここには、毎夜社会不適合の若者たちが集う。辿り着いた二人は、彼らとともにH・M・Cを後にした。北へ―。刺激を求め、快楽を貪るために。音楽と単車。薬と暴力。救いのない魂の行方を描く感動の青春ロード・ノヴェル。
風よ、鈴鹿へ 島田紳助
一人の中年ライダーがいて、そして素晴らしい仲間がいた。「鈴鹿では絶対泣ける!」この一言で、彼らは鈴鹿八時間耐久レースへのめり込んでゆく。“青春とは何か?”を考えさせる感涙のドキュメント・ノベル。
ドキュメントノベルということでここで取り上げるか迷ったのですが、一応小説扱いなので載せておきます。この頃の島田紳助はアツいというか、当時としては時代遅れな感じの熱血ぶりでしたね。
ライダーのレクイエム 豊田有恒
兄を殺した謎のバイクBMWのライダーは誰なのか!天涯孤独となった氏家和美は、バイクを駆って、兄の敵を探し求めはじめた…。美貌の和美に言い寄る男、行く手をはばむバイクの一団。意外な真相に向けて、和美は疾走する。―みずからオフロード・タイプのナナハンを操る著者が、バイクの魅力を語り尽くす傑作小説。
影踏みシティ あらいりゅうじ
星崎慶太、十六歳。友だちや両親、幼なじみ―自分を取り囲む世界に違和感を感じながら、息苦しい日常を積み重ねていた。しかし、彼は出会う。長年憧れ続けた旧いバイクと、そして、それにとり憑いたリオと名乗る女の子の幽霊に…。一人と一台、この不思議な出会いに誘われるように、慶太の旅が始まった。現実から逃げるわけでもなく、諦めたわけでもない。ただこの道の先にあるはずの、新しい世界に出会うため。人気作家・あらいりゅうじと新進気鋭のイラストレーター・KEIが描き出す、切なくてやさしい、ちょっぴりビターな青春ロードラブストーリー。
竹書房ゼータ文庫というライトノベルレーベルから出版された作品。オートバイとそれに取り付いた美少女幽霊と旅する物語。登場するオートバイがホンダMB-5というチョイスが渋いです。
旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 萬屋直人
世界は穏やかに滅びつつあった。「喪失症」が蔓延し、次々と人間がいなくなっていったのだ。人々は名前を失い、色彩を失い、やがて存在自体を喪失していく…。
そんな世界を一台のスーパーカブが走っていた。乗っているのは少年と少女。他の人たちと同様に「喪失症」に罹った彼らは、学校も家も捨てて旅に出た。
目指すのは、世界の果て。辿り着くのかわからない。でも旅をやめようとは思わない。いつか互いが消えてしまう日が来たとしても、後悔したくないから。記録と記憶を失った世界で、一冊の日記帳とともに旅する少年と少女の物語。
こちらもライトノベルで、割と有名な作品です。記録と記憶が徐々に失われていく中で、北海道をスーパーカブで旅する物語。
スーパーカブ トネ・コーケン
山梨の高校に通う女の子、小熊。両親も友達も趣味もない、何もない日々を送る彼女は、中古のスーパーカブを手に入れる。初めてのバイク通学。ガス欠。寄り道。それだけのことでちょっと冒険をした気分。仄かな変化に満足する小熊だが、同級生の礼子に話しかけられ―「わたしもバイクで通学してるんだ。見る?」1台のスーパーカブが彼女の世界を小さく輝かせる。ひとりぼっちの女の子と世界で最も優れたバイクが紡ぐ、日常と友情。
本筋と違うところで話題にもなったアニメ「スーパーカブ」。その原作は角川スニーカー文庫という、ライトノベルレーベルから出版されています。現在は8巻まで出版されています。
私としては第1巻は面白いものの、それ以降はちょっと? と思っています。アニメについてと合わせて記事にしていますので、興味ある方は読んでいただければと思います。
レーシングデイズ 郁子匠
悠真は勝気な16歳。幼い頃からチャンピオンの夢を追い、努力を重ねる女子高生レーサーだ。負け知らずの彼女の前に現れたのは天才的な才能を持つ美少女レーサー・幸佳。ライバルの、華麗でアグレッシブな走りに打ちのめされ、悠真は次第に自信を失っていく……。
男女混合のミニバイク競技で、己の全てを賭け、激しく争う対照的な女子ふたりと仲間との、騒がしく、ときに苦いレースの日々をあざやかに描いた、感動青春小説。
もともとポプラ文庫ピュアフルで刊行された『レーシング少女』(初版2010年9月)に加筆のうえ、改題したもの。
ミニバイクレースを題材とした青春恋愛小説。著者は元アマチュアバイクレーサーということで、レースシーンの描写は丁寧かつ臨場感たっぷり。バイクレースのことをよく知らない人間でも楽しむことが出来る作品です。
カブ探 新美健
南原圭吾は妻を亡くし年頃の娘がひとり。地方都市の私立探偵だが、実体は町の便利屋。盗まれた車やバイクを捜索したり、ホンダのカブに詳しいことから貴重なパーツ探しを頼まれることも。溺愛する娘には弱いが喧嘩は強い。愛車は古いカブ90から先代型のスーパーカブ110に乗り換えた。娘の梨奈はこの春大学に進学し新型クロスカブに乗っている。ある日幼なじみのヤクザから盗難車の捜索を依頼され…。人気のカブ談義満載のバイク探偵小説。
スーパーカブに乗った私立探偵が主人公ということで、テレビドラマ『探偵物語』のような内容を思い浮かべたのですが、読んでみると人情物のような内容でした。
首位戦争 清水一行
最後に紹介するのはオートバイを作るメーカーをめぐる物語。80年代HY戦争と呼ばれた、ホンダとヤマハの販売競争をモデルにした企業小説。
我国の二輪業界トップの座は、そのまま世界一の座でもあった。万年2位の座に甘んじ、活力を失ないつつあったニッポン発動機に、絶好のチャンスがめぐってきた。トップ企業恩田モータースの本格的な四輪進出で、市場に思いがけない間隙が生じたのだ。ニッポングループの絶対君主榊原良平との距離を巧みにとりながら、ニッポン発動機の社長に就任した山下誠は、首位奪取にすべてを賭けた。二輪業界におきた実際のシェアー争いをモデルに、壮絶な企業戦争の実態を描く事実小説の最高傑作。
まとめ
以上、色々と作品を上げてきました。今後も見つけ次第更新していく予定です。