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【名作単巻ラノベを読む12】石川博品『ヴァンパイア・サマータイム』を読んで

さて、今回の名作単巻ラノベを読むは、石川博品の「ヴァンパイア・サマータイム」です。よくある吸血鬼ものかと思いきや、ド直球の恋愛小説でした。

ヴァンパイア・サマータイム

著者:石川博品
イラスト:切符
文庫:ファミ通文庫
出版社:エンターブレイン
発売日:2013/7/29

人間と吸血鬼が、昼と夜を分け合う世界。山森頼雅は両親が営むコンビニを手伝う高校生。夕方を迎えると毎日、自分と同じ蓮大付属に通う少女が紅茶を買っていく。それを冷蔵庫の奥から確認するのが彼の日課になっていた。そんなある日、その少女、冴原綾萌と出会い、吸血鬼も自分たちと同じ、いわゆる普通の高校生なのだと知る。普通に出会い、普通に惹かれ合う二人だが、夜の中で寄せ合う想いが彼らを悩ませていく…。夏の夜を焦がすラブストーリー。

読んだ感想

とあるサイトでオススメにあがっていたので、内容も確認せずにタイトルだけ見て購入を決めました。ヴァンパイアものということで、それなりのアクションなりコメディなりを期待してのことですが、届いた商品のあらすじを見てびっくり、ラブストーリーとありました。恋愛小説は苦手だなぁと思いつつ、とりあえず読むことに。

ラブストーリーといっても、吸血鬼が出てくるわけで。吸血鬼は永遠の命を持っているし、心臓に杭を打つか、銀の弾丸をぶち込まないと死なない、なんていうのが当然の知識。何かしらのアクションをいれるなり、コメディ風にするなりだろうと思っていたのですが、この小説の吸血鬼は違いました。

人の血は吸うけど法律で禁止。血の補給は血液パックを購入する形。光をあびると灰になってしまうようで、行動は夜のみ。吸血鬼の特徴としてはそれくらい。永遠の命ではないようで、普通に年もとるようですし、恋愛もするようです。

思っていたのとは違い、普通の少年と普通の吸血鬼少女の物語でした。人間である男子も吸血鬼である女子も、エロい夢を見たり、ちょっと下品な話をしたり、同じように悩んでいたりと、そこに人間も吸血鬼も違いはありません。

終始「好きだから血が吸いたいのか、血が吸いたいから好きなのか」と吸血鬼女子は悩むのですが、これは吸血行為と性行為を置き換えれば、男子側も同じわけで。青春時代に誰もが持つであろう、永遠の悩みかもしれません。ただ、吸血鬼の吸血欲と性欲はどちらが上回るのだろう? なんて考えてしまいますが。なににしろ異種族ではあるのですが、それを意識させないようになっています。

それなりの娯楽要素があるだろうと思っていたのですが、ド直球の恋愛小説でした。文章も美しくて、少しエロいシーンもあるのですが、下品ではありません。好きだの何だのいっている小説にあまり興味はないのですが、この小説には見るべきところは多かったかもしれません。ただ、ラノベらしいキャラクターの魅力は薄いように思います。そういう意味でラノベらしくない作品です。私の好みではありませんが、名作と挙げられるのもわかります。

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