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ライトノベルの源流としてのアニメージュ文庫を探る

さて、今回はアニメージュ文庫について調べてみたいと思います。

アニメージュ文庫

左が「戦国魔神ゴーショーグン」(82年)、右が「エイプリル・シャワー」(86年)の袖

1982年12月に徳間書店より創刊された文庫レーベル。創刊時の文庫のカバー袖には

アニメージュ文庫は「アニメージュ」の弟です。
AMJuJu と呼んでねっ!
文庫の名まえを”エイエムジュジュ”と名づけました。「アニメージュ」のアイドル・マーク、ジュジュ虫のジュジュとAMをくっつけたのです。新しくできた弟のマークも兄き同様よろしくね!

残念ながらAMJuJu(エイエムジュジュ)と呼ばれることなく、アニメージュ文庫と呼ばれています。

創刊時は5つの部門を設けていました。

NOVEL
アニメ作品の小説化が原則だけど、しばらくたったらオリジナルにも挑戦します。

CHARACTER
人気キャラクターの個人写真集、ピンナップや名場面がいっぱい載っています。

FILM
傑作アニメのフィルム文庫。コマを豊富に使用したオール・カラー版です。

PEOPLE
アニメーター、演出家、脚本家など、この1冊でその人のすべてがわかります。

THE BEST
「アニメージュ」で、好評のうちに連載終了したものを、1冊にまとめます。

1986年に「SFX」が追加。

SFX
アニメージュ文庫の新シリーズ。主に特撮ものを扱う予定です。

それぞれの部門で背表紙の色が別れており、「黒い背表紙のN(ノベルス)」「青い背表紙のC(キャラクター)」「白い背表紙のF(フィルム)」「黄色い背表紙のP(ピープル)「緑の背表紙のB(ザ・ベスト)」「赤い背表紙のSFX(特撮もの)」と紹介されております。

また、それぞれの部門で3桁の番号が発行順で付けられており、ノベルスならN-○○○、キャラクターならC-○○○、フィルムならF-○○○、ピープルならP-○○○、ザ・ベストならB-○○○。SFXは不明(赤い背表紙の「宇宙刑事シャリバン SEKISYA!」はF-010でした。)

背表紙の色は後(おそらく1989年)に水色に統一されました。Cの青とはまた違った青です。手持ちの作品の奥付を見ると1989年発行の作品から、ノベルスの背表紙は黒から水色になっているのが確認できます。

また1989年発行作品からV-○○○を使われているものもあります。背表紙の色が変わったのと同じタイミングで、ノベルスのNは継続で、それ以外をVに統合したと思われます(詳細は不明。)

1994年まででいったん新規刊行が停止になっているようですが、98年に「少女革命ウテナ」関連の脚本集(N-090,091)と写真集(V-088)で復活するもその後は続きませんでした。2009~2010年にまた一時復活したようですが、2011年には新規刊行がなくなっているようです。

現在は新規作品は出版されていませんが、アニメージュ文庫の名前は生きており、徳間書店のHPで現在(2026年1月の時点)のラインナップとして、「小説・となりのトトロ」「天使のたまご」「また会えたね!未来少年コナン」が並んでいます。

それ以外にも「シュナの旅」や「小説天空の城ラピュタ」は現在も新品で手に入るようです。ちなみに「天使のたまご」は長らく絶版も2004年に一度復刊、その後また絶版を経て2025年11月に復刊したようです。

ライトノベルの源流として

さて、ここからが本題です。ライトノベルの源流としてのアニメージュ文庫を考えたいと思います。

アニメージュ文庫の現在の評価

80~90年代のライトノベルを知るために1番参考になる本、2004年12月出版の大森望・三村美衣『ライトノベル★めった斬り!』では、大森望に「ノベライズはあるけど、オリジナルのライトノベルはほとんどない(P.083)」とバッサリと斬られており、アニメージュ文庫作品はほぼ言及されておりません。

また、2004年8月出版のMOOK『ライトノベル完全読本』でも、ほぼ触れられておりません。この本では各レーベルの編集者にインタビューをおこなっているのですが、この時期にはアニメージュ文庫レーベル自体が休止状態だったので、アニメージュ文庫ではなく、徳間デュアル文庫の編集者にインタビューをおこなっています。ただ、徳間の編集者はアニメージュ文庫には言及しておりません。徳間デュアル文庫はどちらかというとSFからの流れなので、アニメージュからの流れとは違ったのかもしれません。

2022年1月発行の石井ぜんじ・太田祥暉・松浦恵介『ライトノベルの新潮流』や2025年3月発行の太田祥暉『ライトノベル50年・読んでおきたい100冊』ではレーベル自体取り上げられていません。

こうしてみると、アニメージュ文庫はラノベレーベルとして現在ではほぼ認識されていない、作品として語られているものがない(名作として名前が出てこない)というわけです。Wikipediaを見ても、「アニメージュ文庫」で項目はなく、「アニメージュ」項目内のレーベルとして軽く触れられているのみです。

そのような状況にあって、この記事を書いているわけですが、アニメージュ文庫全体を調べるとなると、なかなかに難易度が高くなります。私の興味はライトノベルの源流としてのアニメージュ文庫なので、手広く調べるわけでなく小説部門(ノベルス)について調べることにします。

なお、アニメージュ文庫のノベルスに関しては、作家の早見慎司(早見裕司)のHPに詳しくリストが掲載されています。早見慎司はアニメージュ文庫でデビュー。アニメージュ編集部でアルバイトしていたとのことで、裏事情にも詳しいようです。以前、「ジュニアの系譜」というHPで、ライトノベルの歴史に関して作品名をあげながら書かれていたのですが、残念ながらそのHPは現在はなくなってしまいました。

逝川堂本舗:早見慎司(早見裕司)とジュニア文庫博物館

早見氏のリストをもとに、amazonでの表記、手持ち作品を参考に、アニメージュ文庫ノベルス部門作品をリストにします。なお、出版年月はamazonの登録情報を元に書いております。奥付や実際の出版月と異なる場合があります。目安程度の参考にしてください。

アニメージュ文庫ノベルス部門作品

出版年月 番号 作品名 作者 イラスト
1982/12 N-001 宇宙戦艦ヤマト完結編(前編) 岬兄悟 金田伊功
1982/12 N-002 戦国魔神ゴーショーグン 首藤剛志 なにわあい
1983/04 N-003 その後の戦国魔神ゴーショーグン 首藤剛志 コーヒートウニウ・なにわあい
1983/04 N-004 宇宙戦艦ヤマト完結編(後編) 岬兄悟 金田伊功
1983/12 N-005 またまた戦国魔神ゴーショーグン
狂気の檻
首藤剛志 天野喜孝
1984/02 N-006 早瀬未沙 白い追憶 大野木寛 美樹本晴彦
1984/08 N-007 4度戦国魔神ゴーショーグン
覚醒する密林
首藤剛志 天野喜孝
1985/04 N-008 戦国魔神ゴーショーグン
時の異邦人
首藤剛志 天野喜孝・なにわあい
1985/07 N-009 ミンキーモモ 夢の中の輪舞 首藤剛志 わたなべひろし&けいこ
1985/08 N-010 小説オーディーン 小熊耕二 松岡伸
1985/08 N-011 永遠のフィレーナ1 首藤剛志 高田明美
1986/02 N-012 戦国魔神ゴーショーグン
はるか海原の源へ
首藤剛志 天野喜孝
1986/03 N-013 デジタル・デビル・ストーリー
女神転生
西谷史 北爪宏幸
1986/04 N-014 エイプリル・シャワー物語 藤川桂介 おおた慶文
1986/05 N-015 永遠のフィレーナ2 光への脱出 首藤剛志 高田明美
1986/05 N-016 小説 天空の城ラピュタ 前編 亀岡修 宮崎駿
1986/08 N-017 小説 天空の城ラピュタ 後編 亀岡修 宮崎駿
1986/10 N-018 デジタル・デビル・ストーリー2
魔都の戦士
西谷史 北爪宏幸
1986/10 N-019 ぼくらのペレランディア! 島田満 田中敦子
1987/01 N-020 小説 蒼き流星SPTレイズナー
刻印2000
伊東恒久 谷口守泰
1987/07 N-021 死人にシナチク 藤井青銅 あさりよしとお
1987/07 N-022 奴の名はゴールド 結城恭介 北爪宏幸
1987/07 N-023 舞い降りた天使 遠藤明範 洞沢由美子
1987/07 N-024 緋牡丹警察 2-O 鳴海丈 いのまたむつみ
1987/12 N-025 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
(前編)
富野由悠季 星野之宣
1987/12 N-026 大魔獣激闘 鋼の鬼 會川昇
1988/01 N-027 東京原宿豆腐屋物語 水城昭彦 梅津泰臣
1988/02 N-028 機動戦士ガンダム逆襲のシャア
(中編)
富野由悠季 星野之宣
1988/02 N-029 デジタル・デビル・ストーリー3
転生の終焉
西谷史 北爪宏幸
1988/02 N-030 死人にシナチク2 修学旅行狂想曲 藤井青銅 あさりよしとお
1988/03 N-031 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
(後編)
富野由悠季 星野之宣
1988/04 N-032 小説 となりのトトロ 久保つぎこ 宮崎駿
1988/05 N-033 戦国魔神ゴーショーグン番外編
幕末豪将軍
首藤剛志 さかもとえみ
1988/05 N-034 真夜中不思議族 小林弘利 角銅博之
1988/06 N-035 装甲騎兵ボトムズ
ザ・ファーストレッドショルダー
吉川惣司 塩山紀生
1988/07 N-036 翼をください ジェームズ三木
1988/07 N-037 永遠のフィレーナ3 悪夢への挑戦 首藤剛志 高田明美
1988/09 N-038 逃走のエデン 遠藤明範 美樹本晴彦
1988/10 N-039 夏街道〔サマーロード〕 早見裕司 川原由美子
1988/11 N-040 ブレイン・介 西谷史 北爪宏幸
1988/11 N-041 プリズム・ショット 藤井青銅 梅津泰臣
1988/12 N-042 シーマ・シーマ前編 疾風の果てに 富野由悠季 山崎正夫
1988/12 N-043 装甲騎兵ボトムズ
ザ・ラストレッドショルダー
吉川惣司 塩山紀生
1989/02 N-044 アルテミスの反乱 稲生達郎 米田仁士
1989/02 N-045 都立高校独立国 上 首藤剛志 古山匠
1989/03 N-046 都立高校独立国 下 首藤剛志 古山匠
1989/05 N-047 サンダーロード 鳴海丈 いのまたむつみ・高荷義之
1989/05 N-048 シーマ・シーマ中編 修羅に昇る 富野由悠季 山崎正夫
1989/05 N-049 小説強殖装甲ガイバー・鬼影の記憶 早見裕司 高屋良樹・水木圭
1989/06 N-050 マージナル・マスターズ〈VOL.1〉
血塗られた故郷(ホームタウン)
はままさのり 岡本英郎
1989/07 N-051 時の忍び 陣羽織爆撃隊 芹川有吾 梅津泰臣
1989/09 N-052 デザイア・介 西谷史 北爪宏幸
1989/08 N-053 理姫-YURIHIME- 結城恭介 鈴木雅久
1989/09 N-054 シーマ・シーマ後編 血族を払う 富野由悠季 山崎正夫
1989/09 N-055 コンビニっ娘になりたくない 五十嵐優美子 いがらしゆみこ
1990/06 N-056 永遠のフィレーナ4 首藤剛志 高田明美
1990/06 N-057 新デジタル・デビル・ストーリー1
捕われの女神
西谷史 北爪宏幸
1990/06 N-058 水路の夢〔ウォーターウェイ〕 早見裕司 川原由美子
1990/09 N-059 マージナル・マスターズ〈VOL.2〉
甦る神々の棲み家
はままさのり 岡本英郎
1990/09 N-060 死人にシナチク3 楊大人の野望 藤井青銅 あさりよしとお
1990/09 N-061 永遠のフィレーナ5 薄望への灯火 首藤剛志 高田明美
1990/12 N-062 ユニコーン・アイランド 秋月達郎 加藤&後藤
1991/03 N-063 マージナル・マスターズ〈VOL.3〉
陽光の刻印
はままさのり 岡本英郎
1990/12 N-064 小説ふしぎの海のナディア 上 小林弘利
1991/01 N-065 小説ふしぎの海のナディア 中 小林弘利
1991/03 N-066 新デジタル・デビル・ストーリー2
氷界の女王
西谷史 北爪宏幸
1991/03 N-067 小説ふしぎの海のナディア 下 小林弘利
1991/06 N-068 小説 ふしぎの海のナディア
【NADIA THE MOVIE】
1991/06 N-069 戦国魔神ゴーショーグン番外編2
美しき黄昏のパヴァーヌ
首藤剛志 羽原久美子
1991/08 N-070 よそのねこ 岡本蛍 くじらいいく子
1991/08 N-071 新デジタル・デビル・ストーリー3
神魔の惑星
西谷史 北爪宏幸
1992/02 N-072 弾丸少年 ローゼン・クロイツの陰謀 小林弘利 田巻久雄
1992/04 N-073 永遠のフィレーナ6 首藤剛志 高田明美
1992/04 N-074 新デジタル・デビル・ストーリー4
怒りの妖帝
西谷史 北爪宏幸
1992/04 N-075 アロワナ・ガール 藤井青銅 前田真宏
1992/09 N-076 ナディアストーリーズ1
ジャンとナディアのいちばん長い日
小林弘利 三宅和彦
1992/09 N-077 弾丸少年2 ドルフィン・サーカス 小林弘利 田巻久雄
1992/09 N-078 クール・ボイスでささやいて 藤井青銅 赤井孝美
1992/12 N-079 新デジタル・デビル・ストーリー5
女神よ永遠に
西谷史 北爪宏幸
1992/12 N-080 ナディアストーリーズ2
ふしぎの森のマリー
小林弘利 三宅和彦
1992/12 N-081 小説ヤダモン 上 面出明美 SUEZEN
1993/02 N-082 永遠のフィレーナ7 首藤剛志 高田明美
1993/05 N-083 小説ヤダモン 中 面出明美 SUEZEN
1993/11 N-084 永遠のフィレーナ8 海の狼 首藤剛志 高田明美
1993/11 N-085 小説ヤダモン 下 面出明美 SUEZEN
1993/11 N-086 小説モルダイバー 早見裕司 北爪宏幸
1993/12 N-087 新デジタル・デビル・ストーリー6
転生の絆
西谷史 北爪宏幸
1994/04 N-088 永遠のフィレーナ9
青く果てしなく
首藤剛志 高田明美
1994/12 N-089 小説青空少女隊 藤原征矢 清水としみつ

ノベルス部門は全部で89作。そのうち、アニメノベライズ35作、オリジナル54作なので、大森望が言うように「ノベライズはあるけど、オリジナルのライトノベルはほとんどない」とまではいえないと思います。ただ、他の部門がアニメ関連のものなので、それらを含めるとアニメ関連ばかりの文庫に見えるのは仕方がないかも。

アニメージュ文庫のあった時代

アニメージュ文庫が刊行されていたのは、1982年から1994年です。時代背景的な部分と他のレーベルについてです。

まず時代的な部分で、70年代のSFブーム、74年からの「宇宙戦艦ヤマト」及び松本零士作品ブーム、79年からの「機動戦士ガンダム」ブームがあって、80年代初頭はアニメのノベライズがたくさん出版された時代でした。これは家庭用ビデオデッキがまだ普及していなかったので、映画公開・テレビ放送が終了した作品を楽しむためには、テレビ放送・再放送を待つか、ノベライズで読むか、ドラマレコードを聞くか、といった選択肢しかなかったためでもあります。その中で安価で手に入りやすいアニメノベライズが支持されたかと思われます。

ライトノベルの始まり(諸説あり)として、ソノラマ文庫、集英社文庫コバルトシリーズがありますが、これらのレーベルでもヤマト、松本零士作品、ガンダムを始めとするサンライズ作品のノベライズが79年ころから、たくさん出版されました。ソノラマ、コバルト以外でも、文化出版局のポケットメイツというレーベルが1980年から1982年くらいまで、アニメノベライズをたくさん出版しております。

そして82年にアニメージュ文庫創刊。そのあと84年に講談社X文庫が創刊され、こちらも積極的にOVAのアニメノベライズを出版しております。ただ85年くらいになると、アニメノベライズブームは下火になってきて、ソノラマ、コバルトからはほぼなくなり、87年くらいに講談社X文庫はサブ(少女小説)レーベルの「ティーンズハート」へ移行、90年代初頭はアニメージュ文庫と角川スニーカー文庫(ソノラマから移行したガンダムなど)がアニメノベライズの中心でした。

こうしてみると中高生向けレーベルでは、80年から86年くらいまでがアニメノベライズ全盛期、87年以降はオリジナル小説が中心となっていきます。厳密にいうと80年代なかばからコバルトシリーズでは少女小説が大人気となり、87年からは講談社X文庫ティーンズハートも参戦して、少女小説ブームとなっています。88年角川スニーカー文庫(最初は角川文庫・青帯)、89年富士見ファンタジア文庫創刊、90年から現在につながるライトノベルブームとなるわけです。

82年創刊のアニメージュ文庫がアニメノベライズ中心となったのは時代の流れでもありますし、そもそも母体がアニメ雑誌なのですから当然と言えば当然です。ただレーベル創設時からノベルス部門では「アニメ作品の小説化が原則だけど、しばらくたったらオリジナルにも挑戦します」とあったように、オリジナル小説出版も視野にあったのは確かです。

アニメージュ文庫作品はライトノベルなのか?

ライトノベルか否か?なんていうと、定義論争になってしまいます。そこで一般的にライトノベル、もしくはその源流と評されるソノラマ文庫作品とアニメージュ文庫作品は何が違うのか?を考えます。

大森望・三村美衣『ライトノベル★めった斬り』においては、アニメノベライズはブックガイドでは対象となっていません。対して『ライトノベル完全読本』では、特集に「ガンダム小説大全」があったりして、アニメノベライズはライトノベルなのかどうか、微妙ではあります。

ただラノベランキング的なものにアニメノベライズが入ることはほぼ無いので、アニメノベライズはライトノベルではない、とここでは一応定義します。オリジナル小説のみで比較です。

ソノラマ文庫だと、「クラッシャージョウ」「キマイラ」「トレジャーハンター八頭大」「吸血鬼ハンターD」「妖精作戦」「ハイスピードジェシー」「ARIEL」各シリーズがライトノベルもしくはその源流的なとらえ方をされる作品かと思われます。

で、最終的にライトノベルの定義にかかわってくるのですが、ライトノベルっぽく感じるのは何なのか?ということです。ここでは個人的な見方になりますが、80~90年代において、中高生男子向けレーベル、アニメーター・漫画家を起用もしくはアニメ的なイラスト、内容としてはSF・ヒロイックファンタジー中心、学園ものであってもアクションやコメディ中心で恋愛小説ではない、といったところでしょうか。あとは文体が軽いものが時代的には流行ったというのもあります。ただ、これは絶対条件ではありません。

アニメージュ文庫では「デジタル・デビル・ストーリー」「死人にシナチク」「永遠のフィレーナ」あたりはまさにラノベっぽい作品といえるでしょう。イラストがそれぞれ北爪宏幸、あさりよしとお、高田明美。内容的にも伝奇SF、学園コメディ、大河ロマンファンタジー。

私が読んだ、それ以外の作品では、鳴海丈『緋牡丹警察2-O』は近未来を舞台にしたアクションコメディで、イラストはいのまたむつみ。作品の味合いを含めてラノベっぽいと思いました。遠藤明範『舞い降りた天使』、結城恭介『理姫-YURIHIME-』は、学園ジュブナイルSFの系譜といった感じです。このあたりラノベっぽい作品とジュブナイルSFが混在するソノラマ文庫と同じように感じます。

で、結局、ソノラマ文庫もアニメージュ文庫も、狙っているところは同じような気がします。当時の中高生男子向けレーベルで、流行りの体裁で出版しているわけなので当然です。

じゃあ、なぜアニメージュ文庫はライトノベルもしくはその源流として、(主にラノベ研究本などに)名前がでてこないのか。

アニメージュ文庫はなぜラノベの源流とならないのか?

結局のところ、内容的なものではなく、イメージ的なところが大きいのではないか、と考えてしまいます。一般的に「アニメージュ文庫って、アニメノベライズばかり、アニメ関連の文庫でしょ?」というイメージだと思います。

実際はアニメノベライズばかりではないですし、ラノベ的な作品も多数あるのですが、他レーベルと比べると作品数がやはり少ない。そして、大きな評判を呼んだ作品が少ないといえるでしょう。

現在、アニメージュ文庫の中で1番知名度があるのは、おそらく「デジタル・デビル・ストーリー」シリーズでしょう。と言ってもわからない人も多いかもしれませんが、「女神転生」と言えばわかる人も多いはずです。こちらはゲームが大ヒットして、小説からは離れて展開していった作品です。ただ、熱心なファンがたくさんいて、小説は入手困難です。

「死人にシナチク」シリーズもわりとツイッターなどで反応が良いシリーズだったりします(懐かしの……という意味で)。

時代に乗れなかったアニメージュ文庫

上記の作品リストを見ていただけるとわかるのですが、86・87年あたりにアニメージュ文庫ではオリジナル小説を複数出版しています。これはアニメノベライズが下火になってきた頃です。

ただ時代に乗れなかった、といえばよいのでしょうか。時代はRPG的な異世界ヒロイックファンタジーブームとなっていったのですが、そこでヒット作を出せなかったゆえ、後年になって忘れ去られることになったのでしょう。これはソノラマ文庫も同じで、90年代作品の存在感が小さいです。

私は未読(入手困難)なので詳しくはわからないのですが、首藤剛志「永遠のフィレーナ」シリーズはアニメ化もされているし、ラノベ史上にもう少し存在感があっても良いと思うのですが、この作品は評価が低かったんでしょうか。9巻まででているので、人気はあったと思うのですが。

ただ、今となってはどれも入手困難作品ばかり。ほぼ忘れられた存在なだけに、電子書籍化されることもなく、ひっそりと消えていってしまうのかもしれません。

アニメージュ文庫の重要作家

最後に話は変わって、アニメージュ文庫で活躍した、重要作家を。

首藤 剛志

アニメージュ文庫を代表する作家として、まず首藤剛志を紹介しないわけにはいきません。80年代の蔦プロアニメ作品『戦国魔神ゴーショーグン』と『魔法のプリンセス ミンキーモモ』で有名な脚本家で、アニメージュ文庫では「ゴーショーグン」シリーズと「永遠のフィレーナ」シリーズが代表作。

西谷 史

今となってはゲーム「真・女神転生」シリーズが有名ではありますが、その原作となったのが西谷史「デジタル・デビル・ストーリー」シリーズ。「女神転生」は第1作目のタイトルでした。

「デジタル・デビル・ストーリー」は全3巻、その後「新デジタル・デビル・ストーリー」も全3巻。計6巻の作品となっています。現在では入手困難なため、中古市場でも高額で取引されている作品です。

西谷史は「デジタル・デビル・ストーリー」以降、アニメージュ文庫だけでなく、角川スニーカー文庫や電撃文庫でも作品を出しています。

藤井青銅

ラジオの放送作家としても有名な藤井青銅。アニメージュ文庫では「死人にシナチク」シリーズが有名です。小説家初期作品はコメディ作品がメインですが、同文庫では「アロワナ・ガール」で青春小説も書いています(なお、解説はウッチャンナンチャン)。

注目したい作家

上記3氏以外で注目したい作家が、秋月達郎(稲生達郎)、鳴海丈、早見裕司の3人です。

秋月・鳴海は後に時代小説などでも大活躍した作家です。「あの作家がここでも書いていたのか」的な意味で注目です。

早見裕司はアニメージュ文庫でデビュー。00年代も「メイド刑事」など、ラノベレーベルで活躍。近年でもメディアワークス文庫や電撃文庫で、作品を発表し続けている「元祖ラノベ作家」といっても良い作家の1人です。

まとめ

ということで、ライトノベルの源流としての、アニメージュ文庫を調べてみました。現在では入手困難な作品が多く、またamazonでもあらすじ等の情報も少ないため、実際どういった内容なのかもわからないものが多数あります。

このままでいくと、アニメージュ文庫も忘れ去られてしまうこと必至。そうならないように、私も入手、読了した作品は、出来るだけ記事にするようにしていきたいと思います。

 

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