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少年漫画的王道ストーリー 神野 淳一『アウターxトップ』を読んで

今回は、大学生がプロを目指しロードレースに青春をかける、神野淳一「アウターxトップ」を読んだ感想です。

この本はメディアワークス文庫という、ライトノベルと一般文庫の中間くらいの層を狙った、レーベルから出版されています。ライトノベル的お約束は無くて、一般小説より読みやすい、そんな位置づけの文庫です。

大学生の京介と親友の悠宇、悠宇の妹の有季を中心として、トレーニングとレースの日々が描かれています。ロードレース中の駆け引きや、トレーニングの内容が、リアルに丁寧に描かれていて、青春ロードレース小説ではあるけれど、ロードレースに比重がおかれている感じです。

この小説の面白いところは、トレーニングを重ね、勝ったり負けたりを繰り返し、アクシデントも乗り越えて、成長していくという、少年漫画的な王道のストーリー展開であること。途中から師匠的な人物や、ライバルが加わったりするところも、王道的な展開です。ありきたりではありますが、安心して読み進めることができます。

やや物足りないと思うのは、主人公たちの背景に深みが無いからでしょうか。好きでロードレースをやっているのだけど、それ以上の理由が無い。「スマイリング!」のような、レースに人生をかけるような、そういう背景が無いから、単調に感じるのかもしれません。物事に打ち込むのに、好きだからという以上の理由は必要ないかもしれませんが、物語としてはそこが無いと、やはり物足りなさを感じてしまいます。

逆にそういった背景が描かれない代わりに、レースシーンがたっぷり描かれていて、ロードレースが好きという方は楽しめます。最後のレースで落石を交わすシーンがあるのですが、これがきっちりと伏線を張られていて、こう来たか!と感心してしまいました。

続編がありそうな終わり方になっているのですが、続編が出ていないのが残念なところ。巻数を重ねていけば、京介と有季の恋の行方や、親友・ライバル・師匠的な人物との関係性が、ドラマを生み出していきそうな気がします。2012年に出版されてから、続刊が無いので、続きが望めそうに無いのが、重ね重ねも残念。

自転車が好きな方、ロードレースが好きな方には、オススメです。

オススメ度:3.0 面白い。楽しめます。

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