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【90年代単巻ラノベを読む12】森岡 浩之『機械どもの荒野(メタルダム)』を読んで

さて、今回の【90年代単巻ラノベを読む】は、96年に『星界の紋章』が大ヒットした森岡浩之の、97年の作品『機械どもの荒野(メタルダム)』を読んだ感想です。

機械どもの荒野(メタルダム)

著者:森岡浩之
イラスト:米村孝一郎
文庫:ソノラマ文庫
出版社:朝日ソノラマ
発売日:1997/6

タケルは、荒野をさまよう機械どもを狩り、ジャンク屋に部品を売り払うのを生業とする狩人だ。ある日捕らえた機械が突然奇妙なことをしゃべりだし、タケルは半信半疑ながらその提案に乗って、花屋のカーシャと電脳調教師の鴉とともに荒野の果てを目指すことになってしまう。人類の技術文明が崩壊し、荒野には危険な機械どもがさまよう混沌の未来、衰退の一途をたどりつつある人類は、起死回生の一手に打って出るのだが…。

97年発売の朝日ソノラマ版は絶版。2008年にハヤカワ文庫で復刊されています。

読んだ感想

「機械どもの反乱」と呼ばれる災厄があり、人口は激減し科学技術文明が失われた未来が舞台。その世界では、機械が自分の意思で動き野生化しています。それらの野生の機械を狩り、ジャンク屋に部品を売り払うのを生業とするハンター タケルとその幼なじみ2人の物語です。

世界観はアニメ『ザブングル』やRPG『メタルマックス』に近いものを感じます。荒野をかける機械に銃を持つハンター、西部劇+ロボットものの乾いた世界感です。

物語は、ある日捕らえた機械が話し出し「機械どもの反乱」のきっかけとなった謎を解くというもの。世界の中心に迫っていき、その先に待っていたものは?!という展開はなかなかスリリング。安定の続く管理された未来と滅亡が待つ管理されない未来、はたしてどちらが良いのかという問いかけが、SFです。

前半はハンターの生態というか生き様を描き、後半はSF的世界(ユートピアorディストピア)を描いています。ただ、ちょっとバランスが悪い感じがしました。前半が冗長ともいえるし、後半が端折りすぎともいえます。特に前半は皮肉っぽい会話の応酬で、ちょっと退屈。それなら後半の世界や攻防にページを割いて欲しかったかなと。

また、野生の機械の外観がきちんと描かれていないのが、ストレスを感じます。ユニコーンと呼ばれるのが、戦車のようなものとはわかるのですが、スナークやワイヴァーン、ブラウニーがどういう形をしているのかわかりません。人間が座るシートがないとのことで、現在の自動車や飛行機の延長とは考えにくく、でもZOIDS的なの生物的な姿でも無さそう。この世界観で描く時に、機械の外観って重要だと思うのですが、そこが欠落していて残念。

『星界の紋章』の森岡浩之作品ということで、SFを期待してしまうかもしれませんが、どちらかというとアクション冒険小説。ソノラマ文庫らしい90年代のジュブナイルSFです。

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