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酒井田寛太郎『ジャナ研の憂鬱な事件簿』を読んで

さて、今回は酒井田寛太郎「ジャナ研の憂鬱な事件簿」シリーズ、全5巻を読んだ感想です。

ジャナ研の憂鬱な事件簿

2017年の第11回小学館ライトノベル大賞優秀賞を受賞した「翡翠と琥珀」を改題し、出版された作品。

結果発表時のゲスト審査員広江礼威の講評には、「鉱石」が絡んでいるようなのですが、出版された作品には「鉱石」はでてきません。もしくは何かの比喩的に使われていたのかもしれませんが、受賞作品からタイトルが変更となっていることからも、大幅な改稿があった可能性があります。

『翡翠と琥珀』は、落ち着きのある作風は好感がもてます。推理は小粒ながら楽しく読めました。全体的にキャラが薄く、主人公が嗜んでいる格闘技と鉱石が推理から乖離してるのが気になります。キャラの特性なので、うまく推理に噛ませられればもう少しキャラの説明ができるんじゃないかと。ラストの余韻はもう少しあるといいかも。

「ジャナ研の憂鬱な事件簿」を語るうえで避けて通れないのが、米澤穂信作品の影響です。パクリなんていう人もいるのですが、パクリだとは思いません。ただ学園を舞台にしたミステリで、日常の謎系で、主人公が事件に対して積極的でなくて、ヒロインの決め台詞で主人公が動き出す、といった要素を抜き出すと、酷似していると言われても仕方がないと思います。特にお嬢様ヒロインの「もやもやします」という定番台詞には、あまりにも……と思うのですが、実際、全5巻を読んでみると目指しているところが違うと感じました。

1巻を読んでから2巻を読むまで、ずいぶんと積んでいました(2年ほど)。これは米澤作品との類似うんぬんより、1巻を読んであまりハマらなかったからです。このあたりは次に説明します。この度、2巻以降を読んだところ、大変面白くて、2日ほどでイッキ読みしました。私と同じように、1巻がハマらず2巻以降を読んでいない人もいるだろうと思い、ここに感想を残しておこうと、ブログに書く次第です。

ジャナ研の憂鬱な事件簿

著者:酒井田寛太郎
イラスト:白身魚
文庫:ガガガ文庫
出版社:小学館
発売日:2017/05

海新高校ジャーナリズム研究会(通称「ジャナ研」)に所属している、性格は少々難アリだが頭が抜群にキレる工藤啓介は、中学時代にあるトラウマを背負っていたために他人とはあえて距離を置くような高校生活を送っていた。そして学内でも評判の美人でありお嬢様である純真な先輩・白鳥真冬と出会うことにより、次々と事件に巻き込まれることになっていく。学内外で起こる様々な事件を頼もしい友人らと一緒に解決していくことで、少しずつだが啓介の環境が変わっていくのだが・・・・・・。第11回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作品!

第1話 ノート消失事件

中学時代のトラウマを抱えながら、ジャーナリズム研究会にひとり所属する高校2年生の啓介。放課後、学校内でたくさんのノートを運ぶ、3年生でお嬢様の真冬を手伝うことに。しかし、教室に運んだノートが1冊足りない。教師から渡されたときは確認済みといわれ、どこかで落としたわけでもなく……

第2話 聞こえない声を聞かせて

真冬のモデル時代の後輩で、2年生の現役モデルのユリ。教室の机の中に盗聴器を仕掛けられたらしいが、捕らえた犯人は何かを隠しているよう。モデル活動に支障をきたすかもと、真冬を通じて真相解明を依頼された啓介だが、盗聴器を仕掛けた目的は、実は……

第3話 負けた理由

修斗のアマチュア大会に参加した、啓介と友人で運動能力抜群の親友、大地。啓介はなんとか1回戦を突破し、2回戦へ進出。大地は優勝をも狙える存在だったが、1回戦の相手は大地の元カノの新しい彼氏だった。大地が勝てば、2回戦では啓介と戦うことになっていたのだが、1回戦で負けてしまう。優勝候補がなぜ負けたのか……

第4話 さようなら、血まみれの悪魔

真冬には、過去に親友と呼べる存在の女子がいたのだが、1年の秋に退学になってしまった。退学の理由は誰もが詳しくはわからないという。その親友が真冬の机の中に残した、はがきに書かれてあったの、「Good bye,Bloody demon」のメッセージ。退学の理由とこのメッセージの謎を解き明かしてほしいと、啓介は頼まれたのだが……

読んだ感想

全4話の連作短編集。タイトルに「憂鬱な事件簿」とあるように、ちょっと苦味のある作品で、読み終えてスッキリとなりません。日常の謎的なものの中に、人の悪意が潜んでいるといったところです。

読んでいて1番気になったのが、メインとなる登場人物4人、みんな高スペックというところです。これは好みの問題なのですが。主人公は頭脳明晰、探偵タイプ。中学時代のトラウマがあるみたいだけど、真実を見抜く力があるといったところ。ヒロインは政治家の娘で、美人で、性格も良い。だけど権力者の娘ということからか避けられていて、学校では友達もいない状態。このあたりの設定が微妙なところ。普通に考えたらもっと友達がいてもいいのにと思ってしまう。

主人公の友人2人。ひとりはチャラい系で軽音部でギターを引いていて、ルックス的にもギターの才能的にも秀でていて、モテモテタイプ。物語的には情報を集める係を担当。もうひとりは、運動能力最強で、中学時代にレスリング、走り高跳び、剣道で実績を残しつつも、現在は修斗という格闘技に取り組んでいる体力オバケ。こちらも女好きなところもあるみたいです。

この4人がメインとなって、謎を解いていくことになるのですが、完璧超人4人組的すぎて、こういうのは爽快感を生むところもあるのですが、ちょっと好きではないです。

ちなみに第4話、物語の決着が大立ち回りなのですが、主人公と友人、格闘技を習っている人間が簡単に力を行使するのが疑問です。もちろん必要に迫られてですが、ちょっと納得いきません。またもうひとりの友人が、大事なギターを振り回して、敵をやっつけるというのも、う~んとなったところです。

ということで、第1巻、米沢作品に類似しているどうこうよりも、キャラクター造形的な部分と、大立ち回りでの決着の部分が気になりました。日常の謎と人の悪意を訴えてくる部分は良いと感じたのですが。

主人公と友人が格闘技を習っていて、第3話はまさしくその格闘技と友情の話なのですが、作者は格闘技が好きで、物語に格闘技を絡めて進めようと考えているのかなと。せっかく面白い日常の謎なのに、格闘技による決着なんて好きではないです。これが1巻を読み終えたあと、2巻を手に取らなかった理由です。

ジャナ研の憂鬱な事件簿2

発売日:2017/10

海新高校ジャーナリズム研究会のメンバーに今回も難題がふりかかってくる。 軽音部の歌姫を付け狙うストーカーを撃退するため、ライブ会場に張り込んだ啓介たち。警備体制は完璧だったはずなのに、ストーカーはひそかにライブ会場へと侵入していた・・・・・・彼は一体どうやって鉄壁の警備をかいくぐった?
そして会場内に残された真冬たちの安否は? 人質をとってナイフ振り回すストーカー相手に、啓介の知略と推理が冴える・・・・・・ (「耳なし芳一の夜」)。
青春の光と影と謎をめぐる、「耳なし芳一の夜」ほか三つの短編を収録。

第1話 耳なし芳一の夜

軽音部の歌姫を付け狙うストーカーを撃退するため、ライブ会場に張り込んだ啓介たち。警備体制は完璧だったはずなのに、ストーカーはひそかにライブ会場へと侵入していた……彼は一体どうやって鉄壁の警備をかいくぐった? そして会場内に残された真冬たちの安否は? 人質をとってナイフ振り回うストーカー相手に、啓介の策略と推理が冴える。

第2話 手紙

ユリの姉は、容姿に恵まれたテレビ局の新人アナウンサーである。そんな彼女のもとに、ある日奇妙な手紙が届いた。啓介はユリに頼まれて、その手紙の送り主の本当の意図を突き止めるため推理を始める。そして周囲の力を借りながら辿り着いた真実は、暗く、救いようのないものだった……

第3話 キマイラの短い夢

とある放課後にジャナ研を訪れてきた、一人の女子生徒。彼女こそ、かつて啓介が脚本盗作事件の犯人として糾弾した島原祐樹の実の妹だった。彼女の言葉をきっかけに、啓介は『キマイラの短い夢』という演劇作品をめぐる騒動の再調査を決意する。そして当時の関係者に話を聞くなかで、意外な新事実が判明する……

読んだ感想

第1話はタイトルにあるように、序盤で「耳なし芳一」の解釈を巡る話があって、ここが抜群に面白いのです。その解釈をなぞるような展開を見せる、物語の本筋である女性ボーカリストを巡るストーカー話とその結末は、相変わらず人の悪意を浮き彫りにしてきます。1巻の第4話と同じく、力によるストーカー退治の展開は好みではないのですが、その後の結末話は苦みもあってやはり面白い。

第2話も、なんともいえない後味の悪さがあって良いのですが、手紙の解釈をわざわざ間違ったものを提示していく手法に若干の退屈さを覚えました。「○年間会えない」なんて手紙なら、まず「刑務所内から」が浮かんで当然だと思うのです。すぐに結論に至ってしまったら、つまらないのは当然なのですが、名探偵ならすぐに解ける謎じゃないかなと。ということで、謎の設定がたとえ「日常の謎系」とはいえ、わかりやすすぎる気がしました。

第3話は1巻から触れられていた主人公のトラウマの物語。真相を暴いたことにより、犯人とされた生徒は引きこもりになってしまった。得意げにジャーナリズムを標榜し、真相に迫ることの是非が問われる。そのうえでの真相。タイトルのキマイラから、ある程度オチ的な部分は想像がついてしまう。第2話も同じですが、謎解きだけなら物足りなさが残るのですが、青春成分といえばよいのでしょうか、若さゆえの葛藤こそが作者の描きたいところではないか、と思いました。

1巻を読んだ時点では、好みではないと思った力による解決も第1話以外は無くて、キャラ的な部分では、主人公の葛藤的な部分が色濃く描かれていて、非常に面白く感じた第2巻でした。第2話・第3話こそが、このシリーズの方向性かなと思い、これなら続きも読んでみたいとなりました。

ジャナ研の憂鬱な事件簿3

発売日:2018/03

海新高校ジャーナリズム研究会の啓介と真冬。一緒に過ごしていくうちに少しずつだが変化していく自らの気持ちに気づきはじめ、お互いを意識するようになる。そんな中、真冬の曾祖父にあたる宗次郎が残した「メロスを燃やしてくれ」 という謎のメッセージから、「自画像・メロス」という奇妙な絵画に秘められた謎を解き明かそうとする啓介と真冬は、とあるアクシデントにより箱根の旅館へ二人きりで泊まるハメになってしまうのだが・・・・・・。
ほろ苦い日常系ミステリー、「自画像・メロス」など三つの短編を収録。

第1話 自画像・メロス

真冬の曾祖父にあたる宗次郎が残した「メロスを燃やしてくれ」というメッセージから、「自画像・メロス」という奇妙な絵画に秘められた謎を、啓介と真冬が解き明かしていく。

第2話 鬼の貌

祭りの夜に啓介とその姉の絵里は、ひとりで山に入っていった謎の少女を追いかける。道中、その少女の教師とカウンセラーと合流するのだが、この地方に伝わる鬼の伝説とともに恐ろしい真実が浮かび上がっていく。

第3話 怖いもの

ユリのマジックの練習に付き合っている啓介は、自らの記憶の底に封印していた、とても怖い記憶を思い出すことになっていく。はたして、その「怖い記憶」とはいったい……。

読んだ感想

2巻で耳なし芳一の解釈を楽しませてくれましたが、3巻の第1話では絵画の解釈・謎解きを楽しませてくれます。文学と絵画を結びつけて、色々と解釈するというのが面白い。このあたり話数を重ねてもマンネリ感がでないように、バラエティ感を持たせてあって良いと思いました。またお泊りイベントも、ラッキースケベとか、ありきたりなラノベっぽくならないところに好感が持てました。

第2話はこれもはもう、ただひたすら胸糞の悪い話で真相がつらい。現実の世界でも有り得そうなことで。

第1話第2話と学校外での話。第3話でやっと学校内を舞台とした話に。出だしに怪談話があって、主人公が怖くなることは何か?というところから、過去の思い出話への流れ。ただタイトルやあらすじ的には、主人公の過去の話ではありますが、実際の物語は文化部発表会でのユリの手品話が多くを占めます。第1巻からちょくちょく登場するモデルでギャルのユリですが、段々と解像度が上がってきて魅力的に見えてきました。お嬢様ヒロインより、いいんじゃないかなと。

第1巻のあとがきで作者は、応募作のプロトタイプではユリがヒロインだったこと、ギャルっぽい子が好きとありました。個人的にはユリがヒロインのほうが、米沢作品との差別化も含めて良かったのではないかと、思う次第であります。最後は恋愛的な意味で、小波乱な終わり方で、次巻への期待をもたせます。

ジャナ研の憂鬱な事件簿4

発売日:2018/08

海新高校ジャーナリズム研究会の啓介と真冬。互いに意識しつつも、大きな進展はないままだった。ある日、ジャナ研の面々は介護施設を訪問することに。そこには、身元不明の入居者がいた。真冬の勧めで、卓越した推理力を他人のために活かすことを考え始めた啓介。だが、思いがけず苦い真実に行きつき、その公表を巡って真冬とぎくしゃくしてしまう。そんなとき、ユリが事故に遭い一 ―(「スウィート・マイ・ホーム」)。甘くも憂い青春を切り取った「金魚はどこだ?」 「ジュリエットの亡霊」など三つの短編を収録。

第1話 金魚はどこだ?

写真部から、金賞を獲得した被写体の金魚が盗まれた。居合わせたジャナ研の面々は、真犯人を見つけようとする。

第2話 スウィート・マイ・ホーム

介護施設で、とある老人の部屋が荒らされた。啓介は手がかりを探るうちに、あまりにも切ない真実にたどりつき……。事実の公表を巡って真冬と意見が分かれるが、互いにどうしても引けず、そのままぎくしゃくしてしまう。

第3話 ジュリエットの亡霊

真冬がジャナ研の部室に姿を見せなくなってから1か月以上が経った。交通事故に遭ったユリもしばらく学校を休んでいる。そんなとき、啓介はA棟の空き教室で「女の幽霊を見た」と後輩から助けを求められる。

読んだ感想

第1話はいかにも日常の謎系の物語で好感が持てるのですが、写真部の先輩たちの描かれ方に、ちょっと疑問が湧きました。第2巻での軽音部の3年生、第3巻での奇術部の人、本巻での写真部の3年生と、部活動に積極的に取り組まず口だけといった、ワンパターン的な描かれ方に感じます。ある意味、悪者扱いにするための理由がワンパターンで、もう少し解像度を上げて欲しいところです。

第2話で問いかけてくるのは、謎を解いたとしても、それが誰のためになるのか?ということのように感じました。真相自体が憂鬱なものなんだけど、それを解き明かしたとてまた誰かが憂鬱になってしまうという……

謎を解くことが爽快感につながらないのが、この作品の特徴で。主人公とヒロインがここに来て対立、物語の展開上なんでしょうけど、若干、ヒロインの考えに納得いかないところもあります。

そして、第2話の終わりから第3話で、ヒロイン交代といって良いのかも。やはりお嬢様ヒロインより、ちょっとギャルっぽいヒロインのほうが、コンビものと考えた時に、この物語にはしっくりきます。お嬢様の「もやもやします」は、やっぱり米沢作品っぽいというのもありますし。謎解き的な部分より、主人公とユリが接近していく様子が面白いです。

ジャナ研の憂鬱な事件簿5

発売日:2018/08

海新高校ジャーナリズム研究会の啓介と真冬。「真実」への向き合い方の差からすれ違ったまま、真冬はもうすぐ卒業を迎える。啓介は、ユリの提案でかつてのソ連強制収容所で起きた「クリスマスイブの奇跡」について調べることに。その過程で自分の変化を自覚し、真冬がいかに大切な人だったか理解する。「真相」を目の当たりにした啓介は、果たしてどう動くのか? (「ロシアン・ウィスキー・ ホーリーナイト」) 人気シリーズついに完結! 切なく美しい余韻を残す「消えた恋人」 「ジャナ研の憂鬱な事件簿」など三つの短編を収録。

第1話 ロシアン・ウィスキー・ホーリーナイト

ユリに連れられ、とある教会を訪れた啓介。そこで『Silent Night』と題された小説と、1枚の写真を見つける。その謎を探るうち、60年程前のソ連強制収容所で起きた「クリスマスイブの奇跡」に行き着く。「謎を解き明かすだけでなく、必要であれば真実の先に踏み込むこと」啓介はこれまで避けてきたことに向き合う決意をし、真冬と話そうとする。

第2話 消えた恋人

良太郎が「退学する」と言い出した。突然のことに驚きながらも、良太郎のために親友としてできる限りのことをしようとする啓介と大地。徐々に明らかになっていく「綺麗じゃない真実」を前にして、啓介はどう行動するのか──。

第3話 ジャナ研の憂鬱な事件簿

卒業式を間近に控えた「追い出し祭」の日。啓介と真冬は、「ジャナ研」の部室で残り少ない時を過ごしていた。校内見学にやって来た少女を介抱することになった二人は、「最後の事件」を一緒に解き明かす。

読んだ感想

最終巻は意表を突くエピソードというか、変化球的な話が第1話2話と続きます。ソ連時代の収容所の話に、親友の結婚話。第1話はエピソード自体は面白いのですが、謎解き的にはわかりやすくて物足りないかも。

第2話に関しては、ちょっとう~んと。18才で結婚のエピソード、肉体関係があったのかどうか書かれていないけど、あまりにも相手のことがわからない状態で、結婚まで突っ走るっていうのは、ちょっと理解し難いです。今まで付き合っていた女の子たちと、何が違ってそこまで惹かれたのか?そのあたりが全くわからなくて。キャラ自体、チャラいキャラながら、もう少し思慮深いところがあるように感じていただけに、ちょっと残念です。

第3話はオーソドックスな日常の謎的で良いです。もう少し友人たちとの青春ものっぽいエピソードが読みたかったですけど、これはこれでありなのかも。最後はいい感じに終わったけど、少し物足りなさも感じたのは、なぜだろうと考えました。さんざん、憂鬱な事件を描いてきたのに、最後の最後でちょっとハッピーなのが、物足りなく感じた理由かも。2人の行く末がもう少し苦いものであれば、最後まで納得できたのかもしれませんね。

まとめ

というわけで、「ジャナ研の憂鬱な事件簿」全5巻の感想でした。

第1巻の最後の力による解決と主人公が格闘技を習っていることから、知での解決だけでなく、力の行使もあるシリーズなのかと思って、2巻以降を読んでいなかったのですが、2巻こそが、この作品のキモとなるところでした。そう考えると1巻と2巻の最後のエピソード、逆のほうがよかったんじゃないかなと思ったりも。

主人公の中学生時代のトラウマこそが、物語全体を通して訴えてくる部分であって、謎を解くこと(真相を暴くこと)=良きこと、ではないと。また真相が被害者や関係者にとって歓迎できるものではなかった場合、それを伝えるべきなのか?ということを最後まで問うてきました。探偵が謎を解いてスカッとするミステリの形を、ある意味否定するようなことになっているのが、とても面白く感じます。

惜しむらくは、ジャーナリズム研究会らしい行動がほとんどなかったことでしょうか。もう少し部活と連動した話があれば、よかったかなと思います。

いろいろと文句めいたことばかり書いてきましたが、とても面白く読めました。

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