さて、今回は90年代に富士見ファンタジア文庫から出版された単巻ラノベをまとめたもの、第4弾です。90年代のラノベに興味を持って読んでみようと思っても、どれも複数巻の長いものばかり。サクッと90年代を味わえるラノベはないものか?と感じた私と同じような人のために、まとめておきます。
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なお、既読作品には星印でオススメ度を添えてあります。未読のものは未評価で、今後読み終わり次第、評価をつけていく予定。あくまでも個人的な好みです。
面白い。読んで損は無し。
面白い。楽しめます。
それなりに面白いかも。
時間があれば、読んでみるのも一興。
大雑把な評価ですが、もし読んだことがないものがあれば、参考にしてください。
超銀河的美少女幽霊 / 南田 操
著者:南田 操
イラスト:長谷川 裕一
発売日:1993/09
オレの名は一条タカシ。宇宙曲技団“ペルセウス”の魔術師見習いだ。ある日、オレたちの一座は“アンドロメダの秘宝”をめぐるトラブルに巻き込まれ、GFのエミは死んでしまった。ところがどっこい、エミは幽霊となって甦ったのだ。幸いなことに、エミの死の一因でもある“アンドロメダの秘宝”には、死者をも生き返らせる力があるらしい。オレは早速、“秘宝”が眠るとされるムーア公国へと向かったのだが…。超銀河的スケールのスペース・アクション・コメディ決定版。
宇宙曲技団ペルセウスのメンバー・タカシを中心に、牛丼型の惑星ムーア公国を舞台とし、「アンドロメダの秘宝」を巡り繰り広げられるドタバタスペースオペラ。
オススメ度:
女剣闘士ルシア いつもあなたがそばにいる / 神江 京
著者:神江 京
イラスト:小菅 久実
発売日:1993/11
大観衆の怒号と喚声の中、闘いの庭に少女は立っていた。耳で切り揃えられた栗色の髪、勝ち気そうに輝く濃茶色の瞳。青銅の胸当てと膝当てを身にまとい、長剣を佩いた彼女は、その華奢な外見とはうらはらに、巨漢を前に少しもひるんではいなかった。観客は少女の、舞うがごとき華麗なる闘いを見せつけられた。大歓声があがる。少女の名はルシア。女剣闘士―。闘いを職業として択び、抜群の才能と技倆とを示すルシア。だが、その内面は、やはりひとりの少女でもあった。ひとりの青年との出会い。それは彼女の心と人生を、どのように変えていくのか…。新境地を拓く、ロマンシング・ファンタジー。
オススメ度:未読
食前絶後!! / ろくごまるに
著者:ろくごまるに
イラスト:九月姫
発売日:1994/01
「雄一、愛しているわ」くれなずむ放課後の教室。幼なじみの徳湖から受けた突然の告白に、もちろん俺はイエスと答えた。そして徳湖を抱きしめよう…と思ったその時、「雄一のためにお弁当作ってきたの。食べてね」徳湖が差し出した弁当を俺はなんのためらいもなく食べた。ところが、弁当の肉ソボロを口にした瞬間広がったのは、「さっぱりとしたアスファルト」味だった。い、一体この弁当はなんなんだー。どうやら、俺は自分の助平根性のせいで、調味魔導継承者争いに巻き込まれてしまったらしい。そんな俺たちの前におそるべき敵が現われた…。第四回ファンタジア大賞から飛び出した、異色の学園ファンタジー登場。
あらすじから90年代らしいギャグっぽい作品かと思わせておきながら、設定がぶっ飛んでいるわりに内容は正統派な、文章的に多数の実験が散りばめられた異色の学園異能バトル小説。
オススメ度:
まほろばの門 / 桑原 忍
著者:桑原 忍
イラスト:姫川 明
発売日:1994/02
オススメ度:未読
After.Dark.2150 虹の天使フリー=アイ / 高平 鳴海
著者:高平 鳴海
イラスト:狭霧 光明
発売日:1994/05
「気に入らねえな」ナイジェル“キッド”バレステラ。職業、バウンサー。環境破壊と天変地異によって国家が崩壊したこの22世紀において、カネが支払われるのならあらゆる依頼を受け、トラブルを解決する“便利屋”。今回、彼が受けた依頼は、京都の教団に誘拐された少女を救出すること。依頼人によれば、このハイスクールに入ったばかりの少女こそが、最近サイバースペースを騒がせている神出鬼没の謎のハッカー、“フリー=アイ”の正体だというのだが…意外とあっけなく少女を捕捉できたキッドだったが、仕事はそれだけでは終わらなかった。教団の殺し屋、大企業お抱えの私警察の暗闘に巻き込まれたキッドと少女の運命は。
TRPG「メタルヘッド」を元にした作品。ネット上の人格フリー=アイとその実態であるエリィをめぐり、複数の組織が、そして2人のハンター(殺し屋?)が、激しくぶつかり合うアクション小説。その中でエリィの成長、2人のハンターの苦い過去が描かれます。
電脳世界やネット上の人格フリー=アイよりも、現実の世界のキャラを中心に描かれるので、サイバーパンク小説というよりはアクション小説の趣が強いです。
オススメ度:
ルスキエ・ビチャージ 死天使は冬至に踊る / 富永 浩史
著者:富永 浩史
イラスト:毛羽 毛現
発売日:1994/06
昔々―ロシアと呼ばれる国もなく、ましてソビエトなんて名前は誰も聞いたことがない。ドニエプル川の流れる大地に、バイキングの末裔たちの国があった。時に西暦976年。大公スピャトスラフ亡き後、権力の座を巡る三人の兄弟の確執が表面化しつつあった。それぞれの思惑につけこもうと、ローマから来た伝道団の司祭、レーヴェンハルトが暗躍する。そんな「社会情勢」は、傭兵の息子レフ・ヴァシーリェヴィチにはなんの関係もない筈だった―筈だったのだが、意外な成り行きで、レフは三兄弟の暗闘に巻き込まれていく。レフの双子の姉イリョーシャ、体をすっぽりと覆う外套に隠された、彼女の秘密とは。奇想天外な発想で審査員をうならせた第五回ファンタジア長編小説大賞佳作受賞作、ここに文庫化。
オススメ度:未読
鋼鉄の虹 装甲戦闘猟兵の哀歌 / 水無神 知宏
著者:水無神 知宏
イラスト:伊藤 明弘
発売日:1994/09
1914年、欧州大戦勃発。中欧の小国、ケルンテンも、この狂気と無縁ではなく、オーストリア・ハンガリー帝国の侵入を受けてしまう。危機に瀕したケルンテンを救ったのは、ひとりの天才的な自動人形職人であった。彼が造り上げた全高5メートルの鋼鉄の騎士が、『戦車』の出現を凌駕する衝撃をもって、侵略軍を撃退したのだ。それから20年。鋼鉄の騎士は、装甲戦闘猟兵―イェーガーとよばれるようになり、軍の制式兵器として採用されていた。再びきな臭くなり始めた国際情勢に、人形遣い―イェーガー乗りたちは否応なく巻き込まれていくのであった…ネットゲーム「鋼鉄の虹」の舞台に展開される、血と硝煙のパンツァーメルヒェン。
厳密に言うと「鋼鉄の虹」シリーズの1作ということで、単巻モノではないのですが、もうひとつの『鋼鉄の虹 彗星城に亡霊は哭く』とは著者も違えば、作風もぜんぜん違うので、ここでは両方ともを単巻モノとして扱います。というか個人的にぜひ紹介したい作品なので、無理やりねじ込みました。
気取った表現などちょこちょこと不満もあるのですが、ラノベでは珍しいロボットアクション物の名作と思います。
オススメ度:
青空盗賊団 / 桑原 忍
著者:桑原 忍
イラスト:柳沢 まさひで
発売日:1994/11
「きゃああああー」誰もいない夜の学校。悲鳴とともに、雷人とまゆかは崩れ落ちる校舎のガレキの中に消えていった―。目が覚めた時、ふたりはまったく別の世界にいた。辻コアラが旅人に勝負を挑み、カレーの泉が空を飛ぶ。そしてここには奇妙な風習があった。15歳未満の子供が盗みをすると褒められるのだ。そもそもこの世界には“勇者伝説”があり、子供たちは勇者になるための鍛練として、盗みをしなければならないのだ。雷人もまゆかも14歳。次第にこの“勇者伝説”に巻き込まれてゆくが…。体感RPG格闘青春ファンタジー開幕。
RPG的ファンタジー世界への召喚モノ。タイトルやあらすじから、窃盗をテーマに異世界で戦い抜く物語なのかと思わせますが、盗みに関しては設定だけで物語には全然活きていません。このレベルでよく出版したなと思うくらい、ツッコミどころ満載でオススメしません。
オススメ度:
死神稼業 皇帝は不死を夢見る / 山下 定
著者:山下 定
イラスト:那知上 陽子
発売日:1994/11
「バカバカ、何てこと言うんだよ」「真実を述べたまでだ」「ぼく、どうしちゃったんだろ…二重人格になっちゃったのかな…」伊原美弦は勝手に喋る口をつねった。昨日からずっとこんな調子だった。憧れていた萌子先生と会ったあの時から、もう一人の誰かと身体の取り合いなのだ。「何なの、おまえは」「名乗ったはずだぞ。われは死神」「死神」かくして、気弱な中学生美弦と死神との奇妙な共生生活が始まった。しかしそれは、苛酷にして熾烈な闘いの、幕開けにしかすぎなかったのだ。ファンタジア文庫初登場の著者が放つ、新感覚のファンタジック現代アクション、今はじける。
オススメ度:未読
とりあえずまとめ
以上、93年9月から94年11月までに出版された単巻作品の紹介でした。
今回は強力にオススメしたい作品が2つあります。タイトルとあらすじからは信じられないかもしれない王道の物語と実験的文章の学園異能バトル、ろくごまるにデビュー作『食前絶後!!』、単巻ロボット物の名作と思っている水無神知宏『鋼鉄の虹 装甲戦闘猟兵の哀歌』、どちらも読んでみて欲しいです。
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