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【その3】90年代の富士見ファンタジア文庫 単巻ラノベまとめ【暫定版】

さて、今回は90年代に富士見ファンタジア文庫から出版された単巻ラノベをまとめたもの、第3弾です。90年代のラノベに興味を持って読んでみようと思っても、どれも複数巻の長いものばかり。サクッと90年代を味わえるラノベはないものか?と感じた私と同じような人のために、まとめておきます。

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なお、既読作品には星印でオススメ度を添えてあります。未読のものは未評価で、今後読み終わり次第、評価をつけていく予定。あくまでも個人的な好みです。

5.0 必読。これを読まずして、何を読む。
4.0 面白い。読んで損は無し。
3.0 面白い。楽しめます。
2.0 それなりに面白いかも。
1.0 時間があれば、読んでみるのも一興。

大雑把な評価ですが、もし読んだことがないものがあれば、参考にしてください。

ひとつ火の粉の雪の中 / 秋田 禎信

著者:秋田 禎信
イラスト:若菜 等+Ki
発売日:1992/08

鬼が喰らい、修羅が斬り、人が生きる。それが定め。哀しく妖しい、この世の定め…。最強の修羅・鳳は、焦土と化した村でひとりの少女と出会う。少女は夜闇。鬼の血をひき、鬼の力“鬼界”を秘めたる娘。鳳は夜闇を連れ、旅に出る。永劫にも似た、果てのない旅路。だが、夜闇の力を狙う妖しのものどもの跳梁により、封じられていた“時”が動きはじめた…。第3回ファンタジア長編小説大賞準入選作品。幻想味あふれるジャパネスク・ファンタジー。

第3回ファンタジア長編小説大賞準入選作品。「魔術士オーフェン」シリーズで有名な著者のデビュー作。

修羅と鬼の子である少女が、海を目指して旅する物語。イメージの奔流とも言える、ちょっと苦手なタイプの文章で読むのに苦労しました。造語とかっこいいフレーズに溢れ、著者のセンスを感じるのですが、物語はわかりづらく独りよがりとも感じました。ただ、この作品を書いたのが、応募時17歳、出版時19歳と聞くと、若さと才能があふれるすごい作品だなと驚くしかありません。

2014年に新潮文庫NEXより、特別書き下ろし掌編を収録した新装版が出版されています。

オススメ度:

夢龍戦士アインレオン 1 / 吉岡 平

著者:吉岡 平
イラスト:山内 則康
発売日:1992/10

高校生の椛島怜音菜はRPG好きの普通の女の子だ。ある日彼女は自分が作り上げたRPGの世界に入り込んでしまう。そこで彼女はその世界はあと一週間で滅んでしまうと聞かされる。ゲームとはいえ、自分が作り上げた世界に対する責任感から彼女は『世界』を救う決心をするのであった。しかしながら悲しいかな『世界』での彼女の戦士としてのレベルは低く、巨大な敵に立ち向かうには心もとないありさまなのだ。はたして、怜音菜は現実世界の補習、宿題、テストの猛攻を乗り越え、自分が創造した世界を救うことができるのか?吉岡平が贈る、新感覚ファンタジー小説第一弾。

ナンバリングされていますが、続刊はありません。

オススメ度:未読

メビウス・ストーリー / 六道 慧

著者:六道 慧
イラスト:高田 明美
発売日:1992/12

アンティークショップ〈サムサーラ〉は、一見、とくに変わった店のようには見えない。だが、そこになにげなく並べられている品物たちは、それぞれ奇妙な“力”を秘めている。生きている絵、霊を視る石、魔性を引き出す能面、他人の心を覗く万華鏡―。〈サムサーラ〉のドアが開かれるとき、不思議な物語がはじまる…。現代のさまざまな事件をモチーフに、気鋭が渾身の筆で描く、珠玉のミスティック・ホラー短編集。

アンティークショップに並ぶ商品を手に入れることによって、不思議な現象に巻き込まれるホラー短編集。生い立ちの不幸、望まぬ受験戦争、いじめ、両親の離婚、女子高生コンクリート事件などなど、中高生を主役に現実にあった事件などを下敷きにして書かれています。アンティーク商品を使ってスッキリ解決という話ではなく、余韻を持たせていたり、社会批判的な結末であったりと、90年序盤のライトノベルにしては、軽くない内容です。

テレビドラマ「世にも奇妙な物語」を中高生が共感を持てるように仕上げた感じで、読み応えがあります。

オススメ度:

はじまりの骨の物語 / 五代 ゆう

著者:五代 ゆう
イラスト:米田 仁士
発売日:1993/03

雪の女王にひきいられた〈冬〉の軍勢は、大地をただ死と静寂で埋めつくそうとしていた…。女戦士ゲルダは、育ての親であり恋人でもある魔術師アルムリックとともに、〈冬〉討伐の遠征軍に加わり、魔物の地ヨトゥンヘイムを目指した。討伐軍は強力な〈冬〉の軍勢相手に果敢に闘う。しかし、アルムリックは突如として討伐軍を裏切り、壊滅的な打撃を与えたうえ、ゲルダをも捨てて去っていってしまった。『―アルムリック、おまえだけは絶対に許さない!』こうして、ゲルダの長い復讐の旅が始まった―。第四回ファンタジア長編小説大賞において大賞を受賞した、壮大なスケールの本格ファンタジー、ついに登場。

第4回ファンタジア長編小説大賞、大賞受賞作。

オススメ度:未読

水鏡のイーラ / 神江 京

著者:神江 京
イラスト:若菜 等+Ki
発売日:1993/03

なんだか浮かない顔ね。なにか捜しもの?―そう、なにかを見失ってしまったのね。宝物?自分の行き先?それとも愛するあのひとの心?悩んでいるなら、あたしの店へいらっしゃい。バレイラーグにその名も高い、〈水盤占いのイーラ〉が占ってあげる。水鏡の中に、あなたの捜しているものをきっと見つけだしてあげるから…。美貌の占術師イーラと相棒の白蛇リュートのもとへ、つぎつぎもたらされる、不思議な冒険。ミスティック・ファンタジー決定版。

オススメ度:未読

ヴァルキューレの美騎士 / 武上 純希

著者:武上 純希
イラスト:沢田 翔
発売日:1993/03

オージンの神を奉じるゴート族には、ひとつの伝説があった。ゴート族に危機が訪れるとき、女神たちの軍隊、ヴァルキューレが救援に送られる、と―。東ゴートの国エルメンリクスの王女スニルダは、ニーベルンゲン族の少年ヤーゴとともに、妖気あふれる〈人茸の森〉に入っていった。幼いころ別れた母の消息を知るため、“離魂茸”を手に入れようとしていたのだ。だがそこで、スニルダたちは異邦人の軍勢と出会う。彼らこそ、王子ウルフィラに率られ、エルメンリクスにおしよせる東方の蛮族、ロキ族の軍団だった。ゴート族存亡の危機。スニルダの瞳に、決意の光が宿った。ゲルマン神話をモチーフに、元気いっぱいお送りする、長編冒険ファンタジー。

オススメ度:未読

東北呪禁道士 / 大林 憲司

著者:大林 憲司
イラスト:こばやしひよこ
発売日:1993/04

時は延暦十二年。大和朝延と東北地方に棲む蝦夷とは長い間、戦いを続けていた。蝦夷はカムイの力を借り、大和の軍を翻弄し、戦いは膠着状態に陥る。そこで、大和朝延は対カムイの切り札として陰陽師の流れをくむ呪禁道の者たちを蝦夷征伐の一部隊として組織した。父をカムイに殺された徳紅明は仇を討つため呪禁道士隊の一員として坂上田村麿に従い、蝦夷征伐に出る。しかし、紅明は東北で蝦夷の人たちと出会い、暮らしぶりを知るにつれ、蝦夷征伐に疑問を抱くようになった。はたして紅明は疑問を抱いたまま蝦夷と戦うことができるのか?この蝦夷征伐に隠された陰謀とは何か?

第3回ファンタジア長編説大賞準入選作。奈良時代(西暦700年代後半)の大和朝廷と東北の蝦夷の戦いを舞台に、呪禁道士の少年の成長を描く和風ファンタジー小説です。歴史の授業でも習う坂上田村麻呂やアテルイなど歴史上の人物に、オリジナルのキャラクターを絡ませ、歴史小説ではないバトルありの和風ファンタジー小説に仕上げています。

【90年代単巻ラノベを読む8】大林憲司『東北呪禁道士』を読んで
さて、本日の【90年代単巻ラノベを読む】は、大和と蝦夷の戦いを描く和風ファンタジー、大林憲司「東北呪...

オススメ度:

銀河を渡る竜の群れ / 大野木 寛

著者:大野木 寛
イラスト:加藤 雅基
発売日:1993/05

宇宙の崩壊は秘やかに始まっていた。牢獄衛星テュテューンの封印が破られ、恵みのマナを享受していた星系に悪しき黒雲が広がりつつあった。魔王ダ・ガールの復活とともに──。竜賊の若き頭目ミ・ザートが手に入れたすごいお宝は、輝くばかりの美少女だ。「愛してるぜ」強引にも少女・キャラを”オレの女”と決め込むミ・ザート。だが、彼女は星系の未来を担う宿命の、”善き星霊ゾ・マーの娘”であった。魔王の恐るべき野望がミ・ザートとキャラを戦いの渦中へと巻き込んでいく!! 銀河は、大戦の予感に震えていた……。宇宙の海原をマナの風を受け進む帆船、竜を駆る人々──独創的な世界を舞台にした壮大なるSFファンタジー、登場!!

ファンタジー風味のスペースオペラ。SF的なものは捨てて、宇宙にマナの風が吹き竜と帆船が行き交うという設定です。蘇った巨悪に対し、現在の王女と亡国の王家の血を引く竜を操る者が立ち向かう物語。

初めて出会った女性に”オレの女”というような主人公の性格がいまいち共感できませんが、物語後半の盛り上がり・展開は熱く楽しめます。物語自体は面白いのだけど、贄となるヒロインの王女の設定(というか行動)にやや疑問の残る作品。主人公とヒロインより、敵になったり味方になったりの商人とその愛人のほうがキャラクターとしては魅力的。

オススメ度:

妖魔アモル 翡翠の魔身変 / まみや かつき

著者:まみや かつき
イラスト:草なぎ 琢仁
発売日:1993/06

天空の妖月が、ぬらぬらとした光を放っている。妖魔の刻だ…。「アモル―ゥ」甲高い少女の声が彼を呼んだ。軽やかな羽ばたきが、天の高みから降ってくる。まだ幼い可憐な少女の顔を持つそれは、翡翠色の左腕へと降り立った。妖魔王の心臓から生まれた、翡翠色の肌を持つ直系妖魔―。彼が無敵の妖魔アモルなのだ。強い。圧倒的に強い。直系妖魔にのみ与えられた力で、襲いかかってくる敵を片っ端から叩きふせる。アモルが不敵な笑みを浮かべた。楽しむべき、“危険”を見つけたのだ…。第四回ファンタジア長編小説大賞準入選に輝く、期待の新人のデビュー作。

第4回ファンタジア長編小説大賞準入選作。

オススメ度:未読

レナス 崩壊の序曲 / 柴尾 英令

著者:柴尾 英令
イラスト:加藤 洋之&後藤 啓介
発売日:1993/08

「神に愛された種族」ガーファ族の成人の儀式が行われるカロンの大祭。ティオが幼い頃から、心待ちにしていた「こども」が「大人」になる日だ。しかしその日はティオにとっては最悪の日になった。町の実力者ガル・サンダーの息子ゲイブ・サンダーにより、せっかく父につくってもらった成人の儀式のための飾り鎧をぼろぼろにされてしまったのだ。「こども」たちの行列を見送る群衆の中、悔しい気持ちを抑えながら「大人」になるためカロンの塔へ向かって旅立ったティオ…。静かに今、伝説の影に隠された、悲劇の幕が上がってゆく。

オススメ度:未読

とりあえずまとめ

以上、92年8月から93年8月までに出版された単巻作品の紹介でした。

未読作品の方が多いので、どれがおすすめとは言えませんが、後に「魔術士オーフェン」シリーズでヒットを飛ばす秋田禎信のデビュー作『ひとつ火の粉の雪の中』と、現在、栗本薫の「グイン・サーガ」を引き継いでいる五代ゆうのデビュー作『はじまりの骨の物語』は注目作です。

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90年代の富士見ファンタジア文庫 単巻作品まとめリスト
90年代の富士見ファンタジア文庫の単巻作品をリスト化しています。一覧で見たい方はこちらを。
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