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『このライトノベルがすごい!2026』を読む

さて、今回は『このライトノベルがすごい!2026』を読んだ感想です。実を言うと、今年発売されたライトノベル、1冊も読んでいないのですが、それなりにライトノベル業界の推移を気にしているので、昨年に続き今年も買うことにしました。以下、個別の作品内容には触れず、ランキング的なものやこのラノ自体について語りたいと思います。

このライトノベルがすごい! 2026

いよいよ完結を迎える『転生したらスライムだった件』を特集。著者の伏瀬さんやリムル役声優の岡咲美保さんインタビューのほか、みっつばーさん描き下ろしイラストがカバーになり、 さらにピンナップポスターとしても登場します。もちろんいつもの年間ランキングも実施。1位になる作品は何なのか!? 上位作家へのインタビューやジャンル別ガイドも必見。 ライトノベルの今を知るためのライトノベルガイドの決定版!

基本的に単行本に関しては、私はライトノベルと思っていないので、ここでは文庫本ランキングを中心に書いていきたいと思います。ランキングを載せるのは今の時点では避けたいのですが、語りたいことがありますので、文庫本ランキングBEST4だけを載せておきます。

1位 あそびのかんけい 著者:葵せきな/イラスト:深崎暮人/ファンタジア文庫
2位 お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件(以下、お隣の天使様) 著者:佐伯さん /イラスト:はねこと/GA文庫
3位 負けヒロインが多すぎる!(以下、マケイン) 著者:雨森たきび/イラスト: いみぎむる/ガガガ文庫
4位 時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん(以下、ロシデレ) 著者:燦々SUN/イラスト:ももこ/角川スニーカー文庫

読んだ感想

文庫本ランキングについて

今年のこのラノ、何が1位を獲るか予想がつかない。そんな声を聞いていましたし、私もそう感じていました。昨年はアニメで大ブレイクした「マケイン」、口コミとネットを通じて評判になり、重版を重ねた「誰が勇者を殺したか(以下、だれゆう)」があり、そのどちらかだろうと予想はついたのですが。

くわえて今年のこのラノから、従来までの5作品から、10作品投票できるようになりました。これがどういう効果をもたらし、どういう結果になるのか、さらに予想が難しくなっていたように思います。

で、蓋を開ければ、「あそびのかんけい」の圧勝でした。

何をして圧勝というのか、というと獲得ポイントです。WEB投票と協力者投票から導き出されるポイントですが、総合ポイントで450.39ポイントを獲得しました。2位の「お隣の天使様」が262.49ポイントなので、190ポイント近い差です。

このラノ2021からの1位と2位のポイント差を並べてみます。なお、2021からにしているのは、2020までとはポイント傾向が少し違うからです(2020までは協力者ポイントが高く、2021から傾向が変わったように思えます)。

2021 1位チラムネ211.23 2位異修羅186.43 24.8差
2022 1位チラムネ199.16 2位春夏秋冬代行者192.82 6.34差
2023 1位よう実306.56 2位チラムネ305.70  0.86差
2024 1位お隣の天使様251.40 2位死亡遊戯で飯を食う。242.06 41.05差
2025 1位マケイン297.51 2位だれゆう292.45 5.06差
2026 1位あそびのかんけい450.39 2位お隣の天使様262.49 187.9差

以上のように、今年は圧勝だったことがわかると思います。2021・2022と2023以降でまたポイントの傾向が違うようですが、2023以降は300ポイント前後で1位になっています。それに比べ今年の「あそびのかんけい」は450ポイント。2位のポイントも高いようなら、上位作品全体のポイントが高くなっただけともいえるのですが、そうではありません。

全体的にポイントは高くなった傾向はある(後述します)のですが、ランキング上位は例年と同じく200ポイント台なので、「あそびのかんけい」だけが飛び抜けてポイントを獲得したようです。これはまさしく圧勝です。

「あそびのかんけい」について

今年のこのラノは何が1位か予想がつかない。そうは書いたのですが、「あそびのかんけい」については、ベスト10以内、いやもっと上かもと個人的には予想していました。

実は今年の3月4月くらいにツイッターのTLで、今年のこのラノ(このラノ2026)に投票したくなる作品が今のところない、なんていうつぶやきが見られました。このラノ対象作は昨年9月からですので、約半年でめぼしい作品がなかったということです。それが5月になって「あそびのかんけい」が出版されると、潮目が変わったように見えました。

この界隈が沸き立つ感じは、このラノ2025の時の「こちら、週末停滞委員会。(以下、こちまつ)」が出版されたときと同じ感じでした。「こちまつ」は結果、文庫4位、新作2位でした。新作2位なのは、「だれゆう」が1位だったので仕方がないでしょう。

さらに「あそびのかんけい」は、個人的にわりと信頼している読書メーターの「読んだ本ランキングベスト20、ライトノベル・月間部門」で2ヶ月連続でランクインしました(25年5月2位、6月7位)。新作が月間部門で上位にランクインするのは、人気シリーズ作に割ってはいることになるので、それなりにハードルの高いことですし、ひと月ランクインするだけでも上出来といえます。それが2ヶ月ランクインしたということは、ネットや口コミで広まったということです。くわえて9月に2巻が出版されたとき、1巻もまた20位以内にランクインしておりました。新刊だけでなく、既刊がランキングにはいるのは、アニメ化されたものなど人気作以外では、あまりないことのように思えます。このあたりから、確実にこのラノ上位にランクインすると思っていました。

新作でぶっちぎり1位ということで、今後コミックやアニメなどへの展開も期待されるわけですが、チラムネのアニメをきっかけに、このラノの評価に疑問を向ける人もいて、こういうのを編集部のゴリ押しだとか、協力者の組織票だとか、言う人が出てくるのではないかとも思ったりします。このあたりについても、今後、考えたいと思います。

注目していた作品

私はほぼ新作は買わないのですが、チェックだけはしています。主にツイッターでフォローしている人の感想を見て、面白そうなものはブックオフオンラインでお気に入りに登録し、買いたいものリストにしています。「あそびのかんけい」以外で、そこに登録した作品が以下のもの。

デルタとガンマの理学部ノート(新作3位、協力者3位)
雨森潤奈は湿度が高い(新作5位、協力者5位)
サクチシノニエ 異端の儀式(新作22位、協力者22位)
魔王は扇子で蕎麦を食う(新作24位、協力者23位)
僕はライトノベルの主人公(新作25位、協力者25位)

嫉妬探偵の蛇谷さん
ゲーム・ウィズ・スローン 無限死行
白いドレスと紅い月がとけあう夜に

8作品中5作品がランクインしていました。「理学部ノート」「雨森潤奈」は評判から納得のランクインですね。ちなみに新作ランキング≒協力者ランキングなのがよくわかります。このラノにランクインすると、本という形で作品名が残り、後々になってもタイトルを知ることができるので、本当に重要だと思います。

これがネットの情報だと埋もれてしまったり、消されてしまったりして、有名タイトル以外なかったものになってしまいがちなんですよね。紙の本は目的以外のもので面白そうなものを偶然発見で来たるするし、図書館なんかは、ライトノベル文化を後世に伝えるためにも、このラノをキチンと揃えるべきだと思ったりもします。

ランクインしてなかった作品

ランクインしていなくって、意外だなと思った作品が2つ。

甲田学人「ほうかごがかり」このラノ2025で文庫12位、新作7位だったのに…… 世間は現在、ホラーブームだっていうのに、ラノベ界が誇るホラー作家の作品がランク外とは!

平坂読「変人のサラダボウル」2024年アニメ化され、このラノ2025では総合ポイントで79位となんとか名前が載っていたのに、今年はランク外とは! 安定の平坂読作品で、どこに向かうのかわからないハチャメチャさが面白くて、楽しみにしている作品なんですけどね(まだ5巻までしか読めていないけど)。アニメ2期来ないかなと密かに期待しています……

40代以上のラノベ読者

このラノ2025の時から気になっていたのですが、ラノベ読者の高齢化問題。このラノ2025でアンケート回答者の40代以上が27.4%、2026でも40代以上が32.5%とついに3割を超えました。このラノ2021時点では40代以上は8.9%だったことを考えると、かなり増えています。

で、この40代がどういった作品に投票しているのか、40代ランキングベスト10を確認したのですが、これが女性ランキングに近いのです。女性ランキングに「マケイン」「目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい」の2作品がひっそりと紛れ込んだ感じです。

ということで、このラノアンケートの40代以上投票者は女性の比率が高いのでは?と思った次第です。もともと女性の方が本好きのイメージですし、歳を重ねても読み続ける人が多いのかもしれませんね。

これが編集部の隠し玉!!

今回から新しく始まった企画(来年もあるかどうかはわかりませんが)が、「これが編集部の隠し玉!!」です。基準を満たしたラノベレーベル編集部に、隠し玉という名のもとで、プッシュする作品を紹介してもらうコーナーなのですが、タイトル通り隠し玉を紹介しているところもあれば、ただの新作の宣伝に終始しているところあり、明らかに手抜きしていると思われるところあり、とそれぞれでございます。

まあ、ほとんどの編集部が文字数いっぱいに紹介していて、宣伝だとしても熱い思いは伝わるのですが、1社だけ来年はこのコーナーに出さなくていいんじゃないというのがありました。せっかくのスペースもったいないよ。

今年から変わったこと

昨年でこのラノも20周年を迎え、今年からまた少し、このラノも変わったようです。まず、編集デスクが変わりました。これまでの岡田勘一氏(マイストリート)から太田祥暉氏に。

紙面的に大きな変化としては、このラノ創刊時から続く「キャラクター部門」がなくなりました。これはかなり大きな変化なのですが、個人的には人気作の主要キャラが上位を占めるランキングなので、なくてもいいかなと思っていました。それよりもブックガイドやインタビューにページを費やしてほしいなと。だもんで、キャラクター部門廃止には賛成です。

それ以外では、昨年はこのラノ20周年企画があったのでイレギュラーな構成でしたが、今年は例年とそれほど変わりがないようです。新コーナーは前述した「これが編集部の隠し玉!!」。もうひとつは、このラノ2014まであった「目利きが選ぶ!注目の作家&作品」に似た感じの「この有識者が推すこの作品」コーナー。4名の協力者が推す5作品と長めのコメントです。なお、今回、協力者が投票した作品はベスト5までの紹介で6位以下はわからず、4名以外のコメントもなしです。

で、一番大きく変わったことが、紙面的な部分ではなく投票部分です。従来は5作品だったところが10作品に拡大しました。今までは1位10点、2位9点…… 5位6点までだったのですが、6位5点…… 10位1点まで得点が入ります。このことで得点が入る作品数が増えるのか、得点が全体的に上がるのか、です。

結果、得点が入った作品数は昨年2,160作から今年2,104作とあまり変わりませんでした、というか減りました。このラノWEBアンケートの参考作品リストが2,150作品なので出版作品数に近いと思っていのでしょうか。得点が入らなかった46作品が逆に気になってしまいます。

一方得点に関しては、ランキング上位はそれほど変わらないものの、全体的にポイントが上がっていました。

昨年は総合ポイントが200を超えたのが5位以上、今年の200超えは6位以上で、それほど変わりありません。1位の450のみ異常な数値です。これが総合ポイント100超えとなると、昨年は12位以上だったのが今年は23位以上となっています。また、50位のポイントを見ると、昨年は47.90、今年は62.63、100位のポイントが昨年は27.29、今年は34.54と少しずつながらも上がっています。

「あそびのかんけい」のポイントについて

さて、投票作品が従来の5作品から10作品になったことで、全体的にポイントが増えたわけですが、1位となった「あそびのかんけい」の450ポイントだけ、飛び抜けております。このポイントは投票作品10作品となったことと関係があるのか、もし従来ながらの5作品なら、果たしてどうなっていたのだろうかと気になりました。

そこで色々と調べてみることにしました。なお、この件に関してはツイッターでも呟いております。

まず「あそびのかんけい」の総合ポイントは450.39ですが、これは協力者ポイント394.57とWEBポイント58.52の合計です。新作ですので協力者票が大きいのは、昨年までの新作と同様の傾向です。ただ、この協力者のポイントがかなり大きいわけです。ちなみに2位の「お隣の天使様」の総合ポイントが262.49ポイントなので、協力者ポイントだけでもぶっちぎりの1位ということになります。

じゃあ、ここまで協力者ポイントが集まったのは、10作品投票できたからではないか?と。そこで協力者が5位まで何に投票したかは掲載されているので、何位に入れたかを数え、ポイントを計算してみました。協力者投票が5位までだったと仮定した場合のポイントです。

1位 10点 17人 170点
2位 9点 8人 72点
3位 8点 6人 48点
4位 7点 2人 14点
5位 6点 4人 24点
合計 37人 328点

このラノのポイント計算方法は、協力者、WEB、それぞれの集計得点をそれぞれの回答者数でわり、協力者は×100、WEBは×200したものをポイントにしています。このラノ2023までは、×100、×200の部分を「傾斜をかけ」と表現されていましたが、2025からは明示されました。2024以前はこの数値がどうだったのかわかりません。

ということで、「あそびのかんけい」の協力者が5位までに入れた得点で計算することにします。328を今年の協力者数92で割って100をかけると、356.52ポイント。10位までで計算した協力者ポイント394.57から40ポイントが減ったくらいです。

で、2位作品の総合ポイントが262.49なので、「あそびのかんけい」が5作品投票だったと仮定しても、圧勝だった可能性大でした。実際5作品しか投票できないとなったら、また選ぶ作品も変わってくるので、あくまでも仮定の話ですが。ただ、これでも2位作品の総合ポイントに94ポイント差をつけていますので、いかに「あそびのかんけい」が圧勝だったか、協力者から圧倒的な支持を集めたかがわかります。

ちなみに協力者ポイントは、昨年1位の「だれゆう」は207.87ポイント、昨年2位の「こちまつ」は141.57ポイント。今年1位の「あそびのかんけい」は394.57ポイン、今年2位の「ミドルノート」は165.22ポイント。1位の作品だけで見ると大きく違いますが、2位作品のポイントを見るかぎり、10作投票になったから200ポイント近くあがったということはなさそうです。やはり今年は「あそびのかんけい」がすごかったということです。

なお、参考までにWEB投票は今回8,446名、昨年は5,240名。10作投票できることで、WEBポイントもあがるかと思いましたが、1位だけで見ると、昨年1位マケイン277.29ポイント、今年1位お隣の天使様262.49ポイントとそれほど変わりありません。むしろ昨年のマケイン旋風がすごかったと思われます。

まとめ

以上、ダラダラと書いてきました。今年は「あそびのかんけい」の圧勝でしたが、ちょっと注目したいのが、2~4位です。「お隣の天使様」「マケイン」「ロシデレ」と現在のラノベ界を代表するラブコメタイトルです。

「お隣の天使様」は2026年4月からアニメ第2期スタート、「ロシデレ」も第2期が2026年放映が決定していますし、「マケイン」も第2期制作が決定しています。2作品は放映時期は未定ながらも、どの作品も来年また話題になるのは必至でしょう。そして新刊が出れば、これらの3作品は来年もランキングを賑わせてくれるはずです。

また「マケイン」に関しては、このラノ2025で1位、2026で3位でしたので、来年3位以内なら殿堂入りとなります。出版社としたら殿堂入り以降「このラノ第◯位」と宣伝が打てなくなるので、殿堂入りしないほうがいいのかもしれませんが、このラノ的には同じ作品が上位に居続けるよりは、新しい作品が次々に登場する方が良いと思っているはずです。

昨年、「マケイン」のアニメ化ブーストを見せつけられてますので、同じようにアニメ化で大化けする作品があるかもしれませんし、今年アニメ化された「わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)」の続編部分が、劇場公開で話題になっているので、来年のこのラノベスト10上位あたりに入ってくるかもしれません(今回は文庫15位)。

当面の間、ラノベ界はまだまだ学園ラブコメが主流のように思えますが、新しい流れを作る作品がひっそりと始まっているかもしれません。このラノをチェックしていれば、そんな作品と出会うことができるかも。

『このライトノベルがすごい!2025』を読む
さて、今回は『このライトノベルがすごい!2025』を読んだ感想です。このラノに関しては近年はほとんど...
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