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『ドラゴン殺し』を読んで【ラノベ・アンソロジー】

さて、今回は電撃文庫から出版された『ドラゴン殺し』というアンソロジーを読んだ感想です。作家のみならず、イラストレーターも豪華なラノベ・アンソロジーです。

ドラゴン殺し

著者:中村うさぎ、山本弘、鳥海永行、小沢章友、荒俣宏
イラスト:米田仁士、安彦良和、西村博之、山田章博、天野喜孝、赤井孝美
文庫:電撃文庫
出版社:メディアワークス
発売日:1997/03

現代日本のファンタジー界を代表する作家が結集!ファンタジーの永遠にして究極のテーマ「ドラゴン殺し」をモチーフに紡ぎだす珠玉の名作5編を収録。小さくて勇敢なベビードラゴンの冒険『ア・リトル・ドラゴン』。今世紀半ばのアフリカを舞台にした冒険活劇『密林の巨龍』。電撃文庫『光の騎士伝説』シリーズの外伝として書かれた『黄金龍の息吹』。平安期の日本に繰り広げられる王朝怪奇小説『魂魄龍』。そして、中国の龍使いとマルコ・ポーロ、東洋と西洋を繋ぐ龍物語『ヴェネツィアの龍使い』

収録作品
ア・リトル・ドラゴン / 中村うさぎ
密林の巨龍 / 山本弘
黄金龍の息吹 / 鳥海永行
魂魄龍 / 小沢章友
ヴェネツィアの龍使い / 荒俣宏

もともと雑誌「電撃アドベンチャーズ 1994/1 創刊号」に掲載された企画。96年に単行本化、97年に文庫化されたもの。

読んだ感想

ア・リトル・ドラゴン / 中村うさぎ、米田仁士

落ちこぼれの子ドラゴンをコミカルに描く作品。ファンタジー的な世界が舞台かとおもいきや、RPGの中の世界といったメタ的な展開で驚かされる。

著者はこの主人公の子ドラゴンが気に入ったようで、後に「ア・リトル・ドラゴン」シリーズを展開しています(全4巻)。

密林の巨龍 / 山本弘、安彦良和

アフリカの奥地を舞台に恐竜探検家と、現地に暮らす少年少女の冒険活劇。内容は全く違うが、なぜか少年ケニヤを思い出してしまった。

登場するのがドラゴンというよりも、恐竜というかネッシーというか、そういったイメージで、若干、本のテーマからズレたような印象。冒険活劇としては面白いのですが、読みたい感じとはちょっと違うなと思いました。

黄金龍の息吹 / 鳥海永行、西村博之

収録された5作の中で、正統派と感じたのがこの作品。「光の騎士伝説」シリーズの番外編で、囚人たちが暮らす僻地での、砂金と龍を巡る物語。金山に住む黄金龍とのバトルが迫力がありました。「ドラゴン殺し」がテーマなら、この作品が1番楽しめました。

魂魄龍 / 小沢章友、山田章博

平安期を舞台に比叡山から逃れてきた少年の幻想怪奇譚。魚釣りをしていた主人公・月丸は、ある日、僧侶に龍を釣ってみないかと誘われる。龍はこの世とあの世の境、夢の中にいるという。その夢は時の法皇が見る夢だと。

月丸は陰陽師に相談し、一度は龍を釣ることを諦めるが、とある理由から龍を釣りに行くことに。そこで待ち受けていたのは……

物語としては、5作品の中で一番面白い。ドラゴン=西洋竜のイメージに対し、こちらは中国の龍。

ヴェネツィアの龍使い / 荒俣宏、天野喜孝

マルコポーロが西洋と東洋をつなぎ龍を救う寓話的な物語。東洋の龍使いをヴェネツィアに連れていき、町に現れる龍を退治しようとするものの……

西洋の竜(ドラコ)と東洋の龍の違いが語られているのも面白い。また、東洋では龍使いがいるが西洋にはおらず、西洋では龍殺しになるというのも。

物語的な面白さというより、知識的な面白さといったところかな。

まとめ

「ドラゴン殺し」というテーマでまとめられた作品集ですが、ちょっと意外というか、正統派なドラゴン退治的物語は少なくて、変化球的作品が多かったなと。どの作品もたしかに龍退治はしているのだけど、シチュエーションが思っていたのと違っていました。

どの作品も楽しく読めましたが、物語的な面白さでは「魂魄龍」が1番。正統派なヒロイック・ファンタジー的面白さでは、「黄金龍の息吹」が良かったです。

作家もイラストレーターも豪華で、絶版になっているのが惜しい作品集ですね。

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