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個人的な#懐ラノ語り①【ライトノベルを考える】

さて、今回は以前twitterでつぶやいた #懐ラノ の思い出話をまとめたものです。私が10代の頃、1980年代に読んだエンタメ小説の思い出です。ライトノベルの源流となった、80年代若者向け娯楽小説の個人的歴史観として読んでもらえればと思います。

もし昔のライトノベルに興味があって、このページにたどり着いた人にはセレクトの参考にしてもらえればと思います。第1弾は中学生の頃の話です。

懐ラノ(懐かしのライトノベル)とは、ゼロ年代含むそれ以前の若者向け娯楽小説全般を指します。定義やジャンルは不問です。
大阪阿倍野にある古本屋・大吉堂さんが提唱。

「クラッシャージョウ」シリーズ 高千穂遙

最初はやはり、高千穂遙「クラッシャージョウ」シリーズ。

初めて読んだのが中学1年生(82年)のころ、アニメ映画化されると知ってからです。ガンダムのキャラデザイン及び作画監督の、あの安彦良和が監督を務める作品ということで興味を持ったのだと思います。

映画公開までに、当時出版されていた6冊を全部読みました。宇宙を舞台に暴れまくるジョウたちの活躍に虜に。これが初めてのスペースオペラでした。小学生の頃に読んでいたポプラ社の少年探偵団やルパン以降、夢中になれる小説がなかったところにこのシリーズがハマりました。

ハラハラ・ドキドキさせてくれる面白い小説。しかも読みやすかったのです。こんな小説を自分も書いてみたいと思って、ノートに小説を写した記憶もあります(途中で挫折)。映画も面白かったし、映画公開と同時期に出版された新作とノベライズも楽しんだ記憶があります。ただ、それ以降しばらくシリーズが止まってしまい、その後は読んでいません。

最初のライトノベルは何か?といった時に、よく挙がるタイトルです。タイトルとともに安彦良和のイラストが思い浮かびます。この小説とイラストが切り離せない関係こそが、ライトノベルの重要な要素と思っています。個人的に最初のライトノベルは「クラッシャージョウ」シリーズだと思っています。

最近、もう一度読んでみたいと思い、ソノラマ文庫版を手に入れました。1巻を改めて読んだのですが、やはり面白い。思い出補正があるかもしれませんが、設定や物語のテンポの良さ、よくできているなと。

現在ではハヤカワ文庫から復刊されていますが、本文・イラストとも改訂が入っているようです。

機動戦士ガンダム 富野喜幸

「クラッシャージョウ」シリーズとほぼ同時期(82年)に手にとったのが、ソノラマ文庫の富野喜幸「機動戦士ガンダム」(全3巻)です。

69年生まれの私は小学校高学年でガンダム・ガンプラブームだったので、おおいにガンダムの影響を受けています。でも、しかしです。

読む前に聞いていたのは、「アニメ版は打ち切られたもので本当のガンダムはこちらだ」とか、「セイラさんとアムロが……」とかなんとか。 興味を持って読み始めたのですが、数十ページで読むのをやめてしまいました。非常に読みにくかったような印象しか残っていません。

未読なので内容的なことに言及は出来ないのですが、その後の富野由悠季の言動をみていると、中学生にはちょっと早かったのかなと思ったりもします。

これも今にして思えば「クラッシャージョウ」こそが自分たちの物語で、小説版「機動戦士ガンダム」はそうではなかったということなんじゃないかと。小説版ガンダムは、角川スニーカー文庫創設当初のラインナップにもなり、ガンダムシリーズはスニーカー文庫の一端をになっていくことになったので、この作品もライトノベルの源流では間違いないはずなのですが、何か違うんだよなぁという感じがずっとあります。

富野版「機動戦士ガンダム」は現在もスニーカー文庫より出版されています。

ダーティペアの大冒険 高千穂遙

「クラッシャージョウ」のあとに読んだのが、高千穂遙「ダーティペアの大冒険」でこれも82年ころ。

「クラッシャージョウ」のようなパッケージに、”あたし”の一人称を使用したほぼライトノベルのような作品です。もともと掲載誌(SFマガジン)が少年向けではないので、ジュブナイルのような道徳観がありません。

「クラッシャージョウ」がジュブナイルの香りを残しているのに比べて、こちらは完全に娯楽に振り切っている印象です。今から思うと不謹慎ながら、とにかく2人が活躍すればするほど、被害者(死者)が増えていくのが当時は面白かったのです。 また映画「クラッシャージョウ」にちょろっとでた時には、ニヤリとしたもの。

85年に放送されたTVアニメ版はキャラクターデザインが安彦良和ではなく、どこか違うとそれほどのめり込めませんでした。 ファミコンディスクシステム出でたゲームはク◯ゲーだでしたし。それ以降、小説版にも興味がなくなってしまい、続刊は未読です。今確認したら、文庫本の第2巻は88年発売なので、第1巻を読んでからずいぶん間が空いたので興味を失ってしまったのかも知れません(単行本は85年ですが、高いので手が出なかったと思う)。

こちらも最近、読み直したのですがやっぱり面白い。 ただ、”あたし”の一人称を使用してはいますが、高千穂遙の描く”あたし”はどこか、70年代の映画「野良猫ロック」あたりにでてくる不良女学生が使う”あたい”のような蓮っ葉な感じがしました。 このあたりが新井素子作品との違いかと思ったりもします。

六神合体ゴッドマーズ 藤川桂介

高千穂遙作品の後に読んだのが、集英社コバルトシリーズの藤川桂介「六神合体ゴッドマーズ」

TVアニメのノベライズ全3巻で、82~83年ころ。この頃のコバルトシリーズはヤマトの他に松本零士作品や辻真先の「ルパン三世」「DR.スランプ」なんかも出していて、まだ女子向け専門というわけでなく、アニメノベライズをたくさん出版していました。

それにしてもガンダムやイデオンの後に、なぜこのアニメにハマったのか今となってはよく覚えていません。1日だけ上映の映画版も見に行ったくらいにはハマっていました。 主人公より兄であるマーグに女子人気が集まった作品で、その熱気に感化されてしまったのかも。ノベライズ第1巻の表紙は、今見たらBLっぽくも見えますね。

この藤川版ゴッドマーズ自体の内容はよく覚えておらず、個人的には後に「宇宙皇子」でブレイクする著者・藤川桂介を知ったことが重要なくらいです。 また、同時期に創刊されたばかりのアニメージュ文庫から同じ著者で、「十七歳の伝説」が出版されたことは重要なんじゃないかと思います。

「十七歳の伝説」は人気のあった主人公の生き別れの兄マーグを中心とした小説で、TVアニメからの初めてのスピンオフ小説ではないかと勝手に思っています。半分くらいはアニメのセル画を使った、ビジュアル重視の文庫でした。 今でも古本として結構見かけるので、かなり売れたんじゃないかと思います。

なお、横山光輝の原作漫画「マーズ」の結末はアニメと全く違い衝撃的で、そっちのほうが面白いと思っていました。 当時は「デビルマン」や「マーズ」など、救いようのない結末が面白いと思っていた中二病の私でした。

コバルト版「六神合体ゴッドマーズ」も「十七歳の伝説」も現在は絶版です。

戦国魔神ゴーショーグン 首藤剛志

TVアニメ版は私の住む地域では放送がなくて、この作品を知ったのは劇場版アニメです。 TV版をまとめた総集編映画を、「六神合体ゴッドマーズ」と同時上映で見たと記憶しています(映画館でなく市民会館で1日だけの上映でした)。

それがコミカルでゴッドマーズより、こちらの作品が気に入ってしまいまし。 その後、脚本家・首藤剛志によるノベライズがアニメージュ文庫から出版。TV版をもとにやりたい放題に書かれた感じです。今読むと、キャラクターの会話で誰が喋っているのかわかるようにマークを使ったりと、なかなか攻めた表現をしていたりもします。

カラーページには 、なにわあいの漫画があったりして文庫本としての作りも面白いと思います。 アニメージュ文庫の中でも好評だったようで、その後オリジナルストーリーが展開していくことに。もともとアニメ自体個性的なキャラで面白く見せていたため、小説もキャラクターの軽妙なやり取りなどが面白いのです。

また、アニメを出発点として、オリジナルになっていったのも面白いと思います。アニメと小説の関わりの方向性を広げたという点において、この作品は重要なのではないかと思っています。

私がライトノベルの手引書として信頼している本に、大森望・三村美依『ライトノベル★めった斬り!』があります。ただ、この本の中では、アニメージュ文庫はノベライズばかりということで、あまり取り上げられていません。このあたりが少し残念で、ライトノベルの源流として、アニメージュ文庫はもう少し認めてほしいところです。あと、ノベライズばかりでなくオリジナル小説も多数あるのですよ。

戦闘メカザブングル 鈴木良武

こちらもアニメのノベライズ、ソノラマ文庫から出版され全2巻です。 読んだのは83年頃、アニメが終わってから程なくしてだと思います。今思い返すと、中学生の頃はアニメきっかけの小説ばかり読んでいました。

詳しい内容は忘れてしまったのですが、アニメとちょっと違っていて、地球と惑星ゾラが関係していたり、最後は宇宙に行ったりで。みんなで走って終わりのアニメより、小説の方が当時は面白く感じた記憶があります。

最近、手に入れたのですが、読もう読もうと思いつつ積んだままになっています。

リーンの翼 富野由悠季

小説版ザブングルの記憶はあまり残っていないのですが、アニメ「聖戦士ダンバイン」と同じ異世界バイストンウェルを舞台にした物語のこちらは、強烈に記憶に残っています。

ノベルスの表紙には「聖戦士ダンバイン・パラレルストーリー」なんて書かれていたのですが、舞台が同じだけで、アニメとはほぼ関係はありません。太平洋戦争当時、特攻隊員がバイストン・ウェルに召喚されるという異世界召喚モノで、中学3年の時にノベルス版で1巻を読みました。

物語の内容どうこうというより、主人公とフェラリオ(人間とほぼ同じような妖精)との濃厚で強烈な官能シーンがあって、私にとってはトラウマとなった作品です。これは中学生が読んではいけないものと思いましたが、一応最後まで読みました。でも、2巻以降は手を出しませんでした。

小説版ガンダムも挫折しましたし、この作品も1巻しか読んでいません。それに富野作品にはこれ以降近づかないようになりました。 富野作品はアニメでは楽しませてもらいましたが、小説では1つも楽しませてもらっていない気がします。

なお昨年、文庫版全6巻を読んだのですが、エロ描写があるのは1巻と2巻くらいでそれ以降は案外エロくありませんでした。さすがに序盤はやりすぎたと反省があったのでしょうかね。物語自体は最終的に中途半端な印象で、富野由悠季の太平洋戦争に対する考え方が色濃く描かれていて、それが足を引っ張っているというか、エンタメ小説としては今ひとつと感じました。

ゴッドマジンガー 永井泰宇・団龍彦・園田英樹

こちらも中学3年の時に読んだ作品です。 アニメとほぼ同時期に小説版もスタートして、3人の作家が順番にリレーしていく珍しい形式でのノベライズ。アニメ、小説、永井豪による漫画と、内容がそれぞれ少し違う形で展開したようです。

幼少期にマジンガーZ・グレートマジンガーで育った世代なので、久しぶりのマジンガーを期待していました。しかし、ゴッドマジンガーは大魔神的なもので、期待していたものとは明らかに違いました。アニメはさっぱり面白くなくて離脱。 小説はそれなりに楽しんでいたのですが、途中お色気路線が強くなり、こちらも読むのをやめてしまいました。

まだウブな中学生で、こういうのはちょっと苦手だったのでしょう。

少し前に10巻セットで手に入れたのですが、 今見ると、全巻カバー・カラー口絵・本文イラストとも永井豪で豪華です。いまだ読めていませんが、アニメ版ではふわっとしていた世界観が、小説ではしっかりしていたはずで、読めば面白いのではないかと密かに思っています。

まとめ

というわけで中学生時代に読んでいた懐ラノの紹介でした。ほとんどアニメ絡みの作品ばかりですね。中学3年生の時は、やはり受験期ということで、印象に残っている小説がほとんどありませんね。

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